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2014/11/05
海外資産の税務調査はより一層の強化へ

このほど国税庁より、平成25事務年度(平成25年7月から平成26年6月までの間)に実施した所得税及び個人事業者の消費税について、税務調査の状況が公表されました。
平成25事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について(国税庁)

この中で、相続税対策や所得税の節税にご興味がある方に関係する部分を抜粋してご紹介します。(参考:週刊税務通信、平成26年11月3日)

 

 

【海外資産の税務調査の強化】
(1)富裕層に対する税務調査
○ 国税庁では、有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者などの、いわゆる「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に調査を実施しており、平成26事務年度においても積極的に取り組んでいきます。

○ 平成25事務年度においては、4,177件(前年比101.4%)の調査を実施し、追徴税額は総額で103億円となっています。

○ また、1件当たりの追徴税額は246万円で、所得税の実地調査(特別・一般)1件当たりの追徴税額145万円の約1.7倍となっています。

 

(2)海外取引についての税務調査
○ 経済社会の国際化に適切に対応していくため、有効な資料情報の収集に努めるとともに、海外取引を行っている者や海外資産を保有している者などに対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度などを効果的に活用し、平成26事務年度においても積極的に調査を実施します。

○ 平成25事務年度における海外取引を行っている者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数は、2,717件(平成24事務年度3,114件)となっています。

○ 1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,698万円(平成24事務年度1,551万円)となっており、実地調査(特別・一般)全体の申告漏れ所得金額810万円(平成24事務年度839万円)の約2.1倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は461億円(平成24事務年度483億円)に上ります。

 

(3)金地金等の譲渡に対する税務調査
○ 金やプラチナの価格が歴史的な高値水準にあり、金地金等(金・白金地金、金貨・白金貨)の譲渡によって大きな譲渡益が生じやすい状況が継続しています。金地金等を売却して譲渡益が生じた場合は、原則として、総合課税の譲渡所得として課税されます。

○ これに対し、国税庁では、平成24年1月から導入された「金地金等の譲渡の対価の支払調書」のほか、あらゆる機会を通じて資料情報を収集するなどして、積極的に調査を実施しております。金やプラチナの価格が高値水準である傾向が続いていることから、引き続き、平成26事務年度においても積極的に調査を実施します。

(注)「金地金等の譲渡の対価の支払調書」は、平成24年1月1日以降、金地金等の売買を業として行う者が、国内においてそれらの譲渡を受け、200万円超の対価を支払う場合に、税務署に対して支払調書を提出することが義務付けられたものです。

○ 平成25事務年度における金地金等に係る譲渡所得調査等による申告漏れ等の非違件数は3,193件(平成24事務年度1,813件)、申告漏れ所得金額は、160億円(平成24事務年度107億円)、非違1件当たり申告漏れ所得金額は502万円(平成24事務年度593万円)となっています。

 

 

【所得税の税務調査の事例】
(1)海外にペーパーカンパニーを設立して課税逃れ(大阪国税局管内)
国内企業の役員であるAは知人と個人的な資産を共同出資し、海外に貿易会社を設立した。
しかし、実際は事業実態のないペーパーカンパニーだったことから、その取引に係る留保されている利益に課税した。
さらに、ペーパーカンパニーから役員報酬を受け取っていたにもかかわらず、それを申告していなかった。

申告漏れ所得金額約6600万円、追徴税額約2900万円。

 

(2)海外未公開株式の譲渡所得等が申告漏れ(大阪国税局管内)
同族関係者Bは海外に法人を設立し多額の未公開株式を所有していた。
その後、自らが関係する日本国内の法人にその未公開株式を売却したが、多額の譲渡所得について申告漏れとなっていた。
また、海外の取引先の法人に対して貸付けを行い利息を受け取っていたが、それについても申告漏れとなっていた。

申告漏れ所得金額約2億円、追徴税額約4200万円。

 

(3)貸付金に係る利息と海外投資に係る運用益の申告漏れ(大阪国税局管内)
富裕層であるCは友人に多額の貸し付けをしていたが、それに係る利息収入や海外投資の運用益の申告漏れがあった。
また、この貸付金の一部は友人から不動産による代物弁済で返済されていたが、不動産を賃貸しているにもかかわらず、賃貸収入について申告していなかった。
さらに、国外のファンド会社で資産運用を行っており、その運用益についても申告漏れとなっていた。

申告漏れ所得金額約7800万円、追徴税額約3300万円。

 

(4)金地金の譲渡所得を無申告(大阪国税局管内)
会社員であるDは「金地金等の譲渡の対価の支払調書」が創設されたため、平成24年分の金地金の譲渡所得について申告を行った。
しかし、過去の年分の申告が必要であることを認識していたにもかかわらず、譲渡に係る資料を全て破棄し、金地金の譲渡で得た所得約3億円を申告しなかった。

申告漏れ所得金額約3億1000万円、追徴税額約7900万円。

 

 

【海外法人を設立して節税(脱税)をしても国税は知っている】
海外法人を設立して節税という名の脱税を行ったとしても、国税は知っています。
そのため、誰もが考えつくような幼稚な節税はお止めになったほうが賢明です。

日本の国税は外国の税務当局から税務情報を入手しています。
直近の大きな事例としては、オーストラリアの税務当局が入手したタックスヘイブンに所在する法人に関する大量の情報のうち、日本人が関係するであろう情報が平成25年5月にオーストラリアの税務当局から日本の国税に情報提供されました。
タックスヘイブンに所在する事業体に関する情報の入手について(国税庁)

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・相続税税務調査対策ガイド

・富裕層の税務調査、海外資産の強化が鮮明に(2015/11/16)

・邱永漢氏遺族、海外財産申告漏れ20億円超(2015/05/01)

・海外資産の税務調査は税務署を本気にさせる(2015/03/22)

・大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム設置(2014/07/14)

・富裕層・海外資産に対する所得税の税務調査が活発化(2013/11/08)

・所得税の税務調査、富裕層・海外取引を強化(2012/11/10)

・高額所得者の所得税の税務調査、海外取引を強化(2011/11/23)

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