先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。 お客様のお父様が40年前に会社を創業され、お客様は専務として会社経営に携わっておられました。 ところが、昨年お父様が亡くなられたため、お客様が会社を引き継ぎ社長に就任されました。 お父様の相続において相続税の申告が必要でしたが、顧問の税理士さんは相続税について詳しくないため、相続税の申告は顧問税理士ではない相続税専門の税理士さんにお願いしたそうです。 先日相続税の申告も済ませたことから、ようやく今後のことを考える余裕ができたとのことでした。 今回の相続では何とか相続税を払うことができたそうですが、今後のことを考えると早いうちから自社株の相続税対策をしておいたほうが良いと判断されたそうです。 今後の相続税対策についても顧問の税理士さんに依頼するつもりはなく、相続税対策に詳しい税理士を探しておられました。 そんなとき、税理士長嶋のホームページをご覧になり、ご連絡をいただきました。 【銀行との付き合いで借金をして賃貸マンションを購入した】 お客様のお父様も生前から自社株対策が必要であることは十分にご理解されていたため、自社株の相続税対策について銀行に相談されたそうです。 銀行から借金をして賃貸マンションを購入することを勧められ、賃貸マンションを5年ほど前に購入されました。 その当時社長であったお父様はあまり乗り気ではなかったそうですが、銀行員のノルマクリアのために泣きつかれたこともあり、銀行との付き合いも考慮して借金をされました。 会社の本業は自社製品の製造と販売ですので、賃貸マンションは本業とはまったく関係のないものでした。 社長に就任されたお客様は、以前から本業とは関係のない借金を作ることに否定的で、次のようにお考えでした。 ・本業とは関係ない借金を作ることで、資金繰りに影響が出た場合どうするのか ・もし、借金返済できないような状況になっても、銀行は責任を取ってくれるはずがない ・銀行は相続税対策と称して借金させることがみえみえで、そのやり方に納得いかない そんな中、昨年お父様に相続が発生してしまいました。 【本業とは関係のない借金をしたが本当に自社株対策になっているのか】 自社株対策と称して本業とは関係のない借金をして賃貸マンションを購入したのが5年ほど前。 当然のことながら借金はまだ残っており、本業の利益から生み出した現金を使って借金返済をしています。 お客様からすると、借金返済に回している資金を本業に投資することができれば、もっと会社は成長すると考えておられます。 会社経営という視点からすれば、借金をして賃貸マンションを購入したことが本当に自社株対策になっているのか、疑問を持たれていました。 お父様の相続によりお客様が会社を引き継がれましたが、お客様から次の世代へ会社を引き継ぐときのことを考慮して、今から相続税対策を検討したいとのお話でした。 お客様の本音としては「借金をして賃貸マンションを購入する」以外にもっと効果的な自社株対策があったのではないか?という想いが強いように感じます。 【自社株対策を銀行に相談したのがそもそもの間違い】 税理士長嶋から言わせれば、自社株対策を銀行に相談したことがそもそもの間違いです。 銀行は融資をすることが仕事ですので、相続税対策と称して融資をする話しかしません。 銀行の本音としては、事業資金であれ創業家の相続税対策であれ、とにかく融資ができれば何でもいいわけです。 賃貸マンションの購入資金の借り入れをした理由の一つとして「銀行員のノルマクリアのために泣きつかれた」というものがあります。 銀行員はすぐに転勤してしまいますので、担当者が変われば一から人間関係の作り直しになるため、銀行員の顔を立てる意味はないでしょう。 また、資金繰りが苦しくなったときのことを考えて、銀行との付き合いを深めておくことをお父様は選択されましたが、これも意味がないでしょう。 冷静に考えて、資金繰りが苦しくなった会社に誰が資金融資をするでしょうか。 銀行という業界は、晴れた日に傘を貸すことで利益を出すビジネスモデルです。 むしろ、雨が降りそうなときには傘を返してくれと言ってきます。 相続税対策は誰に相談するかでその結果は大きく異なります。 相談する相手を間違えると、それはそれは大変なことになるでしょう。 【自社株対策参考ブログ】 ・自社株の相続税対策に限界を感じていませんか? ・自社株の相続税対策に株価引下げが本当に効果があるのか? ・自社株の相続税対策に会社分割をしてはいけない会社がある ・自社株の相続税対策に生前贈与は効果があるのか? ・自社株の相続税対策に持株会社は効果があるのか? ・自社株の相続税対策としての自社株買いにデメリットはないのか? 【相続税対策参考ブログ】 ・自社株の相続税対策、株価が高すぎて身動きが取れない(2015/07/07) ・自社株の相続税対策に海外持株会社は効果があるのか?(2014/12/16) ・自社株の相続税対策に行き詰まり会社は解体される(2014/10/03) ・監査法人から提案された相続税対策に海外移住は不安(2014/07/19) ・自社株の相続税対策と創業家の財産管理(2014/05/17) ・自社株の相続税対策、持株会社の設立はリスクが高すぎる(2013/11/05) ・自社株の相続税対策、自社株買取りは単なる問題の先送り(2013/06/15) ・自社株の相続税対策は早ければ早いほど効果がある(2013/06/04) ・相続税対策を監査法人に相談したが解決できない(2013/04/26) ・自社株の相続税対策、生前贈与はまったく意味がない(2012/07/25) ・自社株の相続税対策に行き詰まり会社の売却も検討(2012/06/18) ・自社株の相続税対策、会社分割は意味がない(2012/06/01) ・相続税対策に持株会社は意味がない(2012/05/23) ・相続税対策としての自社株対策はどのようにするべきか?(2012/04/13)