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2013/11/08
富裕層・海外資産に対する所得税の税務調査が活発化

このほど国税庁より、平成24事務年度(平成24年7月から平成25年6月までの間)に実施した所得税及び個人事業者の消費税について、税務調査の状況が公表されました。

平成24事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について(国税庁)

この中で、相続税対策や所得税の節税にご興味がある方に関係する部分を抜粋してご紹介します。(参考:週刊税務通信、平成25年11月4日)

 

 

【富裕層や海外取引に対する税務調査が活発化】
(1)富裕層に対する税務調査
国税庁では、有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者など、いわゆる「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に調査を実施しており、平成25事務年度においても積極的に取り組んでいきます。

・平成24事務年度においては、4,120件(前年比90.1%)の調査を実施し、追徴税額は総額で101億円となっています。
・1件当たりの追徴税額は244万円で、所得税の実地調査1件当たりの追徴税額142万円の約1.7倍となっています。

 

(2)海外取引についての税務調査
経済社会の国際化に適切に対応していくため、有効な資料情報の収集に努めるとともに、海外取引を行っている者や海外資産を保有している者などに対して、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度などを効果的に活用し、平成25事務年度においても積極的に調査を実施します。

・平成24事務年度における海外取引を行っている者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数は、3,114件(前事務年度4,019件)となっています。
・1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,551万円(前事務年度1,476万円)となっており、実地調査(特別・一般)全体の申告漏れ所得金額839万円(前事務年度841万円)の約1.8倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は483億円 (前事務年度593億円)に上ります。

 

 

【所得税の税務調査の事例】
(1)国外送金等調書が提出されない外国株式の配当金を申告除外
会社員Aは外国株式を保有し、多額の配当金を得ていた。
ところが、配当金の入金口座を国内の銀行から海外の銀行口座に変更し、国外送金等調書が提出されないようにした上で、配当金を除外して申告していた。

申告漏れ所得金額約1億9000万円、追徴税額約1億円。

 

(2)租税条約に基づく情報交換制度により海外の資産運用益を把握
Bは国内証券会社に口座を設け、内国法人株式等を保有していたが、これらを売却して外国法人発行の金融商品を購入した。
ところが、海外の証券会社に開設した口座へ当該金融商品を移管し、運用益を得ていたが無申告だった。
実態解明に結びついたのは、租税条約に基づく情報交換制度(自動的情報交換)で海外税務当局から提供された資料によりBが海外で資産運用を行っていることを把握したことであった。

申告漏れ所得金額約1億3000万円、追徴税額約3500万円。

 

(3)金地金の譲渡所得を無申告
会社員Cは、不動産所得や株式等の譲渡所得は適正に申告したいたが、金地金の譲渡所得は申告していなかった。

申告漏れ所得金額約1億500万円、追徴税額約2400万円。

 

(4)海外不動産の譲渡所得を無申告
医師Dが海外から多額の送金を受けていたことを国外送金等調書により把握した。
海外に所得があるものと想定されるが、それに見合う所得の申告がなかったため税務調査を行った。
その結果、親族から贈与により取得した海外不動産を譲渡したことによる所得を申告していなかったことが判明した。

申告漏れ所得金額約9400万円、追徴税額約1600万円。

 

(5)オーストラリアの非居住者が日本国内の不動産の譲渡所得を無申告
近年、北海道ニセコ地区においては、スキーリゾート地域周辺に所在する不動産について、リゾートマンション用地の需要の高まりもあり、取引が活発化してきました。
日本国内に所在する不動産の譲渡による所得(譲渡所得)がある場合、居住者及び非居住者は、ともに日本において申告をする必要があります。
しかし、その不動産を売却し、譲渡所得が見込まれるにもかかわらず、所得税の申告のない非居住者が、不動産登記の移転資料等から多数把握されました。

税務調査を開始したものの、非居住者であることから、人の情報や不動産の取引状況を日本で把握することができませんでした。
そのため、このような非居住者が多かったオーストラリアの税務当局に対し、租税条約等に基づく情報交換により協力を要請し調査を進めたところ、不動産の譲渡所得を得ているにもかかわらず申告していない事実を把握した。
オーストラリアの非居住者に対して日本の税務当局が課税処分を行い、この事案はオーストラリアの税務当局においても記者発表が行われた。

申告漏れ所得金額約5600万円、追徴税額約1400万円。

 

 

【財産や所得を隠そうとするからややこしいことになる】
これらのような税務調査を紐解いていくと、ある共通点が見えてきます。
それは、財産や所得を隠そうとしたが、税務調査によってバレたということです。

結論から申し上げると、財産や所得を隠そうとするからややこしいことになるのですから、隠そうとするのはやめた方が良いでしょう。
上記の(1)から(5)の事例は、子供のような隠し方であり、調べればわかることですから、隠し通せるはずがありません。
「隠す」という発想から離れていただき、合法的に節税となる対策を実行したほうが無難だと思います。

その理由は、このような税務調査を受けた方の多くは社会的地位が高く、申告漏れとなった金額が大きければ新聞などで報道されてしまいます。
もしこのようなことになれば、お客様の経歴に傷がつきますので、これが一番のリスクでしょう。
脱税により大きなリスクを背負うのであれば、まっとうに税金を払う、あるいは合法的に節税を行ったほうがお客様のためになるのではないでしょうか。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・高額所得者のための所得税の節税

・富裕層の税務調査、海外資産の強化が鮮明に(2015/11/16)

・スリーボンド元会長、海外移住に失敗し20億円超の申告漏れ(2015/02/08)

・海外資産の税務調査はより一層の強化へ(2014/11/05)

・大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム設置(2014/07/14)

・海外移住での節税失敗、上場企業会長が10億円申告漏れ(2014/05/26)

・所得税の税務調査、富裕層・海外取引を強化(2012/11/10)


・高額所得者の所得税の税務調査、海外取引を強化(2011/11/23)

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