相続税対策専門の税理士が運営する
東京都渋谷区のコンサルティング会社です。

会社案内
代表者プロフィール
メディア出演・制作協力
不動産はご先祖からの預り物
不動産は時代遅れの対策
自社株対策の限界
自社株対策が簡単ではない理由
自社株の株価を引き下げる
自社株の株数を減らす
相続税の納税資金を確保する
医療法人対策の限界
海外移住は幼稚な節税対策
プライベートバンクの世界へ
養子縁組を利用した相続税対策はうまくいくのか?
高額所得者のための 所得税の節税
相続税対策ブログ
相続税対策ブログ

相続税対策ブログ

2014/07/14
大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム設置

超富裕層の税金逃れに対応するため、国税局は「超富裕層プロジェクトチーム」を発足させました。
朝日新聞の記事から、税理士長嶋の私見を述べさせていただきます。

(朝日新聞:2014年7月11日)
大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム

大金持ちの税逃れは許しません――。
富裕層の中でも、より資産や所得がある人たちの投資活動の情報などを専門的に集め、脱税や税逃れを監視する「超富裕層プロジェクトチーム」が東京、大阪、名古屋の各国税局に10日、発足した。
高度な節税策を利用した富裕層による国際的な税逃れが問題になる中、富裕層の実態を調べて税務調査のノウハウを蓄積し、課税に結びつける狙いがある。

「超富裕層」について、国税当局は税務調査に支障があるとして調査対象となる基準を明らかにしないが、例えば、国内外に数十億円規模の資産を持ち、積極的な投資活動をしている会社役員や投資家らが対象になるとみられる。

東京局では、税務調査の方針を決める課税総括課に専従の担当者7人を配置。
所得、相続、法人税の経験豊富な調査官のほか、マルサで知られる査察官も加わった。

大阪局は「富裕層対応本部」を設けて5人が担当、名古屋局も「対策班」を設置する。

いずれも初めての試み。
国税庁も支援チームをつくる。




【超富裕層プロジェクトチームは国外財産調書の専門部隊だろう】
結論から申し上げると、単純に国外財産調書に対応するための専門部隊を各国税局に設置しただけのように感じます。

その理由としては、次の3点です。
(1)今頃になって超富裕層向けの専門チームを設置することが不自然
(2)各税務署で個別に国外財産調書の管理ができないのではないか
(3)これまでマークをしてこなかった富裕層の状況把握

(1)今頃になって超富裕層向けの専門チームを設置することが不自然
「超富裕層プロジェクトチーム」を作る目的は、高度な節税策を利用した富裕層による国際的な税逃れに対応することです。
この問題は今になって始まったものではなく、以前から国税局内で対応していたはずです。
また、超富裕層の方々は既にマークされていますので、これまでと何ら変わりありません。

それが、なぜこのタイミングでわざわざ専門チームを作るという報道が出るのでしょうか。
国税が捕獲したいのは、これまでマークをしていなかった10億円から20億円の層の方々ではないでしょうか。

 

(2)各税務署で個別に国外財産調書の管理ができないのではないか
2015年から相続税が改正され、相続税の納税者が増えることで、税務署において相続税を担当する資産課税部門の人員不足が想定されます。
各税務署で個別に国外財産調書の管理をしたくても、人員の問題で無理があるのではないでしょうか。
そのため、国外財産調書の管理を国税局で行うことにしたと考えれば、つじつまが合います。

また、国外財産調書を提出するということは、海外財産が5000万円以上あるということになりますので、日本国内にもそれなりの財産を所有しているはずです。
つまり、将来的に相続税の大口納税者となる可能性があります。
大口納税者はもともと国税局の管轄ですので、この予備軍を国税局で管理しようというのも理解できます。

 

(3)これまでマークをしてこなかった富裕層の状況把握
超富裕層向けの専門チームを作る効果として、「富裕層の実態を調べて税務調査のノウハウを蓄積し、課税に結びつける」そうです。
東京国税局で配属されたのは、所得税・相続税・法人税の経験豊富な調査官に加えて、マルサで知られる査察官だそうです。

今頃になって、税務調査のノウハウを蓄積していく必要があるということは、これまで超富裕層を担当した経験がなく、国際的な税務の経験がない人たちが集められたのではないでしょうか。
つまり、この分野の人員の増強を目的としているのだと思います。

超富裕層に関しては従来からマークをしていますので、これまでマークをしてこなかった富裕層がどのようなスキームを構築しているのかを把握するという目的もあると思います。
このような意味からして、今回設置された専門チームが超富裕層ではない富裕層をターゲットにしていると想像します。

 

 

【国外財産調書に関する「お尋ね」が送付されることが予想される】
税制が改正された後、申告期限などが近づいてきた時期には、必ず新聞に改正項目に関連する特集記事が掲載されるのが常です。
国税としては、広告料を出さずに国民へ情報を流すことができますので、非常に効率よくお知らせをすることができます。
新聞に税制改正に関する特集記事が出たときは、国税からの注意喚起であると受け止めて差し支えないと思います。

国外財産調書の注意喚起と取れる新聞記事が出ましたので、国外財産調書に関する「お尋ね」が送付されることが予想されます。
場合によっては、税務調査もありえるでしょう。

税務署では昨年から国外財産調書を提出すると思われる人に国外財産調書の案内を送付していました。
・案内が送られてきたにもかかわらず、国外財産調書を提出しなかった人
・国外財産調書を提出しているが、税務署が既に海外銀行口座の存在を把握しているのにその記載がない
というようなケースは要注意でしょう。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・スイス銀行(プライベートバンク)口座開設

・相続税税務調査対策ガイド

・邱永漢氏遺族、海外財産申告漏れ20億円超(2015/05/01)

・海外資産の税務調査は税務署を本気にさせる(2015/03/22)

・海外資産の税務調査はより一層の強化へ(2014/11/05)

・相続税を知らない弁護士がプライベートバンク口座開設を斡旋(2014/09/20)

・国外財産調書は提出するべきか?(2014/01/28)

・相続税税務調査の状況が国税庁より公表:平成24事務年度(2013/12/03)

・富裕層・海外資産に対する所得税の税務調査が活発化(2013/11/08)


・国外財産調書制度の対策期限が迫る(2013/10/04)


・国外財産調書制度、外国籍でも対象になります(2013/09/26)

・国外財産調書制度対策に海外法人設立は意味がない(2013/07/22)


・国外財産調書制度の対策にニュージーランド家族信託は意味がない(2013/05/03)

・相続税対策に効果がないニュージーランドの家族信託(2013/04/30)