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2013/05/03
国外財産調書制度の対策にニュージーランド家族信託は意味がない

税理士長嶋が相続税対策のご相談をお受けする際、最近なぜか「ニュージーランドの家族信託」の話が多く出てきます。
2013年4月30日付の相続税対策ブログ「相続税対策に効果がないニュージーランドの家族信託」においてもご紹介しています。

お客様がインターネットで検索して問い合わせた業者から提案を受けるのがニュージーランドの家族信託です。
ニュージーランドの家族信託を利用することで、次の2つの効果があるという説明です。
(1)相続税対策になる
(2)国外財産調書制度(海外財産申告制度)の対策になる

結論から申し上げると、ニュージーランドの家族信託を利用してもいずれの対策にもなりません。

 

【ニュージーランドの弁護士に資産を贈与する】
先日お会いしたお客様のお話では、ニュージーランドの家族信託は次のように利用するとのことでした。
(1)お客様は海外に不動産をお持ちである(5000万円超であるため、国外財産調書制度の対象)
(2)海外不動産をニュージーランドの弁護士に贈与する
(3)日本国籍を持たない非居住者に海外財産を贈与しても、日本の贈与税は課税されない
(4)ニュージーランドの弁護士が家族信託を設立する
(5)ニュージーランドの弁護士に家族信託を管理してもらう
(6)海外不動産はお客様の所有ではないため相続税も課税されないし、国外財産調書制度の対象からも外れる

この方法論に大きな落とし穴があるのは一目瞭然です。
お客様が所有する資産をニュージーランドの弁護士に贈与してしまうことです。

お客様の所有から外れてしまいますので、日本の相続税は課税されないかもしれません。
ただ、ニュージーランドの弁護士に贈与したことが単に名前を借りただけであると判断されれば、日本の相続税の対象になる可能性があります。

このとき、ニュージーランドの弁護士が家族信託を設立せず、お客様の資産を持ち逃げしたらどうなるでしょうか。
相続税対策どころか、資産をすべて失うことになります。
相続税の節税を考えるよりも、資産を守ることのほうが大切ではないでしょうか。

税理士長嶋にご相談される方の中には、海外の弁護士などを信用したことでトラブルに巻き込まれたという方も少なからずいらっしゃいます。
この事例として、スイスのプライベートバンカーとスイスの弁護士が絡んだトラブルのご相談を、2012年4月30日付の相続税対策ブログ「スイス銀行口座開設、バンカーの助言でトラブルに巻き込まれる」にてご紹介しています。

 

【平成25年度税制改正により日本国籍を持たない非居住者への贈与も課税対象】
ここで、残念なお知らせが一つあります。

これまで、日本の居住者が日本国籍を持たない非居住者へ贈与したときは、日本国内にある財産のみが日本の贈与税の対象となっていました。
平成25年度税制改正により、国外にある財産を贈与したときも日本の贈与税の対象となりました。
この改正は、平成25年4月1日以後に行われる贈与から適用されます。

日本の税制が改正されたことで、ニュージーランドの弁護士に贈与した時点で日本の贈与税が課税されてしまうことになったため、この方法論の前提が崩れることになります。
お客様が連絡された業者がこの税制改正を知らないとすれば、それはそれは大変なことになるでしょう。


【相続税対策参考ブログ】

・大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム設置(2014/07/14)

・アメリカの信託は日本の相続税対策も考慮すべき(2014/03/22)

・国外財産調書は提出するべきか?(2014/01/28)

・国外財産調書制度の対策期限が迫る(2013/10/04)

・国外財産調書制度、外国籍でも対象になります(2013/09/26)

・国外財産調書制度対策に海外法人設立は意味がない(2013/07/22)

・国外財産調書制度についての注意点(2012/11/22)

・国外財産5000万円超の調書提出は、平成25年から義務化(2012/05/24)

・国外財産調書制度(海外財産申告)が義務化(2011/12/29)

・信託を活用した相続税対策は効果がない(2011/06/20)


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