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2013/07/22
国外財産調書制度対策に海外法人設立は意味がない

平成24年度税制改正により国外財産調書制度が創設され、平成25年12月31日に保有する国外財産から報告義務が始まることから、国外財産調書制度対策についてご相談をいただくことが多くなっています。
ご相談される多くの方は、なぜか次のようにおっしゃいます。
「海外法人の設立を検討しています。」

国外財産調書制度対策に海外法人を設立する。
インターネットや雑誌などに対策の方法として書かれている情報を、なぜか疑いもなく信じてしまっています。
税理士長嶋から言わせれば、国外財産調書制度対策に海外法人を設立してもまったく意味がありません。

 

【国外財産調書制度対策になぜ海外法人なのか?】
国外財産調書制度の対象となるのは、日本に居住する「個人」です。
単純な発想ですが、国外財産を保有しているのが個人ではなく法人であれば、国外財産調書制度の対象外になるということになります。

 

【国外財産調書制度の目的は海外財産の把握】
そもそも、なぜ国外財産調書制度が創設されることになったのでしょうか。
近年の税務調査において、海外財産に関する指摘が急増しているためです。

例えば、税務調査において次のような指摘が行われています。
(1)海外不動産の収入について、所得税の確定申告をしていない
(2)海外の証券会社などで保有している株の売却益について、所得税の確定申告をしていない
(3)海外不動産について、相続税の申告をしていない

税務署はこれまで、国外送金調書や各国との租税条約により国外財産の情報収集を行ってきましたが、これだけでは不十分でした。
そこで、納税者自身に国外財産のリストを提出させることで、課税漏れがないようにすることが国外財産調書制度の創設趣旨となります。

 

【国外財産調書制度対策になぜ海外法人は意味がないのか?】
ご相談があるお客様から詳しいお話を伺うと、ほぼすべての方は海外法人を設立しても意味がありません。
その理由として、次の2つがあります。
(1)海外法人の株式が国外財産になること
(2)タックスヘイブン税制が適用される可能性が高い

(1)海外法人の株式が国外財産になること
国外にある預貯金や不動産を法人が保有することで、確かにこの預貯金や不動産は国外財産調書に書く必要はありません。
ところが、海外法人の株そのものが国外財産となります。
この海外法人の株の価値が5000万円を超えると、この株を国外財産調書に書かなければなりません。

もし5000万円を超えたときはどうするのでしょうか。
まさか、5000万円を超えないように海外法人をいくつも作り、各法人に預貯金や不動産を持たせるのでしょうか。
そんなことをしたところで、海外法人の株の価値が5000万円を超えた時点で海外法人の株をすべて報告しなければなりませんので、海外法人をいくつも作ることそのものがムダなことです。

(2)タックスヘイブン税制が適用される可能性が高い
海外法人を設立する国が税率が低い国であるときは、日本でタックスヘイブン税制が適用されることがあります。
この場合、税率の低い国で株などの配当金や不動産収入があるときは、海外法人の収入であっても日本の個人に収入があったものとみなされ、日本の税金が課税されてしまいます。
つまり、海外法人を設立しても個人が保有しているときと同じ税金が課税されるため、海外法人を設立しても節税になることもありません。

 

【情報は無料でインターネットで公開されてもノウハウは公開されるはずがない】
ご相談される多くの方に共通することなのですが、インターネットや雑誌などで掲載されている断片的な情報が正しいものであると疑いもなく信じてしまっています。
国外財産調書制度の対策として本当に有効な方法(ノウハウ)が、誰でも簡単に見られるインターネットや雑誌に掲載されるはずがありません。
情報だけであれば、インターネットで無料で入手することができますが、その情報を活かした具体的なノウハウは無料であるはずがありません。

困ったことに、その情報が本当に正しいのかどうかを判断するのは、情報を入手しようとしている方ご自身です。
情報を入手する側もそれなりの知識を持ち合わせていなければ、物事の良し悪しを判断することができません。

 

【相続税対策参考ブログ】
・海外法人を利用した相続税対策、国税を甘く見ないほうがいい(2015/01/27)

・大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム設置(2014/07/14)

・国外財産調書は提出するべきか?(2014/01/28)

・国外財産調書制度の対策期限が迫る(2013/10/04)

・国外財産調書制度、外国籍でも対象になります(2013/09/26)

・国外財産調書制度の対策にニュージーランド家族信託は意味がない(2013/05/03)

・国外財産調書制度についての注意点(2012/11/22)

・国外財産5000万円超の調書提出は、平成25年から義務化(2012/05/24)

・国外財産調書制度(海外財産申告)が義務化(2011/12/29)

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