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2016/07/05
オランダなど海外法人節税防止へ、ユニクロ柳井氏どう動く?

富裕層や日本企業が日本の税金を逃れるため、日本の所得を海外に移すことが行われていますが、この海外に移転した所得に対しても日本で課税できるよう税制改正が検討されています。

海外法人を利用して節税を行っている富裕層や日本企業にとっては衝撃が走る改正となるのは間違いありませんが、この件について情報発信している日本の税理士・会計士は現在のところ皆無です。
事の重大さに気付いていないのでしょうか・・・

オランダなど海外に資産管理法人を設立して上場株などを所有させたとしても、配当金について日本で課税されることになりますので、海外法人の存在価値そのものがなくなります。

税理士長嶋がこの新聞報道で真っ先に頭に浮かんだのはファーストリテイリング社(ユニクロ)の柳井氏です。
彼がオランダで所有している資産管理会社が今回の税制改正の対象になる可能性が非常に高く、オランダ法人を経由して節税していた所得税約9億円が日本で課税される結果になるはずです。

ユニクロ柳井氏はどう動くか!?
(1)節税を諦めて、約9億円の所得税を日本に払うのか?
(2)日本を捨てて海外移住をしてしまうのか?
(3)それとも別の方法を考えるのか?

税理士長嶋は(3)の答えを持ち合わせています。

 

(日本経済新聞:2016年7月1日)
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS30H7T_Q6A630C1MM8000/

税逃れ、日本並みに課税 財務省検討 配当や知財収入に 税率基準廃止


財務省は日本の企業や個人が税を逃れるため海外に移した所得に対し、日本から課税する仕組みを厳しくする検討に入った。
法人税率が20%以上の国・地域でも配当や知的財産といった所得は原則、日本の所得に合算して日本の税率で税を課す。
オランダやマレーシアなどの所得が新たに課税対象に加わる見通しだ。
国際的な税逃れを防ぐ網を広げて、公平な税制を整える。





【タックスヘイブン税制の税率基準を廃止、配当・ロイヤルティー・利子を日本で課税】

財務省が税制改正を検討しているのは、タックスヘイブン税制の税率基準を廃止し、配当・ロイヤルティー・利子を日本で課税するというものです。

現行のタックスヘイブン税制は、税率20%未満の国に事業実態のない海外法人がある場合、日本の親会社や個人の所得に合算して、日本で課税されることになっています。
税率が20%を超える国に海外法人があるときは、現地で課税が行われ、日本では課税されないことになっています。

今回改正が検討されているのは、税率が20%以上の国であっても、株式の配当・知的財産などによるロイヤルティー・預金や債券などの利子にあっては、事業実態がなくても得られる所得であるため、原則として日本の所得に合算して日本で課税しようとするものです。
この改正は、日本よりも税率が低い国や地域について適用され、オランダやマレーシアなど約40ヶ国の所得が日本で課税されることが想定されています。

財務省はこの改正を2017年度税制改正にて実現することを目指していますが、この改正内容はオランダが整備している海外投資に関する優遇税制とまったく同じであるため、オランダを狙い撃ちしているようにも見えます。

 

 

【ユニクロ柳井氏の海外法人を利用した節税とは?】
2011年10月18日、株式会社ファーストリテイリングは筆頭株主である代表取締役会長兼社長である柳井正氏が所有するファーストリテイリング株をオランダ国籍の会社「TTY Management B.V.」に譲渡したとIRニュース「大株主の弊社株式譲渡のお知らせ」にて発表しました。
http://www.fastretailing.com/jp/ir/news/1110181600.html

TTY社は柳井氏が全株式を保有する資産管理会社であり、ファーストリテイリング株を継続的に保有することにより得られる配当金を主な原資として社会貢献活動を永続的にかつ幅広くグローバルに実施することを目的としているとのこと。
売買日は2011年10月18日、531万株(議決権ベースで5.2%)の売買が行われました。

ここで2つの疑問が生まれます。
(1)なぜ2011年に売買したのか?
(2)なぜ資産管理会社をオランダに設立したのか?

 

(1)なぜ2011年に売買したのか?
上場株の譲渡益に対する税率は2011年までは10%、2012年以降は20%に引き上げられることが決まっていました。
売買をした2011年10月18日の終値13370円で531万株を売却したとすると、オランダの資産管理会社であるTTY社に約710億円で売却したことになります。

単純に、上場株の売却額710億円に税率10%をかけると、所得税は71億円程度になります。
これが、2012年以降に売却すると税率が20%になることが決まっていましたので、このときの所得税は142億円程度となります。
2012年よりも2011年に売却することで、70億円程度の所得税を節税できたことになります。

 

(2)なぜ資産管理会社をオランダに設立したのか?
オランダは海外から資金を呼び込むため、海外からの投資に対して有利な税制を整備しています。
代表的なものが、資本参加免税、ロイヤルティー・利子収入に対する源泉税免除といったもので、非課税や低い税率に優遇しています。

オランダ法人が他の会社の発行済株式の5%以上を所有するなど一定の条件を満たしたときは、配当及び株式譲渡益は非課税とされています。
ユニクロの柳井氏がオーナーであるオランダ法人のTTY社がユニクロ株を議決権ベースで5.2%所有しているというのは、5%基準をクリアすることを目的としているものと推測され、ユニクロ株に対する配当金は日本で課税されず、オランダにおいても非課税になっていると推測されます。

参考までに、ファーストリテイリング社のIR情報によると、2014年8月決算における一株あたりの配当金は300円となっており、資産管理会社に売却した531万株に対する配当金は約16億円となります。

この配当金に対する日本の税金ですが、個人で株を所有している場合は大口株主となり、分離課税ではなく総合課税となりますので所得税の最高税率55%で課税され、約9億円ほどの所得税となります。
ユニクロ株をオランダ法人に所有させることで、約9億円ほどの日本の所得税がゼロ円になっているものと推測されます。

 

海外法人を利用した節税といえば、大きく次の2つに分かれます。
(1)バミューダやケイマン諸島など、まさにタックスヘイブンを利用する節税
(2)オランダなど税率20%以上の国における優遇税制などの恩恵を受けて節税する

(1)のバミューダやケイマン諸島などタックスヘイブンを利用する節税は、パナマ文書で明らかなように、暴露されたときに説明がつきません。
そのため(2)のように、あえて日本のタックスヘイブン税制の網にかからない税率20%以上の国や地域を利用して節税することは、お行儀の良い節税だと思います。

 

 

【ユニクロ柳井氏はどう動くか!?】
財務省が検討しているタックスヘイブン税制の改正により、ユニクロの柳井氏がオランダ法人を経由して節税することができた所得税約9億円が、今後日本で課税される可能性が非常に高くなります。
つまり、海外に資産管理法人を設立して株式を所有したとしても、日本で課税されることになりますので、海外法人の存在価値そのものがなくなります。

ユニクロ柳井氏はどう動くか!?
(1)節税を諦めて、約9億円の所得税を日本に払うのか?
(2)日本を捨てて海外移住をしてしまうのか?
(3)それとも別の方法を考えるのか?

税理士長嶋は(3)の答えを持ち合わせています。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・タックスヘイブン子会社を利用した知財の節税を防止へ(2017/03/11)

・銀行が主導した自社株の相続税対策が国税から否認され訴訟に(2016/09/05)

・自社株の相続税対策に一般社団法人を活用する危険性(2016/01/17)

・一般社団法人を活用した相続税対策は効果があるのか?(2014/06/01)


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