先日、お客様からのご紹介で外資系の会社社長とお会いさせていただきました。
社長は外国籍で奥様は日本人、今のところ母国に戻る予定はないとのこと。
母国に比べて日本の税金は高いということで、日本の税務に関するアドバイザー(税理士)を探されていました。
社長の悩みは、日本の所得税が高いということでしたが、母国に戻る予定がないため将来的には日本の相続税も心配だということでした。
お話を伺ううちに、国外財産調書制度(5000万円超の海外財産報告義務)の対象になることがわかりましたが、社長はご自身が対象になっていることをご存じではありませんでした。
【国外財産調書制度は外国籍の方でも対象になる】
結論から申し上げると、外国籍の方でもある条件を満たせば国外財産調書制度を提出しなければなりません。
まず、国外財産調書制度の対象者を確認したいと思います。
「居住者(非永住者を除きます)が、その年の12月31日時点において、5千万円超の国外財産を有する場合には、その年の翌年の3月15日までにその財産の種類、数量及び価額等を記載した調書(国外財産調書)を提出しなければなりません。」
国外財産調書制度の対象者は「居住者」とされており、居住者のうち非永住者はその対象から外れます。
ここで、居住者・非永住者とは、どのような人のことをいうのかがポイントになります。
居住者・非永住者について、所得税法において次のように定められています。
(居住者)
国内に住所を有し、又は、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人
(非永住者)
日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において日本国内に住所又は居所を有していた期間が5年以下である個人
つまり、外国籍の方でも、過去10年間のうち日本国内で5年を超える期間、日本で生活をしているときは、国外財産調書制度の対象になります。
【母国の財産は日本から見れば海外財産になる】
社長は母国の外資系法人での仕事が認められ、外資系法人の日本進出にあたり日本法人の立ち上げを任され、引き続き日本法人の社長としてお仕事をされています。
既に母国で成功されていたため、母国に不動産を複数お持ちでした。
日本から見れば、これらの不動産は「海外財産」になってしまいますので、5000万円超の価値がある場合には国外財産調書制度の対象になってしまうという理屈になります。
みなさまのご友人の中にも、国外財産調書制度の対象になっているのにご自身が対象者であることをご存じではない方がいらっしゃる可能性があります。
ぜひ教えてあげてください。
【相続税対策参考ブログ】
・国外財産調書制度の対策期限が迫る(2013/10/04)
・国外財産調書制度対策に海外法人設立は意味がない(2013/07/22)
・国外財産調書制度の対策にニュージーランド家族信託は意味がない(2013/05/03)
・国外財産調書制度についての注意点(2012/11/22)
・国外財産5000万円超の調書提出は、平成25年から義務化(2012/05/24)
・国外財産調書制度(海外財産申告)が義務化(2011/12/29)
