先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。 お客様は10社を超える会社を経営されており、持ち株会社を設立してグループを統括されていました。 このグループ各社の自社株対策について、どのように進めていけばよいのかを悩まれていました。 グループ各社には顧問の税理士さんや会計士さんがおられますので自社株対策の相談をされたそうですが、持ち株会社の上にもう一つの持ち株会社を設立すればよいとの助言だったそうです。 グループの組織が複雑になってしまうこと、そしてこれ以上持ち株会社を設立することにお客様は抵抗を感じたそうです。 そんなとき、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。 【自社株対策のために持ち株会社の上にもう一つの持ち株会社】 お客様から詳しいお話を伺うと次のようなことでした。 ・お客様の会社はお客様のお父様が創業され、現在は10社を超えるグループ企業にまで成長した ・お客様のお父様の相続税対策とグループ企業の統括のために持ち株会社を設立した ・ある理由により、お客様自身の相続税対策を考えるようになった ・グループ各社の自社株対策について最善の方法を検討したい お客様はグループ各社の自社株対策について顧問の税理士さんや会計士さんに相談され、持ち株会社の上にもう一つの持ち株会社を設立することを助言を受けましたがお客様は「NO」という判断をされました。 なぜお客様は持ち株会社を設立することに納得されなかったのでしょうか。 【自社株対策として持ち株会社を活用することに限界を感じた】 お客様が持ち株会社について疑問に感じたことは次の2点でした。 (1)子供や孫が自社株の相続税対策を検討するたびに持ち株会社が増えていくことになる (2)(1)の結果として、グループの中にペーパーカンパニーのようなものができてしまい組織が複雑になる (1)について、お客様は自社株対策として持ち株会社を活用することに限界を感じたとおっしゃいました。 その理由は次のようなことでした。 ・お父様の自社株対策としてお客様が持ち株会社を設立した ・今回お客様の自社株対策としてさらに子供や孫が持ち株会社を設立するようなことになれば、今後創業家が自社株対策を検討するたびに芋づる式に持ち株会社が増えていくことになる ・子供や孫が持ち株会社を設立する時には自社株の評価は今よりも高額になっていることが予想されるため、自社株の承継は今よりも困難になるだろう ここで(1)の結果として(2)の疑問が出てきます。 持ち株会社の株式を所有するためだけの持ち株会社が芋づる式に増えていくことになるため、グループ内部にペーパーカンパニーのようなものがいくつもできてしまうことになる。 つまり、お客様のご希望は、創業家にとってシンプルに自社株の問題を根本的に解決できる対策を打っておきたいとのことでした。 【物事を見る角度が異なればそこから見えてくる景色も違ってくる】 創業家にとってシンプルに自社株の問題を根本的に解決できる対策といえば、多くのお客様は「一般社団法人」を想像されます。 そこで、自社株対策に一般社団法人を活用するのか?というご質問をお客様から必ずいただきます。 私どもでは一般社団法人を活用した相続税対策の危険性を2014年から指摘しておりますので、一般社団法人を活用することはありません。 参考までに、一般社団法人の危険性を指摘している次の2つのブログをご紹介します。 ・一般社団法人を活用した相続税対策は効果があるのか?(2014/06/01) ・自社株の相続税対策に一般社団法人を活用する危険性(2016/01/17) それでは、創業家にとってシンプルに自社株の問題を根本的に解決できる対策があるのでしょうか? 結論から申し上げれば「ある」というお答えになります。 一般的な日本の税理士は「節税する」という視点から物事を考えていきますが、私どもは「資産を守る」という少し違う視点から物事を考えています。 物事を見る角度が異なればそこから見えてくる景色も違ってくるため、一般的な日本の税理士とは違う結論が導き出されるのです。 【相続税対策参考ブログ】 ・自社株の相続税対策に限界を感じていませんか? ・自社株の相続税対策に銀行から借金をする必要があるのか?(2017/04/06) ・自社株の相続税対策、役員報酬の増額は資金効率が悪すぎる(2016/12/07) ・会社経営者の相続税対策が困難を極める3つの理由(2016/04/04) ・自社株の相続税対策、株価が高すぎて身動きが取れない(2015/07/07) ・自社株の相続税対策と海外事業における資金調達(2015/06/26) ・自社株の相続税対策に相続時精算課税は意味がない(2015/04/14) ・自社株の相続税対策に海外持株会社は効果があるのか?(2014/12/16) ・自社株の相続税対策、持株会社の設立はリスクが高すぎる(2013/11/05) ・相続税対策を監査法人に相談したが解決できない(2013/04/26) ・相続税対策に持株会社は意味がない(2012/05/23)