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2013/12/03
相続税税務調査の状況が国税庁より公表:平成24事務年度

このほど、国税庁より平成24事務年度(平成24年7月から平成25年6月までの間)に実施した相続税の税務調査の状況が公表されました。
→平成24事務年度における相続税の調査の状況について(国税庁)

相続税の税務調査と贈与税の税務調査について概要を紹介し、具体的にどのような税務調査が行われたのかをご紹介します。
(参考:平成25年12月2日、週刊税務通信)

 

 

【相続税の税務調査の概要】
相続税の実地調査については、平成22年中及び平成23年中に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報を基に、申告額が過少であると想定されるものや、申告義務があるにもかかわらず無申告となっていることが想定されるものなどに対して実施しました。

 

 

【海外資産に関連する相続税の税務調査の概要】
納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、相続税調査の実施に当たっては、租税条約等に基づく情報交換制度を効果的に活用するなど、海外資産の把握に努めています。
資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、海外資産関連事案については、平成25事務年度においても積極的に調査を実施します。

海外資産関連事案とは、次のいずれかに該当する事案をいいます。
(1)相続又は遺贈により取得した財産のうちに海外資産が存するもの
(2)相続人、受遺者又は被相続人が日本国外に居住する者であるもの
(3)海外資産等に関する資料情報があるもの
(4)外資系金融機関との取引のあるもの

 

 

【贈与税の税務調査の概要】
国税庁では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、平成25事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。

 

 

【相続税の税務調査の事例】
(1)国外にある預金を相続財産から除外、国外不動産の贈与につき贈与税の無申告
租税条約等に基づく情報交換により、会社役員であった被相続人Aが生前に国外金融機関から多額の利子を受け取っていた事実を把握したが、それに見合う国外預金が相続税の申告書に記載されていなかったことから税務調査を行った。

税務調査の結果、Aは国外財産を生前に海外金融聞かに移し、非居住者である相続人Bを通じて国外預金として運用していた他、Bが経営する海外投資会社で運用していた事実が判明した。
BはAからこれらの国外財産を一切口外しないように指示されており、相続税の申告においても相続財産から除外し、かつ、税務調査においても国外預金の存在を隠していた。

また、BはAから贈与された国外不動産についても無申告であった。

申告漏れ相続税の課税価格約2億5400万円、追徴税額約7300万円。
申告漏れ贈与税の課税価格約7200万円、追徴税額約4000万円。

 

(2)海外法人の株式等を隠し、相続税の基礎控除以下であると装って相続税の無申告
会社役員であった被相続人Cが生前に海外から多額の送金を受けていた事実を国外送金等調書で把握しており、相続税の申告が必要と見込まれていたが申告がなかったため、相続人Dらの調査を行った。

税務調査の結果、海外からの多額の送金は国外不動産の譲渡代金で、DがCの死亡直前に預金を引き出し、Dの口座に移したうえで相続財産から除外していた事実が判明した。
また、DらはCが経営していた海外法人の株式等を相続財産から除外するなど、相続財産の合計額が基礎控除以下になるように相続財産を隠していた。

申告漏れ相続税の課税価格約1億4100万円、追徴税額約1100万円。
申告漏れ所得税の課税価格約2700万円、追徴税額約500万円。

 

(3)非居住者が贈与で取得した国内財産について、贈与税の申告をしていなかった
会社役員であった被相続人Fの相続税の税務調査で、Fが亡くなる前に国内金融機関の相続人E(非居住者)名義の口座から国外金融機関のF名義の口座に多額の送金がされていた事実を把握した。
国内の金融機関の口座における取引状況から預金の帰属に疑いが生じたため調査を行った。

税務調査の結果、国内金融機関のE名義の口座は日本に居住するFのものであり、送金はFからEへの贈与であると判明した。
非居住者は日本国内にある財産を贈与により取得した場合、日本での申告が必要であるがEは無申告であった。

申告漏れ贈与税の課税価格約2100万円、追徴税額約900万円。

 

(4)多額の預金を隠し、基礎控除以下を装って相続税の申告をしなかった
資料情報から、会社役員であった被相続人Gには多額の蓄財が想定されたが、相続税の申告がなかったため税務調査を行った。

税務調査の結果、相続人HはGの入院をキッカケにして、将来発生する相続税の課税逃れを目的に、G名義の預金口座から多額の現金を出金し、H名義の貸金庫及び自宅に隠していた他、出金事実を隠すためにG名義の預金口座を解約し、解約したG名義口座の通帳を廃棄していた。
Hは、相続財産の合計が基礎控除を超えていることを認識していながら、これらの現金を相続財産から除外し、相続税の申告をしていなかった。

申告漏れ相続税の課税価格約3億2600万円、追徴税額約9000万円。

 

(5)無記名割引債券の償還金を相続財産から除外
不動産貸付業を営む被相続人Iについて、資料情報から金融資産の申告漏れが想定されたため調査を行った。

税務調査の結果、相続人JはIが生前取得していた無記名割引債券をIから預かり、それを償還したうえで償還金をJ名義で預金していた他、有価証券や金地金等に投資し、無記名割引債券の償還金を相続税の申告から除外していた事実を把握した。
Jは、相続税の調査でこれらの財産が見つからないよう償還金の一部(現金約9000万円と金地金4キロ)を自宅の床下に穴を掘って埋めて隠していた。

申告漏れ相続税の課税価格約2億2900万円、追徴税額約7800万円。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・相続税税務調査対策ガイド

・相続税税務調査、海外資産の調査件数過去最高に(2015/11/30)

・相続税税務調査、海外財産の申告漏れが増加(2014/11/25)

・大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム設置(2014/07/14)

・相続税の税務調査の状況:平成23事務年度(国税庁)(2012/11/26)

・相続税の税務調査の状況について、平成22事務年度(2011/12/11)