先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。 お客様の家系は曾祖父の時代から会社経営をされており、お客様が次期4代目社長に就任することが内定したそうです。 会社を引き継ぐにあたり自社株を承継することになりましたが、この自社株の株価が非常に高額になっているため、動くに動けない状況に困っておられました。 顧問の税理士さんに相談しても自社株の問題を解決できるような提案が出てこないため、それなりの規模の自社株の相続税対策を経験している税理士を探しておられました。 そんなとき、税理士長嶋のホームページをご覧になり、ご連絡をいただきました。 【自社株の株価が高すぎるために下手に動けない】 お客様から詳しいお話を伺うと、次のようなことでした。 ・会社は曾祖父の時代に起業し、祖父母の世代が会社を大きくした ・祖父母は3人兄弟で仲良く会社経営を行っていたため、自社株は各人1/3ずつ所有していた ・祖父母の相続により自社株は父・叔父叔母の世代に引き継がれていった ・父の世代になり、父・叔父叔母が会社経営をしている ・現在の会社の社長はお客様のお父様ですが、お父様は自社株を全体の1/3しか所有していない ・叔父叔母の中には亡くなった人もいるため、その自社株は従兄弟世代に引き継がれている ・従兄弟の中には会社員として生活している者が複数おり、自社株を所有しているものの会社経営とはまったく関係ない者も出てきている ・お客様は次期社長に就任することが内定したため、お客様自身が自社株を所有する必要がある ・自社株の株価が高額になりすぎているために、自社株を動かすにも動かせない状況にある お客様のお話から、次のようなことが課題であることがわかりました。 ・お父様から自社株を引き継ぐ場合に、株価が高すぎるために税負担が大きい ・自社株が叔父・叔母・従兄弟に分散されてしまっており、お父様所有の自社株を承継しても会社の経営権を持つことができない ・叔父・叔母・従兄弟に分散された自社株をどのようにして集約すればよいのか 【自社株をどのようにして引き継ぎ集約させるのか?】 お客様が会社を引き継ぐにあたり、お父様が所有する自社株をどのようにして引き継ぐのかが課題となります。 また、会社の経営権を確保するために、叔父・叔母・従姉妹に分散された自社株の一部を集約することも必要でしょう。 これらについて会社の顧問税理士さんに相談したところ、生前贈与により自社株対策をしていくことを提案されたそう。 しかしながら、お客様は納得されませんでした。 それもそのはず、贈与税の非課税枠110万円の範囲内で自社株を贈与されたところで3000年以上の時間が必要ですので、これではあまりにも非現実的です。 【日本の相続税対策は金太郎飴】 一般的に自社株対策といえば、日本では会社の規模の大小に関係なく次のような方法が提案されます。 ・自社株の株価引き下げ ・会社分割 ・生前贈与 ・持株会社の設立 ・自社株買い これらの方法は、それなりの規模の会社の場合には概ね次のような結果になることが目に見えています。 (1)まったく効果が期待できない (2)会社の資金負担が大きすぎる (3)創業家の資金負担が大きすぎる (4)時間がかかりすぎる 自社株対策に限らず相続税対策全般に言えることですが、お客様の状況はそれぞれ異なりますので、お客様ごとに相応しい解決策があるはずです。 それなりの規模の会社の自社株対策にはファーストクラスの相続税対策が必要であるにもかかわらず、残念なことに日本では誰に相談しても金太郎飴のような提案(エコノミークラス)しか出てきません。 エコノミークラスの相続税対策では対応できないお客様が私どもの玄関をノックされます。 【自社株対策参考ブログ】 ・自社株の相続税対策に限界を感じていませんか? ・自社株の相続税対策に株価引下げが本当に効果があるのか? ・自社株の相続税対策に会社分割をしてはいけない会社がある ・自社株の相続税対策に生前贈与は効果があるのか? ・自社株の相続税対策に持株会社は効果があるのか? ・自社株の相続税対策としての自社株買いにデメリットはないのか? 【相続税対策参考ブログ】 ・相続税対策に持株会社を活用することに限界を感じた(2016/05/18) ・会社経営者の相続税対策が困難を極める3つの理由(2016/04/04) ・自社株の相続税対策に相続時精算課税は意味がない(2015/04/14) ・自社株の相続税対策に海外持株会社は効果があるのか?(2014/12/16) ・ファーストクラスの相続税対策が必要な会社創業家(2014/10/15) ・自社株の相続税対策に行き詰まり会社は解体される(2014/10/03) ・自社株の相続税対策、借金をすることに意味があったのか?(2014/09/05) ・自社株の相続税対策、持株会社の設立はリスクが高すぎる(2013/11/05) ・相続税対策にもファーストクラスとエコノミークラスがある(2013/08/20) ・自社株の相続税対策、自社株買取りは単なる問題の先送り(2013/06/15) ・相続税対策を監査法人に相談したが解決できない(2013/04/26) ・自社株の相続税対策に行き詰まり会社の売却も検討(2012/06/18)