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2014/03/29
海外銀行の共同名義口座が相続税対策になるはずがない

海外銀行で開設した口座について共同名義(ジョイント口座)を利用したことで、相続税の申告漏れが多数指摘されているため、国税当局から注意喚起がなされています。
共同名義(ジョイント口座)を利用しても相続税対策になりません、むしろ脱税行為となりますのでご注意ください。

 

【海外銀行の共同名義口座が相続税対策になるはずがない】
海外銀行の口座開設を行う仲介業者の中には、平気で次のようなウソを言う人がいます。
・海外銀行に口座を開設すれば、日本の国税当局にバレない
・共同名義にしておけば、相続税の対象にならないため、相続税対策になる

そんなはずがありません。

また、日本の税理士や会計士の中には、共同名義を利用して相続税対策を行う方法を「スキーム」と称する人間もいます。
単なる脱税行為をスキームと称するとは、残念すぎる人たちです。

 

【銀行口座さえも開けない残念な仲介業者もいる】
下記の毎日新聞の記事を読んだ税理士長嶋の感想ですが、銀行口座が開かれただけでもまだマシな事例だと思います。
税理士長嶋にご相談いただく方の中には、シンガポールへ行ったのに銀行口座の開設そのものができなかったというものが少なくありません。
多くの場合、次のような事例です。
・シンガポールのプライベートバンクを紹介された
・フィリピンやマレーシアの不動産視察ツアーがセットになっている

多くの場合、フィリピンやマレーシアの不動産を売りつけることが目的で、銀行口座の開設はオマケのような業者もいます。
つまり、銀行口座の仲介業者ではなく、不動産の仲介業者だったりするのです。
こちらの事例として、2012年10月11日付の相続税対策ブログ「資産海外移転、海外投資クラブにご注意」にてご紹介しています。

 

【共同名義(ジョイント口座)の本来の使い方は相続対策】
銀行口座を共同名義(ジョイント口座)にしても相続税対策になりません。
共同名義にしておくメリット、つまり共同名義の本来の使い方は相続対策です。

銀行口座を一人の名義にしておくと、その名義になっている方に相続があった場合、名義変更などの相続手続きが必要です。
また、相続手続きが終了するまでの間、預金を引き出すことができません。
共同名義にしておくと、亡くなられた方以外の名義人の権限で預金を引き出すことができ、名義変更などの相続手続きも不要となります。

このように、面倒な相続手続きを回避するというのが、本来の共同名義(ジョイント口座)の使い方です。

 

【相続税対策参考ブログ】
・スイス銀行(プライベートバンク)口座開設

・スイス銀行口座開設がネットワークビジネス化している!?(2015/03/30)

・スイス銀行を使いこなすにはノウハウが必要(2014/12/19)

・相続税を知らない弁護士がプライベートバンク口座開設を斡旋(2014/09/20)

・プライベートバンクに口座開設しても相続税対策になるはずがない(2014/04/19)

・国際的な相続税対策をペーパードライバーに頼めるはずがない(2014/04/13)

・シンガポールに資産移転をしても相続税対策にならない(2013/12/16)

・スイスプライベートバンク口座開設、詐欺にご注意(2013/08/12)


・シンガポールプライベートバンク口座開設ツアーにご注意(2012/08/28)

・海外銀行口座開設ツアーにだまされHSBC香港に口座開設(2012/07/11)

 




(毎日新聞 2014年3月27日)
<ジョイント口座>「夫婦で節税」ウソ 相続税申告漏れ増加

海外の金融機関で開設できる共同名義の口座(ジョイント口座)を使った相続税の申告漏れが目立っている。
「相続税がかからない」という業者側の虚偽の説明を信じて口座を開いた人も少なくなく、国税当局が注意を呼びかけている。【林田七恵】

「夫婦2人の共同名義で口座を開けば、夫が死亡しても相続税は発生しない」「合法的に相続税を繰り延べできます」
日本人を相手に、ジョイント口座の開設手続きを支援する業者の一部がホームページなどで使っている宣伝文句だ。
ジョイント口座を開くには英語力や窓口での手続きが必要だが、業者に依頼すれば現地まで同行してくれる。
日本の国税当局の調査が及ばない、などと勧誘する業者もいるという。

こうした宣伝につられ、ジョイント口座を開く人は増えているとみられる。
特に、富裕層が相続税を節税できると勘違いしているケースが目立つという。

実際は、海外に口座を作っても、相続税は国内の財産と同じようにかかる。
夫婦でジョイント口座を作った後で夫が死亡した場合、口座に入れた金が夫のものであれば、妻が財産を相続したことになり、課税される。

国税関係者によると、和歌山県の会社役員が子どもとのジョイント口座を開設して約1億円を貯金したが、役員の死後、子どもは申告せず、約5000万円を追徴課税された。
大阪府の会社役員の妻の場合、夫の死後に残高約2000万円のジョイント口座を隠蔽(いんぺい)したが、海外への送金記録などから、大阪国税局が発見した。

一方、口座開設を支援する業者は金融庁などへの届け出の必要もなく、監視の目が届きにくいのが実情だ。

関西のある業者はホームページでジョイント口座開設などによる「海外での節税」をうたっているが、民間調査会社によると本業は電子機器の販売とされる。
従業員は取材に「香港に関連会社があり、現地の金融機関に同行しサポートできる」と説明したが、業務の実態は不明だ。

大阪国税局は「海外資産に絡む情報にも目を光らせているので、申告漏れがないよう注意してほしい」と話している。

◇背景に15年増税

ジョイント口座の開設を勧める業者が相次ぐ背景には、相続税の増税をにらんだ節税への関心の高まりが指摘されている。

相続税は2015年から税金のかからない基礎控除額が約4割圧縮され、「600万円×法定相続人の数+3000万円」となる。
最高税率も50%から55%に上がる。

相続税の申告漏れも高止まりの傾向が続いている。
大阪国税局の調査では、過去10年の相続税の不正の割合は83~91%。
6~7割で推移する所得税や法人税と比べて高止まりしている。

このため、大阪国税局はジョイント口座など海外の遺産が絡んだ調査に力を入れており、その件数は2012年7月~13年6月で170件に上っている。

【ことば】ジョイント口座
欧米、アジアなど海外の金融機関で、親子、夫婦、ビジネスパートナーら2人以上の名義で開く口座。
名義人の1人が死亡しても、他の名義人が預貯金を管理できる。
国内の金融機関が同じサービスを提供することは認められていないが、海外では富裕層などに重宝されている。