先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。 お客様は会社の創業家ご出身で、お客様が次期社長に指名され4代目社長に就任することが内定されたそうです。 4代目社長に就任するにあたり、自社株の課題をクリアしなければならず、お困りになっておられました。 会社の顧問税理士さんに自社株対策について助言を求めたところ、相続税についてあまり詳しくないとのことで助言をいただけなかったそうです。 そのため、お客様は相続税に詳しい税理士を探して何人かにお会いして相談してみたものの、ありきたりの提案ばかりで自社株の課題はクリアできそうにないと感じられたそうです。 誰に相談してよいのか悩まれていたときに、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。 【自社株の株価が高すぎて相続税を払えない】 お客様から自社株についてお話を伺うと、次のようなことでした。 ・自社株の株価が高すぎるため、身動きが取れない ・会社の筆頭株主はお客様のお父様ですが、持ち株数は過半数をやっと超える程度 ・その他の自社株は、お客様の叔父・叔母が所有しているが、会社経営に関与していない ・お父様が所有する自社株をお客様に移転する際に、多額の税金がかかる ・自社株の半数近くを叔父・叔母が所有しているため、会社の経営権の確保も課題である ・今お父様に相続があれば、とてもではないが相続税を払うことができない ・相続税を払うための現金を作るため役員報酬を増額し、所得税は最高税率で払っている ・役員報酬の半分を所得税で持っていかれるため、貯金が思うようにできない ・お客様の本音は、役員報酬増額分は従業員の給与アップに充てたいと考えている お客様の課題は次の3点であることがわかりました。 (1)お父様から自社株を引き継ぐ際の税金 (2)自社株が分散しているため経営権の確保 (3)相続税を払うための現金が手許にない これらの課題は事業承継を考えている会社であればどの会社にも共通することだと思います。 【それなりの規模の会社はありきたりの自社株対策では創業家の課題は解決できない】 お客様は税理士長嶋とお会いする前に、相続税に詳しい何人かの税理士さんにお会いされ自社株の相談をされたそうです。 どのような提案があったのかを伺ったところ、次のようなことでした。 ・自社株対策には相続時精算課税が効果的である ・事業承継税制を利用してはどうか ・役員報酬の増額を今後も続けましょう お客様のお話を伺った後、税理士長嶋は次のことをお伝えしました。 ・相続時精算課税を使っても自社株対策としてあまり意味はないでしょう ・事業承継税制を利用してもその効果は限定的であるため、あまり意味はないでしょう ・所得税を最高税率で払っていれば、相続税を払うための貯金が増えないのは当然です 相続税に詳しい税理士さんが提案されたことは、書籍やインターネットで調べればすぐにわかることです。 残念なことですが、書籍やインターネットに書かれている程度のレベルの自社株対策では、会社の規模が大きくなればなるほど自社株の課題を解決することはできません。 それなりの規模の会社の自社株対策を行おうとすると、そのレベルのノウハウの蓄積が必要です。 私どもは過去の経験から、このことを十分に理解しています。 そのため、私どもでは税理士さんが提案される内容をお聞きすれば、その税理士さんがどのレベルの仕事をされているのかがすぐにわかります。 【自社株対策に相続時精算課税は意味がない】 日本の税理士の中には、相続時精算課税が自社株対策に有効であると信じている人が「なぜか」とても多いのですが、自社株対策をされたことがあるのか?と大きな疑問を抱きます。 それなりの規模の会社の自社株対策では、多くの場合、相続税を払う資金がないことが大きなテーマとなります。 相続時精算課税を使って生前贈与をすれば、確かに将来の自社株の価値上昇分を避けることができますが、これは焼け石に水でしょう。 その理由は、現状でも相続税が払えないのに将来の自社株の価値上昇分を避けたところで、創業家の課題は何一つ解決していません。 創業家の課題は相続税を払う現金がないことであり、自社株の株価上昇を抑えるといったことは日本の税理士の自己満足に過ぎません。 さらに、それなりの規模の会社の場合、相続時精算課税により課税される贈与税を払う資金を創業家が持っていないことがほとんどです。 相続税も払えない、贈与税も払えない。 会社の規模が大きすぎて身動きが取れないというのは、まさにこの状態を指します。 それなりの規模の会社の自社株対策は、書籍やインターネットに書かれている程度のレベルでは創業家の課題を解決できるはずがなく、それなりの規模の会社の自社株対策を行った経験があり、そのレベルのノウハウの蓄積がなければ創業家の課題を解決することはまず無理でしょう。 私どもは過去の経験からこのことを知っています。 【自社株対策参考ブログ】 ・自社株の相続税対策に限界を感じていませんか? ・自社株の相続税対策に株価引下げが本当に効果があるのか? ・自社株の相続税対策に会社分割をしてはいけない会社がある ・自社株の相続税対策に生前贈与は効果があるのか? ・自社株の相続税対策に持株会社は効果があるのか? ・自社株の相続税対策としての自社株買いにデメリットはないのか? 【相続税対策参考ブログ】 ・自社株の相続税対策に銀行から借金をする必要があるのか?(2017/04/06) ・自社株の相続税対策、役員報酬の増額は資金効率が悪すぎる(2016/12/07) ・相続税対策に持株会社を活用することに限界を感じた(2016/05/18) ・会社経営者の相続税対策が困難を極める3つの理由(2016/04/04) ・自社株の相続税対策、株価が高すぎて身動きが取れない(2015/07/07) ・自社株の相続税対策に海外持株会社は効果があるのか?(2014/12/16) ・ファーストクラスの相続税対策が必要な会社創業家(2014/10/15) ・自社株の相続税対策に行き詰まり会社は解体される(2014/10/03) ・自社株の相続税対策、借金をすることに意味があったのか?(2014/09/05) ・自社株の相続税対策、持株会社の設立はリスクが高すぎる(2013/11/05) ・相続税対策にもファーストクラスとエコノミークラスがある(2013/08/20) ・自社株の相続税対策、自社株買取りは単なる問題の先送り(2013/06/15) ・相続税対策を監査法人に相談したが解決できない(2013/04/26) ・自社株の相続税対策に行き詰まり会社の売却も検討(2012/06/18) ・自社株の相続税対策、会社分割は意味がない(2012/06/01) ・相続税対策に持株会社は意味がない(2012/05/23)