先日、会社経営者から相続税対策のご相談がありました。
お困りになっていたのは、会社への貸付金(会社にとっては借入金)の相続税対策でした。
お客様の会社には顧問の税理士さんがおられます。
また、相続税対策を行うにあたり、相続税専門の税理士さんにも相談されておられます。
このような状況で、なぜ税理士長嶋にご相談に来られたのでしょうか。
【相続税専門の税理士さんでも相続税対策ができない】
会社への貸付金(会社にとっては借入金)の相続税対策は、日本の税理士さんの常識として、一般的に次の2つの方法で行われます。
(1)会社への貸付金を会社の資本金に組み替える
(2)会社への貸付金を放棄する
この2つの方法で相続税対策を行う大前提として、「会社に貸したお金は1円も返ってこない」ことを覚悟しなければなりません。
ところが、このお客様のご希望は「会社へ貸し付けたお金は自分の財布に戻したい」とのことでした。
(1)の会社への貸付金を会社の資本金に組み替える方法は、貸付金は社長の財布には1円も戻ってきませんので使うことができません。
また、お客様の会社の業績が良く繰越欠損金がありませんので、(2)の会社への貸付金を放棄すると、会社に法人税が課税され、貸付金は社長の財布には1円も戻ってきませんので、この方法も使えません。
このような事情から、相続税専門の税理士さんでも相続税対策ができないとのことで、お客様は税理士長嶋にご相談くださいました。
【日本の税理士さんが常識とされている相続税対策はまったく意味がない】
日本の税理士さんの常識とされている貸付金(会社にとっては借入金)の相続税対策は、一般的には会社の業績が悪いことを前提としています。
つまり、会社の業績が良い会社の場合には、対応できないことを意味します。
会社の業績が良ければ会社の株式の評価も高額になりますので、相続税が高額になることが予想されます。
むしろ、業績が良い会社の相続税対策ができなければまったく意味がないと考えます。
お客様のご希望である「会社へ貸し付けたお金は自分の財布に戻したい」ことを実現しつつ、
・相続税を減らす対策
・相続税を払ったとしても、財産を減らさない「資産を守る」対策
も併せて行っていきたいと思います。
【相続税対策参考ブログ】
・相続税対策に持株会社は意味がない(2012/05/23)
・相続税対策としての自社株対策はどのようにするべきか?(2012/04/13)
・自社株の相続税対策、相続税専門の税理士では対策できない(2012/03/10)
