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2012/06/01
自社株の相続税対策、会社分割は意味がない

先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
お客様は会社経営をされており、「数年後には会社の経営を子供たちに任せたい」というご希望をお持ちでした。
そのため、会社の株式(自社株)の相続税対策をどのようにすればよいか?という問題を抱えておられました。

自社株の相続税対策について、銀行や相続税専門の税理士さんに相談されたそうですが、お客様自身納得できる方法がないとのことで税理士長嶋にご相談くださいました。

 

【自社株の相続税対策に会社分割を提案された】
お客様は銀行や相続税専門の税理士さんに相談されていましたので、どのようなことが不満に感じられたのかがとても気になりました。
そこで、これまでどのような自社株の相続税対策の提案があったのか?をお客様に質問してみました。
税理士長嶋がお客様の価値観を理解するにはとても重要なことでした。

すると、会社分割の提案があったそうです。
確かにお客様の会社について、教科書通りの相続税対策をするならば、会社分割の提案が出てくるのが常識です。
お客様のお話を詳しくお聞きすると、この常識が通用しないことが明らかでしたので、会社分割の提案に納得されないのも当然であると、税理士長嶋は感じました。

そこで、税理士長嶋はお客様に次のことを申し上げました。
「会社分割は社長の会社には合わない方法なので、やめておかれて正解です」

なぜ、お客様の会社では相続税対策の常識(会社分割)が通用しなかったのでしょうか?

 

【相続税対策としての会社分割は、製造部門と販売部門の事業分離】
お客様の会社の概要は、次のようなものでした。
(1)お客様が会社を創業され40年以上の歴史がある
(2)会社の業種は製造業、自社製品の販売まで手掛けている
(3)会社には子供さんお二人が取締役に入っており、会社を切り盛りしている
(4)子供たちが一人前になったので、数年後に引退をして会長として会社に残る予定
(5)会社の経営権を譲るにあたり自社株の整理を考えたが、自社株の評価が高額になりすぎて身動きが取れない

教科書通りの自社株の相続税対策ですと、製造部門と販売部門を別会社に分離して、後継者である子供さんがそれぞれの会社の社長に就任することになります。
別会社に分離することで、利益や資産規模が小さくなり、自社株の相続税評価額が下がります。
その結果、自社株の整理と相続税対策が同時に行えるというストーリーです。

お客様のお考えでは、教科書的なこの方法は「NO」だったのです。

 

【会社分割をすれば会社が存続できなくなる】
お客様の事業について詳しくお話を伺うと、最も重要な取引先に上場企業があることがわかりました。

そこで税理士長嶋は、お客様に次の質問をしました。
「上場企業と取引をするにあたって、資本金や利益・借入金の有無などクリアすべき取引基準があるのではないでしょうか?」

すると、お客様は次のことをおっしゃいました。
「この点を指摘してくれたのは、長嶋さんが初めてです。」

つまり、会社分割をすることで会社の事業規模が小さくなれば、上場企業との取引基準を満たせなくなる可能性がありました。
最も重要な取引先を失うことになれば、会社の存続そのものが危ぶまれます。

自社株の承継や相続税対策を検討する大前提として、会社が存続しなければなりません。
最も基本的なことですが、今まで誰ひとり指摘する人がいなかったことが不思議でなりませんでした。
相続税のことだけを考えていては本末転倒です。

銀行や相続税専門の税理士さんからは、他の方法として「持株会社」の提案があったそうですが、お客様のお考えではこれも「NO」でした。
教科書通りの相続税対策が、実務でそのまま使えるかどうかはまた別のお話です。
相続税対策で最も重要なことは、お客様の価値観に合っているかどうかではないでしょうか。

 

【自社株対策参考ブログ】
・自社株の相続税対策に限界を感じていませんか?

・自社株の相続税対策に株価引下げが本当に効果があるのか?

・自社株の相続税対策に会社分割をしてはいけない会社がある

・自社株の相続税対策に生前贈与は効果があるのか?

・自社株の相続税対策に持株会社は効果があるのか?

・自社株の相続税対策としての自社株買いにデメリットはないのか?

 

【相続税対策参考ブログ】
・自社株の相続税対策に相続時精算課税は意味がない(2015/04/14)

・自社株の相続税対策に海外持株会社は効果があるのか?(2014/12/16)

・自社株の相続税対策に行き詰まり会社は解体される(2014/10/03)

・自社株の相続税対策と創業家の財産管理(2014/05/17)

・自社株の相続税対策、持株会社の設立はリスクが高すぎる(2013/11/05)

・自社株の相続税対策、自社株買取りは単なる問題の先送り(2013/06/15)

・自社株の相続税対策は早ければ早いほど効果がある(2013/06/04)

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・自社株の相続税対策、生前贈与はまったく意味がない(2012/07/25)

・自社株の相続税対策に行き詰まり会社の売却も検討(2012/06/18)

・相続税対策に持株会社は意味がない(2012/05/23)

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