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2017/06/01
相続税対策に海外財団法人は本当に効果があるのか?

先日、相続税対策と所得税の節税対策についてご相談があったお客様にお会いしてきました。

お客様は会社経営をされており、所得税は最高税率で課税されているとのことでした。
また、預貯金などの金融資産も多額になってきたことから、将来の相続税対策と現在の所得税の節税対策を考えたいとのことでした。

お客様は相続税対策と所得税の節税を知人に相談したところ「節税コンサルタント」と名乗る人物の紹介を受けたそうです。
節税コンサルタントと称する人物から「海外法人と海外財団法人を利用して所得税と相続税を節税しましょう」との提案を受けたとのことでした。
お客様は「脱法行為ではないか?」と心配され、節税コンサルタントと称する人物を信頼してよいのか躊躇されていました。

そんなとき、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。

結論から申し上げると、海外法人や海外財団法人を利用することにより、日本の税法の抜け穴をつくような素人レベルの提案でした。
節税コンサルタントと称する人物の提案を実行すれば、日本で税務リスクを抱えることは明らかです。
また、節税コンサルタントと称する人物はスイスプライベートバンクの口座開設の仲介業者であり、お客様に資産運用させて手数料を得ることが目的なのだと、税理士長嶋は感じ取りました。


 

 

【海外の法人と財団法人を利用すれば本当に日本の所得税と相続税を節税できるのか?】
お客様から詳しいお話を伺うと次のようなことでした。
・お客様は会社経営をされており、収入が多額になっていることから、所得税は最高税率で課税されている。
・高額な日本の所得税を節税でき、将来の相続税の節税もできるとのことで、知人から節税コンサルタントと称する人物の紹介を受けた。
・節税コンサルタントと称する人物の話では、海外法人と海外財団法人を利用すれば日本の所得税と相続税を節税できるとのことだった。
・海外法人と海外財団法人を利用するには、スイスのプライベートバンクに口座を開設することが必須とのことだった。

 

この手の話は、なぜか日本人の節税コンサルタントや海外投資コンサルタントが、必ずプライベートバンクに口座開設することを勧めてきます。
税理士長嶋はいつも次のような疑問を抱きます。
・なぜ海外の財団法人なのか、日本の財団法人ではダメなのか?
・なぜプライベートバンクに口座開設をする必要があるのか?
・節税コンサルタントや海外投資コンサルタントは身元が明るい人物なのか?
・本当に日本の税務上の問題をクリアできるのか?
・日本の税理士でもない無資格の節税コンサルタントや海外投資コンサルタントが、日本人の節税の指南をしてよいのか?


 

 

【海外法人と海外財団法人を利用した節税に日本の税務上問題はないのか?】
海外法人と海外財団法人を利用する日本の所得税の節税と相続税の節税は次のようなストーリーでした。
・海外法人を設立して、日本で得ている収入を海外法人に入れる
・海外財団法人を設立し、海外法人に貯まった資金を海外財団法人に寄付をする
・海外財団法人に貯まった資金は、お客様自身が自由に使うことができる
・海外法人から海外財団法人への寄付はタックスヘイブン税制の対象外のため日本の税法上まったく問題ない
・海外財団法人には持分がないため、海外財団法人に貯まった資金には将来日本の相続税がかからない

 

このお話を聞いたとき、お客様には大変失礼になりましたが、税理士長嶋は失笑してしまいました。
その理由は、素人がインターネットで調べたかのようなあまりにも幼稚で、日本の国税が見逃すはずがありません。
税理士長嶋はストレートに「日本の国税は脱税と見ます」とお客様にお伝えしました。

節税コンサルタントと称する人物は「タックスヘイブン税制に抵触しない」ことを繰り返しお客様に説明されたそうです。
はっきりと申し上げますが、日本の国税はそんな低い次元で物事を考えていません。

日本の国税はもっと高い次元で広い視野で物事を考えており、この程度の脱税であれば摘発するのは簡単なことです。
世界中の富裕層が知恵を絞って作り上げた節税でさえ「パナマ文書」で公表されているのです。
なぜ節税コンサルタントと称する人物は、あれだけ世間を騒がせたパナマ文書の教訓を活かそうとはしないのでしょうか。

節税コンサルタントや海外投資コンサルタントだけではなく、プライベートバンカーが提案してくる節税対策にも日本の税務上問題を抱えていることがあります。
シンガポールのプライベートバンカーが顧客に提案した日本の相続税対策の手法に日本の税務上問題を抱えている相談事例として、2017年5月27日の相続税対策ブログ「シンガポールプライベートバンカーの相続税対策に税務上問題あり」をご紹介します。

 

 

【なぜスイスのプライベートバンクに口座が必要なのか?】
海外法人や海外財団法人を利用するために、なぜスイスのプライベートバンクに口座が必要なのでしょうか。
海外法人や海外財団法人の設立であれば海外の法律事務所でも対応でき、プライベートバンクが対応してもこれらは法律事務所などに外注されることが一般的です。
節税コンサルタントと称する人物が海外の法律事務所と提携していないため、スイスのプライベートバンクに丸投げをすることになるのは容易に想像できました。

しかも、スイスのプライベートバンクといっても、口座開設する銀行が指定されていることから、節税コンサルタントと称する人物はスイスのプライベートバンクの口座開設の仲介業者です。
彼らの目的は、お客様に口座を開設させ、資産運用をさせて手数料収入を得たいことが明白です。

そもそも、節税コンサルタントと称する人物が口座開設を勧めてきたプライベートバンクがこの手の仕事を引き受けるのか、はなはだ疑問です。
プライベートバンクが指南した節税方法で、顧客の税について顧客の母国の国税から指摘を受けるようなことがあれば、プライベートバンクの信用問題になってきます。
常識的なプライベートバンクであれば、少なくとも日本の税理士から日本の税務に関する意見書を要求します。

もし、節税コンサルタントと称する人物が勧めてきたプライベートバンクが海外法人・海外財団法人の節税方法を実行した場合、本当にプライベートバンクなのか?と疑わしい限りです。
この程度のレベルの節税コンサルタントと付き合っているプライベートバンクは、プライベートバンク自身が顧客の税務リスク管理ができない証拠でもあります。
そうなると、プライベートバンクの本来業務である資産運用能力や危機管理能力もたかが知れているでしょう。
このようなレベルの低いプライベートバンクと付き合うべきではありません。

プライベートバンクの口座開設の話になったときには、信頼できるプライベートバンカーなのかどうかを見極める必要があるでしょう。
信頼できるプライベートバンカーの見分け方について、2015年10月6日付の相続税対策ブログ「スイス銀行、信頼できるプライベートバンカーの見分け方」においてご紹介しています。

また、近年の傾向としてプライベートバンクの口座開設がネットワークビジネス化しているのでは?と税理士長嶋は感じることがあります。
口座開設を勧める仲介業者をどのように見分ければよいのか、詐欺ではないのか、ネットワークビジネスに巻き込まれる可能性があることにも注意が必要でしょう。

口座開設を勧める仲介業者の見分け方について、2016年10月5日付の相続税対策ブログ「スイス銀行口座開設、悪質な仲介業者にご注意」においてご紹介しています。
口座開設を勧める仲介業者の詐欺について、2015年6月9日の相続税対策ブログ「スイス銀行口座開設、詐欺を見抜く2つのポイント」においてご紹介しています。
ネットワークビジネス化していることについて、2015年3月30日付の相続税対策ブログ「スイス銀行口座開設がネットワークビジネス化している!?」においてご紹介しています。

 

 

【節税コンサルタントや海外投資コンサルタントとはいったい何者なのか?】
この手の話を持ち込んでくる節税コンサルタントや海外投資コンサルタントと称する人物とはいったい何者なのか?
コンサルタントと称する人物のほとんどが銀行・証券会社・会計事務所を退職した、銀行員崩れ・証券マン崩れ・税理士や会計士になれなかった無資格の元会計事務所職員であることを知っておくべきです。

もしお客様が税務調査の対象になった場合、彼らはどのような対応をとるでしょうか。
彼らはそもそも日本の税理士ではありませんので、お客様の税務調査に立ち会うことすらできません。
また、彼らは税理士資格を取得していないため、税理士会から懲戒処分を受けることもなければ、税理士資格をはく奪されることもなく、そもそも税務リスクを説明する義務もないでしょう。
もし都合が悪くなれば、お客様の前から姿を消せばいいだけのこと・・・

失うものがない無資格者であるため、やりたい放題の世界で生きる人たちであることを十分に理解するべきでしょう。

 

 

【なぜ海外法人・海外財団法人なのか?】
法人や財団法人を利用するのであれば、日本の法人や日本の財団法人・社団法人ではダメなのでしょうか?
節税コンサルタントによれば、海外財団法人が相続税対策になる理由は「持分がない」とのこと。
持分がないことが相続税対策になるのであれば、日本の社団法人や財団法人も同様に持分がありませんので、日本国内で完結する話です。
わざわざ舞台を海外に移す理由が見えてきません。

日本の国際弁護士や国際税理士の中には、マレーシアのラブアン島に財団法人を設立することを勧める人もいます。
この事例について、2017年8月19日付の相続税対策ブログ「マレーシアラブアン島の財団法人は日本の相続税対策になるのか?」にてご紹介しています。

摩訶不思議なことですが、近年日本で社団法人や財団法人を利用した相続税対策が流行しています。
日本の税理士の中には、社団法人や財団法人を利用すれば相続税対策になり、税務上まったく問題がないと豪語している人もいるため、節税コンサルタントは海外財団法人でも問題がないと思い込んでいるのでしょう。
社団法人や財団法人を利用した相続税対策には本当に税務リスクがないとでも思っているのでしょうか。

税理士長嶋は社団法人・財団法人を利用した相続税対策の税務リスクを2014年から指摘しています。
詳しくは次の2つの相続税対策ブログにてご紹介しています。
・一般社団法人を活用した相続税対策は効果があるのか?(2014/06/01)

・自社株の相続税対策に一般社団法人を活用する危険性(2016/01/17)

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・スイス銀行(プライベートバンク)口座開設

・公益財団法人を活用した相続税対策にリスクはないのか?(2017/07/10)

・シンガポールプライベートバンク、ジャパンデスク閉鎖により金融難民続出(2017/06/25)

・スイス銀行を使いこなすにはノウハウが必要(2014/12/19)

・相続税を知らない弁護士がプライベートバンク口座開設を斡旋(2014/09/20)

・プライベートバンクに口座開設しても相続税対策になるはずがない(2014/04/19)

・スイスプライベートバンク口座開設、詐欺にご注意(2013/08/12)

・シンガポールプライベートバンク口座開設ツアーにご注意(2012/08/28)

・スイス銀行口座開設、バンカーの助言でトラブルに巻き込まれる(2012/04/30)

・スイス銀行口座開設、日本人プライベートバンカーに注意(2012/01/29)

・プライベートバンク口座開設セミナー・視察ツアーにご注意(2012/01/08)

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