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2013/04/30
相続税対策に効果がないニュージーランドの家族信託

先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
お客様は海外に不動産をお持ちで、来年から始まる国外財産調書制度(5000万円超の海外財産報告義務)の対象になってしまうとのこと。
また、将来の相続税が心配で相続税対策も検討したいとのことでした。

顧問の税理士さんに相談したが「今から海外のことを勉強します」というお返事だったそうで、頼りなく感じたそうです。
また、海外に詳しい専門家に相談したところ「国外財産調書制度の対象から外すためにニュージーランドで家族信託を設立しましょう」というお話が出てきたそうです。
お客様自身、ニュージーランドの家族信託を利用しても意味があるのか?と疑問に感じられたそうです。

そこで、海外に詳しい税理士を探していたとのことで、税理士長嶋にご相談くださいました。

 

【ニュージーランドの家族信託を設立し不動産を売却する】
お客様のお話では、ニュージーランドの家族信託は次のように利用するとのことでした。
(1)お客様がニュージーランドで家族信託を設立する
(2)お客様がお持ちの海外不動産を家族信託に売却する
(3)家族信託には不動産を買い取る資金がないため、貸付金として残しておく
(4)もしお客様が亡くなられたときのことを考え、この貸付金をあらかじめ遺言書を作成して放棄するように記載をしておく
(5)海外不動産はお客様が所有しているわけではないため、国外財産調書制度の対象から外れる

一見「なるほど」と思うかもしれませんが、次のような大きな落とし穴があります。
・家族信託に不動産を売却したときに、日本の所得税が課税される
・海外不動産を売却したことで、貸付金が国外財産とされる
・海外不動産が貸付金に替わっただけで、国外財産調書制度の報告義務はある

・もし仮に、お客様が亡くなったときにこの貸付金を遺言により放棄すれば相続財産から外れる
・しかし、相続税を逃れるための放棄であるとして、放棄された貸付金は相続税の課税対象となる可能性がある

彼らの提案には次の2つの問題があります。
(1)日本の税法をまったく理解していない
(2)提案している手法はあくまでも机上の理屈であり、実際に実行できるかどうかは別の話であること

税理士長嶋から言わせれば、このようなザルのような方法論で実際に実行した人がいるのかどうかも疑わしいところです。

 

【ニュージーランドでは問題ないかもしれないが日本側で大いに問題がある】
彼らが相続税対策になるという主張は、あくまでもニュージーランド人がニュージーランドの法律により家族信託を利用した場合です。
彼らが言っていることは間違いではないのですが、日本で生活している人は当然のことながら日本の税法が適用されます。

ニュージーランドでは問題なくても日本側では問題が出る可能性があることは容易に想像できます。
ここで重要なことは、誰にとってどのような効果があるのかを整理してしっかりと話を聞かないと、間違いなく日本側で痛い目にあうということです。

ニュージーランドの家族信託のように、海外の制度を利用して相続税対策を提案するのは日本の弁護士・税理士・会計士以外の人間であることがほとんどです。
その多くはニュージーランドなど現地在住の日本人で、日本の税理士資格を保有していません。
現地在住の日本人がどこまで日本の税法を理解しているのか、見極めることが大切です。

 

【相続税対策参考ブログ】
・大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム設置(2014/07/14)

・アメリカの信託は日本の相続税対策も考慮すべき(2014/03/22)

・相続税対策に設立したシンガポール法人がトラブルで裁判沙汰に(2013/05/22)

・国外財産調書制度の対策にニュージーランド家族信託は意味がない(2013/05/03)

・資産海外移転、海外投資クラブにご注意(2012/10/11)

・シンガポールプライベートバンク口座開設ツアーにご注意(2012/08/28)

・スイス銀行口座開設、バンカーの助言でトラブルに巻き込まれる(2012/04/30)

・相続税対策に海外法人の活用でトラブル多発(2012/01/04)

・信託を活用した相続税対策は効果がない(2011/06/20)

 

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