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2016/12/07
自社株の相続税対策、役員報酬の増額は資金効率が悪すぎる

先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。

お客様は会社経営をされており、自社株の株価が高すぎることで会社の承継に悩まれていました。
自社株対策を顧問税理士に相談されたそうですが、相続税に詳しくないとのことで、お客様は銀行に自社株対策を相談されました。
お客様は銀行が提案した自社株対策と会社の承継が本当にうまくいくのか?と疑問に感じていたところ、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。

 

 

【銀行から自社株の買い取り資金の融資を提案された】
お客様から詳しいお話を伺うと次のようなことでした。
・会社はお客様が30年ほど前に創業された
・お客様には子供がいないため、甥に会社を継いでもらいたいと考えている
・自社株の株価が高すぎるため、甥が自社株を買い取るにしても買い取り資金がない
・自社株を甥に贈与するにしても、甥には贈与税を払う資金がない
・銀行は自社株買い取り資金を甥に融資する提案をしてきた
・自社株の買い取り資金の返済原資は、甥の役員報酬を増額させれば問題ないとのこと

会社後継者の役員報酬を増額して銀行融資を返済する。
これは自社株対策の相談を銀行にすると必ずこの話が出てきます。

お客様は銀行が提案したことは本当に実現可能なのだろうか?と疑問を持たれました。

 

 

【役員報酬を増額して資金を作るのは愚の骨頂】
会社経営者の自社株対策や相続税対策において、役員報酬を増額して会社経営者や会社後継者が自由に使える現金を作ろうとする方があまりにも多いことに驚かされます。
例えば、次のような状況において役員報酬の増額が行われます。
・相続があった場合に会社後継者には相続税を払う現金がないため、現金を準備する
・会社後継者に自社株の買い取り資金がなく、銀行融資の返済原資にする

このような場合に税理士長嶋はお客様に次のことを必ずお伝えしています。
「役員報酬を増額したところで現金が貯まるはずがない」

 

既に役員報酬が高額で最高税率55%で所得税が課税されている会社経営者や会社後継者が役員報酬を増額しても、半分税金で持って行かれるだけです。

例えば、自社株買い取り資金として銀行から融資を受けた場合の年間返済額が5000万円の場合。
単純に会社後継者の役員報酬を1億円増額しないと5000万円の銀行融資の返済はできません。

私どもにご相談に訪れるお客様は口を揃えて次のようにおっしゃいます。
「現金がなかなか貯まらないんです」

 

常識的に考えて、手許に現金が残るはずもなく、資金効率が悪すぎるのは誰が見ても明らかです。

 

 

【役員報酬を増額することは会社の成長を止めてしまうことになる】
銀行は融資をしてそれを回収することが仕事であるため、役員報酬の増額を他人事のように簡単に言葉にしますが、お客様が役員報酬の増額を躊躇したことは十分に理解します。
その理由は、役員報酬の増額=会社の成長を止めてしまうことになるためです。

役員報酬を増額するにしても、会社の運転資金を確保し、会社の成長のために必要な設備投資などの資金を確保したうえで、余裕資金の範囲内で行うことは当然のことでしょう。

そもそも、自社株の買い取りのような特殊事情がなければ、役員報酬の増額分は会社の成長のために必要な設備投資などに回せたはずの資金です。
会社後継者が銀行融資を返済するまでの間、会社の成長のための設備投資などに回せるはずの資金が役員報酬増額分だけ減少します。
つまり、会社の成長を止めてしまう要因の一つとなります。

会社の業績がこれからも変わらず順調という保証はどこにもありません。
お客様のケースでは、役員報酬の増額が多額過ぎて、会社に負担をかけてしまうことは誰が見ても明らかでした。
昨今の不安定な経済状況からすれば、会社の成長が止まる=会社の死を意味すると言っても過言ではないでしょう。

 

 

【自社株の相続税対策にはバランス感覚が求められる】
会社経営者の相続税対策は多くの場合複雑で、絡まった糸を解くような感覚になります。
その理由は、会社経営者は二面性を持ち合わせているためです。
(1)従業員の雇用を守る「経営者」としての顔
(2)創業家を守る「親」としての顔

極端すぎる相続税対策を実行することで、会社の財務内容を痛めるようなことになれば、従業員の雇用という公器としての役割を果たすことができません。
一方で、消極的過ぎる相続税対策は、会社創業家は相続税により痛い思いをしなければならないかもしれません。

このようなことから、会社経営者の相続税対策は、バランス感覚が求められるのです。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・自社株の相続税対策に銀行から借金をする必要があるのか?(2017/04/06)

・銀行が主導した自社株の相続税対策が国税から否認され訴訟に(2016/09/05)

・持株会社を活用した自社株の相続税対策はうまくいくのか?(2016/08/03)


・オランダなど海外法人節税防止へ、ユニクロ柳井氏どう動く?(2016/07/05)

・相続税対策に持株会社を活用することに限界を感じた(2016/05/18)


・会社経営者の相続税対策が困難を極める3つの理由(2016/04/04)


・自社株の相続税対策に一般社団法人を活用する危険性(2016/01/17)

・自社株の相続税対策に相続時精算課税は意味がない(2015/04/14)


・一般社団法人を活用した相続税対策は効果があるのか?(2014/06/01)


・相続税対策を監査法人に相談したが解決できない(2013/04/26)

・相続税対策に持株会社は意味がない(2012/05/23)


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