先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。 お客様のお父様が数年前に亡くなり、相続税の納税と相続税の申告書の提出を数年前に済まされたとのことでした。 ところが、今年になり税務署から相続税について税務調査を行うとの連絡があり、相続税の税務調査を受けられました。 相続税の申告書は顧問の税理士さんが作成されましたので、相続税の税務調査についても顧問の税理士さんにお願いされたそうですが、顧問の税理士さんは税務署側に立つ発言が目立ち、お客様ご家族のために何もしてくれなかったそうです。 お客様ご家族が税務署と直接やり取りする形で税務調査が進み、最近になりようやく税務調査が終わったとのことでした。 税務調査の論点となったのは、お父様がプライベートバンクに口座をお持ちだったため申告漏れが想定されたとのことでした。 お客様のお話では、海外に財産があるというだけで非常に厳しい税務調査が行われたようで、こんなに面倒なことになるのであれば今後プライベートバンクに口座を持ち続けて良いものか?疑問に感じられたそうです。 そんなとき、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。 【国外財産調書が提出されている税務調査は税務署職員を本気にさせる】 お客様はお父様が所有されていたプライベートバンクの口座を引き継ぎ、口座にあった預金などを相続されました。 このことにより、お客様は国外財産調書を提出する義務がありました。 お客様は国外財産調書を提出されていましたので、相続税の税務調査に併せて次の2つの調査が行われました。 (1)お父様についての準確定申告 (2)お客様についての所得税の確定申告 つまり、相続税の申告漏れが想定されたため、プライベートバンクの口座に関する金融資産の収入が所得税の確定申告で漏れていないかを調べられたということになります。 お客様のお話では、国外財産調書を提出していることで、税務署職員は気合いをいれて税務調査をしているように感じたそうです。 近年の国税は、海外資産に対する税務調査を重点的に行っていることから、税務署職員に気合いが入るのも致し方ないことなのでしょう。 プライベートバンクの口座に関する相続財産の申告漏れ、そしてプライベートバンクの口座に関する金融資産の収入の調査が非常に面倒で時間がかかったそうです。 お客様は国外財産調書を提出していることもあり、こんな面倒なことをしていては毎年の所得税の確定申告もできないと感じたそうです。 プライベートバンクの口座を閉鎖して資金を日本に戻した方がどれだけストレスから解放されるかと思うようになったそうです。 【プライベートバンクに口座開設することが目的ではなく口座をどのように活用するか】 お客様のお話を伺うにつれて、税理士長嶋に一つの疑問が出てきました。 なぜ、このような面倒な結果になったのか?ということです。 結論から申し上げると、お父様がプライベートバンクの本当の使い方をご存じでなかったとしか思えないのです。 日本人の多くは、プライベートバンクに口座を開設して資産運用をすることが目的でありゴールであるという認識が一般的ですが、それはそれは大きな間違いです。 税理士長嶋から言わせれば、プライベートバンクに口座を開設することはスタート地点に立っただけであり、銀行口座をどのように活用するのかがポイントになるのです。 銀行口座をどのように活用するのかのノウハウは、私どものように現場で実務を経験している人間だけが知り得ることです。 一方、銀行口座の仲介業者は口座を開設することが彼らの仕事であるため、銀行口座をどのように活用するのかのノウハウを持ち合わせているはずがありません。 この点が私どもと仲介業者の大きな違いとなります。 ハッキリと申し上げますが、プライベートバンクもプライベートバンカーもピンキリですので、当然のことながら仲介業者もピンキリです。 【プライベートバンカーの言うことを信じていいのか?】 お客様はプライベートバンクに入っている資金を今後どのようにすれば良いのかを悩まれています。 プライベートバンカーからいくつか提案があったそうですが、お客様はその通りに実行するようなことはしませんでした。 その理由は、プライベートバンカーの言うことを本当に信じていいのか?という疑問を持っているためです。 お客様自身、バンカーの提案が良いのか悪いのか判断する材料がありません。 また、顧問税理士さんは海外のことを知らないので、お客様は相談さえもしていません。 お客様のために助言をしてくれる人が周りにいないため、判断することができないのです。 これがお客様が税理士長嶋に連絡をくださった理由となります。 お客様の置かれている状況を考えると、やはりお父様はプライベートバンクの本当の使い方をご存じでなかったという結論に達してしまうのです。 お父様が本当の使い方をご存じなのであれば、このような結末になるはずがありません。 【相続税対策参考ブログ】 ・スイス銀行(プライベートバンク)口座開設 ・シンガポールプライベートバンク、ジャパンデスク閉鎖で金融難民続出(2017/06/25) ・相続税対策に海外財団法人は本当に効果があるのか?(2017/06/01) ・シンガポールプライベートバンカーの相続税対策に税務上問題あり(2017/05/27) ・スイス銀行口座開設、悪質な仲介業者にご注意(2016/10/05) ・スイス銀行、信頼できるプライベートバンカーの見分け方(2015/10/06) ・スイス銀行口座開設、詐欺を見抜く2つのポイント(2015/06/09) ・海外在住日本人の相続税対策と資産保全・資産防衛(2015/05/31) ・スイス銀行口座開設がネットワークビジネス化している!?(2015/03/30) ・相続税を知らない弁護士がプライベートバンク口座開設を斡旋(2014/09/20) ・プライベートバンクに口座開設しても相続税対策になるはずがない(2014/04/19) ・海外銀行の共同名義口座が相続税対策になるはずがない(2014/03/29) ・スイスプライベートバンク口座開設、詐欺にご注意(2013/08/12) ・シンガポールプライベートバンク口座開設ツアーにご注意(2012/08/28) ・スイス銀行口座開設、バンカーの助言でトラブルに巻き込まれる(2012/04/30) ・スイス銀行口座開設、日本人プライベートバンカーに注意(2012/01/29) ・プライベートバンク口座開設セミナー・視察ツアーにご注意(2012/01/08)