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2012/05/23
相続税対策に持株会社は意味がない

先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
お客様は会社経営をされており、自社株の相続税対策について悩んでおられました。

そこで、「銀行から持株会社を設立した相続税対策を提案されているが、本当に効果があるのかわからない」とのことで税理士長嶋にご相談くださいました。

 

【銀行から提案されている持株会社を設立する相続税対策】
銀行から提案される自社株対策として、多くの場合は持株会社を設立することを勧められますが、一般的には次のような流れになります。

(1)会社の後継者である長男が会社を設立する
(2)社長が所有する自社株を、長男が設立した会社に売却する
(3)自社株を売却することで、社長の相続財産から外れる
(4)社長に相続があっても、自社株には相続税がかからないため、相続税対策になる
(5)ただし、長男が設立した会社には自社株を買い取る資金がないので、銀行が自社株の買い取り資金を融資する

持株会社を設立することによる相続税対策は、銀行が融資をしたいがために提案していることを十分に理解する必要があると思います。

 

【相続税対策のために会社の成長を止めてしまうのが良いのか?】
お客様のお話によると銀行からの融資条件では、今後10年間は会社の成長は見込めないとのことでした。

銀行からの融資条件は、次のようなものだったそうです。
(1)10年間で完済する
(2)毎年の「元本+利息」の返済額は、毎年の経常利益とほぼ同じ額になる
(3)毎年の利益と同じ額だけキャッシュが会社の外へ流出してしまう
(4)相続税対策のために会社の成長を止めてしまう結果になる
(5)景気が不安定な時代に会社を成長させられないことのほうが、むしろリスクと感じる

お客様は会社を成長させることが、家族を守り従業員を守ることにつながるとお考えでした。
そのため、会社を成長させることが最も重要であると考えておられました。
お客様の価値観からすれば、会社の成長を止めるような相続税対策は到底受け入れられるものではなく、相続税対策のために仕事をすることにもなりかねないことを心配されていました。

このようなことから、他に何か良い相続税対策はないかと探していたところ、税理士長嶋のホームページをご覧になったそうです。

 

【持株会社を設立する相続税対策は、単なる問題の先送り】
税理士長嶋からお客様へ次のことを申し上げました。

「持株会社を設立する相続税対策は、単なる問題の先送りにしかならず、根本的に相続税の問題を解決することにはなりません」

単なる問題の先送りとは何を意味するのでしょうか?
会社の後継者である長男は、会社を引き継ぎ成長させていきます。
そのため、会社の株価は将来的に上昇していくことが前提です。

長男が設立した会社が持つ自社株について、20年後にはまた自社株の対策という問題が出てきます。
しかも、自社株は現在よりも価値が上昇していますので、より大きな問題になります。
つまり、自社株についての相続税の問題を将来に先送りにしているにすぎず、根本的に相続税の問題が解決できるわけではありません。

 

【借入金の利息もキャッシュアウトなのに、なぜ相続税だけが悪者になるのか?】
銀行から借入れをして持株会社を設立しますので、当然のことながら借入金に対する利息の支払いがあります。

この借入金の利息は相続税と同じくキャッシュアウトするはずなのですが、なぜ相続税だけが悪者になるのでしょうか?
次のような事例も現実問題として多くあります。

相続税の節税額<借入金の利息の総額

つまり、相続税の節税額よりも借入金の利息の総額が多いケースです。
相続税として税金を払う代わりに、銀行に節税額以上の借金の利息を払っているにすぎません。
結果として、借金などせず相続税を素直に払ったほうが、手許に残る財産は多くなるのではないでしょうか。

なぜ、相続税の節税効果だけが強調され、借入金の利息によるキャッシュアウトは問題視されないのでしょうか?

お客様も「問題の先送り」ということは何となく感じていたそうですが、税理士長嶋からはっきりと言われたことで確信に変わったそうです。
今後、お客様の価値観を十分に理解し、お手伝いができれば嬉しく思います。

 

【自社株対策参考ブログ】
・自社株の相続税対策に限界を感じていませんか?

・自社株の相続税対策に株価引下げが本当に効果があるのか?

・自社株の相続税対策に会社分割をしてはいけない会社がある

・自社株の相続税対策に生前贈与は効果があるのか?

・自社株の相続税対策に持株会社は効果があるのか?

・自社株の相続税対策としての自社株買いにデメリットはないのか?


 

【相続税対策参考ブログ】
・自社株の相続税対策、役員報酬の増額は資金効率が悪すぎる(2016/12/07)

・相続税対策に持株会社を活用することに限界を感じた(2016/05/18)

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