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2011/12/29
国外財産調書制度(海外財産申告)が義務化

平成23年12月10日、政府税制調査会及び臨時閣議で「平成24年度税制改正」が決定されました。
その中で、特に相続税対策が必要なお客様に関係する項目だけを取り上げたいと思います。

 

【海外財産が5000万円を超える場合は報告が義務化】
海外に財産を5000万円お持ちの方は、その海外財産について税務署へ報告することが義務化されることになります。
政府の目的は、相続税・所得税の適正な課税と徴収です。

(平成24年度税制改正大綱より)
『国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れが近年増加傾向にあること等を踏まえ、内国税の適正な課税及び徴収に資するため、一定額を超える国外財産を保有する個人に対し、その保有する国外財産に係る調書の提出を求める制度を創設します。』

 

【海外財産の報告義務のポイントは3つ】
海外財産の報告義務の制度のポイントは次の3つです。
(1)毎年税務署へ報告をしなければならない
(2)報告した財産について申告漏れなどがあった場合、過少申告加算税などが軽減(アメ)
(3)もし、税務署に報告をしなかった場合、罰則がある(ムチ)

(2)のアメと(3)のムチを使い分けることで、政府は海外財産を把握したいという強い意図が感じられます。

 

【実務上の影響はほとんどない】
海外財産について報告が義務化されたとしても、実務上の影響はほとんどないと税理士長嶋は考えています。

なぜなら、所得税法では、所得金額が2000万円を超える方は「財産及び債務の明細書」を税務署に提出することになっているためです。
このたびの海外財産の報告は、既に利用されている「財産及び債務の明細書」から海外財産のみを抜粋したものです。

ところが、ここで大きく異なるのは、海外財産の報告義務には罰則があるということです。
「財産及び債務の明細書」には、罰則規定がありません。
この点をよく理解する必要があるのではないかと思います。

 

【相続税対策参考ブログ】
・国外財産調書制度の対策期限が迫る(2013/10/04)

・国外財産調書制度、外国籍でも対象になります(2013/09/26)

・国外財産調書制度対策に海外法人設立は意味がない(2013/07/22)

・国外財産調書制度の対策にニュージーランド家族信託は意味がない(2013/05/03)

・国外財産調書制度についての注意点(2012/11/22)

・国外財産5000万円超の調書提出は、平成25年から義務化(2012/05/24)

・高額所得者の所得税の税務調査、海外取引を強化(2011/11/23)

・資産の海外移転を検討する際に注意すべき大きな問題点(2011/11/15)

・相続税の節税対策に海外移住をする必要はない(2011/10/21)


【海外財産についての税制改正の内容】

海外に財産を5000万円お持ちの方は、その海外財産について税務署へ報告することが義務化されますが、その具体的な内容について税制改正大綱では次のように述べられています。

① 国外財産調書の提出
イ その年の12 月31 日において価額の合計額が5千万円を超える国外に所在する財産(以下「国外財産」といいます。)を有する居住者は、当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書(以下「国外財産調書」といいます。)を、翌年3月15 日までに、税務署長に提出しなければならないこととします。
(注)財産の評価については、原則として「時価」とします。ただし、「見積価額」とすることもできることとします。

ロ 国外財産調書に記載した国外財産については、所得税法の規定にかかわらず、財産債務明細書への内容の記載は要しないこととします。
(注)この場合、運用上、財産債務明細書の備考に「国外財産調書に記載のとおり」と記載することとします。

② 過少申告加算税等の特例
イ 国外財産調書の提出がある場合の過少申告加算税等の特例
国外財産に係る所得税又は相続税について申告漏れ又は無申告(以下「申告漏れ等」といいます。)がある場合において、提出された国外財産調書(更正・決定を予知して期限後に提出されたものを除きます。)に、次のとおり当該申告漏れ等に係る国外財産の記載があるときは、当該記載がある部分につき課する過少申告加算税(10%、15%)又は無申告加算税(15%、20%)については、通常課されるこれらの加算税額から当該申告漏れ等に係る所得税又は相続税の5%に相当する金額を控除した金額とします。

(イ) 次に掲げる所得に係る所得税について申告漏れ等がある場合において、その年分の国外財産調書(譲渡、解約等がある場合はその前年分の国外財産調書。次のロにおいて同じです。)に、当該申告漏れ等となった所得に係る国外財産の記載があるとき
(a) 国外財産から生じる利子・配当
(b) 国外財産の貸付け・譲渡による所得
(c) その他国外財産に起因して生じた所得(具体的事例を通達に例示)
(ロ) 国外財産に係る相続税について申告漏れ等がある場合において、被相続人により提出された相続の前年分の国外財産調書又は相続人により提出された相続の年分の国外財産調書のいずれかに、当該申告漏れ等に係る国外財産の記載があるとき

ロ 国外財産調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の特例
上記イ(イ)の所得に係る所得税について申告漏れ等がある場合において、その年分の国外財産調書の提出がないとき(更正・決定を予知して期限後に提出されたときを含みます。)又は提出された国外財産調書に当該申告漏れ等に係る国外財産の記載がない(記載不備を含みます。)ときは、当該提出又は記載がない部分につき課する過少申告加算税(10%、15%)又は無申告加算税(15%、20%)については、通常課されるこれらの加算税額に当該申告漏れ等に係る所得税の5%に相当する金額を加算した金額とします。

③ その他
イ 国外財産調書の提出に関する調査に係る質問検査権の規定を整備します。
ロ 国外財産調書の不提出・虚偽記載に対する罰則を設けます。法定刑は、1年以下の懲役又は50 万円以下の罰金とし、併せて、情状免除規定を設けることとします。
ハ その他所要の措置を講じます。

(注)上記の改正は、平成26 年1月1日以後に提出すべき国外財産調書について適用します(上記③ロの罰則については、平成27 年1月1日以後に提出すべき国外財産調書について適用します。)。

 

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