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2014/12/24
トステム創業家110億円申告漏れ、相続税60億円追徴課税

トステム創業者の相続人が国税から相続財産110億円の申告漏れを指摘され、60億円の追徴課税を受けました。
この報道について、税理士長嶋の私見を述べさせていただきます。

(朝日新聞:2014年12月8日)
トステム創業者長女、遺産110億円申告漏れ 国税指摘

住宅建材大手トステムの創業者で2011年に死去した住生活(現LIXIL〈リクシル〉)グループ元会長、潮田(うしおだ)健次郎氏(当時84)=東京都新宿区=の長女が東京国税局の税務調査を受け、相続財産について約110億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。
潮田氏の資産約220億円が非上場の不動産管理会社の株式に形を変え、資産の評価額が6割近く少なくなったと判断されたとみられ、過少申告加算税を含む追徴税額は約60億円に上るという。

有価証券報告書や関係者によると、潮田氏は住生活グループの筆頭株主として保有していた約1347万株を売却し、約220億円を得た。
この資産は10~11年、潮田氏のファミリー会社で非上場の不動産管理会社(新宿区)に出資され、同社はその分の約790株を発行。
この結果、潮田氏が保有した同グループの上場株は、時価がわからない非上場会社の株式に変換されたという。

この取引後の11年4月に、潮田氏は死去。長女は潮田氏が所有する不動産管理会社の株式を相続した。

相続税法では、時価がわからない株式や土地などは財産評価基本通達に基づいて評価する。
非上場株は事業内容が類似する上場企業の株価などから算出するとされており、長女はこれに基づき、相続財産を約85億円と評価して申告した。




【相続税対策のスキームを構築したのは本当に税理士なのか?】
相続税対策のスキームを構築したのは本当に税理士なのか?という疑問を抱きます。
常識的に考えて、あまりにもリスキーな相続税対策であることは誰が見ても明らかです。
国税は「後出しじゃんけん」で課税することができるため、極端すぎる相続税対策は「否認される」という税務リスクを常に抱えます。

創業家一族がこのようなリスクを承知して相続税対策を実行したとは思えず、この相続税対策を構築し実行したのは本当に税理士なのでしょうか。
税理士資格を持たないコンサルと名乗るグレーな人たちが世の中には数多くいますが、彼らに責任を取ることができるのでしょうか。
無資格者(ニセ税理士)だけに、都合の悪いことが起これば消えてしまう人たちです。

常識的な感覚を持っている税理士であれば、このようなリスキーな相続税対策を提案することは考えられません。

 

【最も重要なことは創業家の名前に傷がついてしまったこと】
この報道で最も重要なことは、創業家が相続税の税務調査を受けて追徴課税されたということではありません。
このような報道がされたことで、創業家の名前に傷がついてしまったことが論点となります。

私どもに相続税対策のご相談をされる方は、会社経営者・医師・不動産オーナーなど、それなりの地位や名声のある方ばかりです。
これらの方々にとって最も痛手となるのは、このような報道がされることで名前に傷がついてしまうことです。
2014年5月には、海外移住による節税を国税から否認され、新聞報道された上場企業会長もおられます。
・海外移住での節税失敗、上場企業会長が10億円申告漏れ(2014/05/26)

極端な相続税対策には、常に国税から「否認される」という税務リスクを抱えることになります。
このような税務リスクを抱えるのであれば、素直に税金を払ったほうがまだマシなのではないでしょうか。
このリスクを理解していない税理士は、それなりの地位や名声のある方を顧客に持ったことがない人たちでしょう。

 

【なぜ日本人には節税するという短絡的な発想しかできないのか?】
日本人が相続税対策を考える場合、例外なく次のように考えます。

「相続税を節税する=相続税評価額を下げる」

税理士長嶋から言わせれば、なぜ節税という短絡的な発想しか出てこないのか、不思議に思えてなりません。
このような発想になってしまう理由は日本の相続税対策の歴史を紐解いていくことで明らかになることですが、結論から申し上げると日本国民は日本の金融機関に洗脳されています。
そのため、節税するということが本当に正しい行動なのか?と疑うことすらしないのです。

詳しくは2011年10月14日付の相続税対策ブログ「日本の相続税対策の根本的な問題点」にてご紹介しています。

 

【相続税を節税するのは日本人だけ】
相続税を節税する、このように考えるのは日本人だけではないでしょうか。

アメリカやスイスなどの諸外国には、富裕層の歴史があります。
彼らにとって最も重要なことは、相続税を節税することではなく「資産を守る」ことにあります。

彼らは「相続税をどれだけ節税しても、資産が減ってしまっては意味がない」と考えます。
そのため、富裕層の歴史がある彼らには「資産をどのように維持し守るのか」のノウハウが蓄積されています。

ところが、日本の相続税対策の歴史はバブル時代以降のたかだか40年ほどであり、富裕層の歴史が浅すぎるために日本にはこのようなノウハウが蓄積されていません。
また、このノウハウは日本では今後も蓄積されることはないでしょう。
その理由は、そんなことをされては日本の金融機関が儲からないためです。

日本で常識とされている相続税対策はバブル時代から何一つ変わっていません。
時代はもう変わってしまったのです。
古き良き時代の相続税対策にいつまで「しがみつく」おつもりなのでしょうか。

 

【相続税対策参考ブログ】
・相続税税務調査対策ガイド

・タックスヘイブンにペーパーカンパニー作り所得隠し11億円(2015/05/12)

・邱永漢氏遺族、海外財産申告漏れ20億円超(2015/05/01)

・吉本興業創業家、相続財産申告漏れ3億円超(2015/04/07)

・スリーボンド元会長、海外移住に失敗し20億円超の申告漏れ(2015/02/08)

・自社株売却後の相続税対策と海外移住(2015/01/17)

・相続税を知らない弁護士がプライベートバンク口座開設を斡旋(2014/09/20)

・医療法人売却後の相続税対策(2014/09/08)

・相続税対策と会社創業家の資産管理(2014/08/11)

・海外移住での節税失敗、上場企業会長が10億円申告漏れ(2014/05/26)

・自社株売却後の相続税対策(2013/10/09)

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