自社株の株数を減らす
生前贈与をしても
1000年かかる
【自社株対策に生前贈与は効果があるのか?】
自社株の相続税対策として、生前贈与が検討されることは常識となっています。
生前贈与は自社株対策に効果があるのでしょうか。
弊社にご相談いただくお客様の事例として、未上場の会社・上場企業を問わず、自社株の株価が100億円を超えていることは珍しくありません。
例えば、自社株の株価が10億円の会社の場合、すべての自社株を生前贈与するのに1000年かかることになりますが、生前贈与をして意味があるのでしょうか。
何もやらないよりはマシですが、やってもやらなくても、その結果は大きく変わりません。
【生前贈与による自社株対策】
生前贈与により自社株対策を行う際には、次の2つの方法が検討されます。
(1)暦年贈与
(2)相続時精算課税制度
⑴暦年贈与
贈与税の非課税枠を利用して、生前に社長から後継者へ自社株を移してしまうというものです。
確かに生前贈与をすれば社長の相続財産から外れますので、相続税を減らす効果はあるでしょう。
お客様から最も多いご相談は、贈与税の非課税枠の110万円の範囲内で自社株の贈与を提案されたというものです。
例えば、自社株の株価が10億円の会社の場合、すべての自社株を生前贈与するのに1000年かかることになりますが、生前贈与をして意味があるのでしょうか。
何もやらないよりはマシですが、やってもやらなくても、その結果は大きく変わりません。
⑵相続時精算課税制度
暦年贈与では非課税枠が110万円しかありませんので、もっと多くの自社株を生前贈与したい場合には、相続時精算課税制度が検討されます。
相続時精算課税制度は2500万円までの贈与に対して贈与税はかかりませんので、暦年贈与と比べて自社株を多く動かすことができます。しかしながら、相続時精算課税制度により生前贈与した場合には、贈与された財産は相続税を計算するときに相続財産にプラスされてしまうというデメリットがあります。
生前贈与について、暦年贈与を選択した場合は相続税財産から外れますが、相続時精算課税制度を選択した場合は相続財産に含められるため、相続税の節税効果は限定的です。
例えば、自社株の評価額が10億円の会社の場合、贈与税が非課税とされる2500万円分の自社株を生前贈与したところで意味があるのでしょうか。
2500万円を超える贈与をすれば株価上昇分だけ節税できるメリットはありますので、2500万円を超える贈与が行われる場合もありますが、このとき2500万円を超える部分について20%の贈与税が課税されます。
10億円の自社株をすべて生前贈与すると贈与税は約2億円になりますが、この贈与税を払う現金をどのようにして準備するのでしょうか。
何もやらないよりはマシですが、やってもやらなくても、その結果は大きく変わりません。
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