先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いさせていただきました。 お客様がお困りになっていたのは相続税対策のことだけではなく、資産運用をどうするべきかという問題も抱えておられました。 そこで、お客様はプライベートバンクの口座開設セミナーに参加され話を聞いてきたそうです。 税理士長嶋は、お客様に次の質問をしました。 『その業者さんは本当にプライベートバンクを紹介してくれるのでしょうか?』 【プライベートバンク口座開設セミナーは危険】 ・プライベートバンクに口座を開きましょう ・プライベートバンクの視察ツアーに参加しませんか? など、プライベートバンクに口座を開設するセミナーやツアーが多数開催されています。 税理士長嶋は、このようなセミナーやツアーは危険であると考えます。 なぜなら、セミナーを主催している業者自身が、そもそもプライベートバンクの使命(本質)を理解していないからです。 【プライベートバンクはお客様を守ることが使命】 プライベートバンクは、お客様を守ることを使命としています。 具体的に、お客様を守るとは何を意味するのでしょうか。 それは、 ・お客様の資産を守ること ・お客様のプライバシーを守ること にあります。 プライベートバンクに口座を開設するセミナーがどのように開催されるのか一度想像してみてください。 高級感を出すために、ホテルの宴会場を借りて行われることもありましょう。 口座開設に興味がある方々が集まりますので、誰がセミナー会場にいるのかという「顔」がわかってしまいます。 また、プライベートバンクの視察ツアーに参加すれば、数日間ツアー参加者と行動を共にします。 そのため、参加者の顔だけではなく、 ・職業 ・お住まい などが世間話から知られてしまうことになります。 さらに、○○銀行に口座を開設したこともツアー参加者に知られてしまいます。 このような状況で、プライバシーは守られるでしょうか。 つまり、プライバシーが守られないセミナーやツアーは、そもそもプライベートバンクの使命に反する行為です。 プライベートバンクが主導してこのようなセミナーを開催するはずがありません。 このようなことから、セミナーを主催している業者は、そもそもプライベートバンクの本質(使命)を理解していないと考えられます。 【プライベートバンカーはどこの誰だかわからない人には会いたくない】 プライベートバンクに口座を開くには、プライベートバンカーとの面談が必要です。 なぜなら、プライベートバンクは、 ・脱税 ・マネーロンダリング などの資金について非常に神経質であるからです。 そのため、プライベートバンクは身元が明るい方が口座を開設することを望んでいます。 しかしながら、セミナーやツアーで集まる方はどうでしょうか。 表現の仕方が適切ではないかもしれませんが、どこの誰だかわからない方の集まりです。 脱税やマネーロンダリングに対して神経質であるプライベートバンクは、身元が明るくはないこれらの方々に会いたくはありません。 なぜなら、とてもリスクがあるためです。 このようなセミナーで外国人が話す機会があると思いますが、スイスなど本国では通用しなかった自称バンカーが日本に来て仲介業者の一員として顧客を勧誘しているとしか思えません。 【税理士長嶋はプライベートバンクの仲介業者ではありません】 プライベートバンクを紹介する業者は、あくまでも仲介業者にすぎません。 銀行を紹介し、お客様から紹介手数料をいただく。 それを本業としています。 しかしながら、税理士長嶋はプライベートバンクを紹介する仲介業者ではありません。 税理士長嶋は、お客様がご希望されていることや目的を実現させること。 そして、お困りになっていることを解決することを本業としています。 プライベートバンクを利用することはあくまでも、お客様がご希望されることを実現するためやお困りのことを解決するための「手段」であり「目的」ではありません。 そのため、プライベートバンクをご紹介したとしても紹介料をお客様からいただきません。 【一般に公開されている情報の取捨選択は自己判断】 スイス・香港・シンガポールなど、海外の銀行(プライベートバンク)に口座開設を検討されている方が情報を得る主な方法として、インターネットや書籍が挙げられると思います。 これらの情報は、誰でも簡単に入手できるものであり、逆に誰でも簡単に情報発信することができるものでもあります。 このような簡単に入手できる情報は、正しい情報と正しくない情報が混在しており、場合によっては情報操作を意図として正しくはない情報が発信されることもあります。 このような情報に溢れる社会の中で、どの情報を取捨選択するかは口座開設を検討されているみなさまが判断することになります。 最も重要なことは、どこに正しい情報があるのかを適切に判断することだと思います。 怪しげな情報ばかりを得ていると、正しい情報を間違った情報だと解釈してしまう可能性があります。 また、間違った情報を正しい情報だと解釈してしまう可能性があります。 これらの情報は、多くは必要ありません。 良質な情報が少しだけあればそれで十分なのではないでしょうか。 【相続税対策参考ブログ】 ・スイスの銀行(プライベートバンク)に口座を開設する ・スイスプライベートバンク詐欺、時間をかけて信用させる手口(2017/09/18) ・シンガポールプライベートバンク、ジャパンデスク閉鎖で金融難民続出(2017/06/25) ・相続税対策に海外財団法人は本当に効果があるのか?(2017/06/01) ・シンガポールプライベートバンカーの相続税対策に税務上問題あり(2017/05/27) ・スイス銀行口座開設、悪質な仲介業者にご注意(2016/10/05) ・スイス銀行、信頼できるプライベートバンカーの見分け方(2015/10/06) ・スイス銀行口座開設、詐欺を見抜く2つのポイント(2015/06/09) ・スイス銀行口座開設がネットワークビジネス化している!?(2015/03/30) ・スイス銀行を使いこなすにはノウハウが必要(2014/12/19) ・シンガポールに資産移転をしても相続税対策にならない(2013/12/16) ・スイスプライベートバンク口座開設、詐欺にご注意(2013/08/12) ・HSBC香港口座開設ツアー参加費用、夫婦で50万円!?(2012/07/14) ・海外銀行口座開設ツアーにだまされてHSBC香港に口座開設(2012/07/11) ・スイス銀行口座開設、資産運用はバンカーの能力で決まる(2012/05/14) ・HSBC香港など海外銀行口座開設ツアーにご注意(2012/02/03) ・スイス銀行口座開設、日本人プライベートバンカーに注意(2012/01/29) ・スイスなど海外銀行に口座開設を検討されているみなさまへ(2011/08/19) ・スイスの銀行(プライベートバンク)口座開設のご相談(2011/05/06)