先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。 お客様は会社経営をされていましたが、投資ファンドに会社を売却され、多額の現金を手にされました。 この現金を減らすことなく子供たちに残してあげたいというご希望がありました。 会社を売却したため、顧問の税理士さんに相談することもできず、どうすればよいのか悩んでいた時に税理士長嶋のホームページをご覧になり、ご連絡をいただきました。 【株を売却して所得税と相続税を払うと手許に現金がほとんど残らない】 お客様は30年ほど前に会社を創業され、昨年投資ファンドに株をすべて売却されました。 今年の確定申告で所得税を支払い、残った現金をどのようにすればよいか悩んでおられました。 株の売却額は非常に高額でしたので、もし相続税が課税されてしまうと、相続税の税率は最高税率50%になることは明らかでした。 そこで、お客様は次のような考えをお持ちでした。 ・株の売却に対して20%の所得税が課税されるのは仕方ない ・手許に残った現金に相続税が課税されてしまうと手許にほとんど残らない ・せっかく会社を創業したのに、相続後にほとんど手許に残らないのは受け入れがたい このようなことから、相続税対策が必要だと感じたそうです。 【株の売却資金を日本円で持っていると価値が目減りする】 また、お客様の希望の一つとして、株の売却資金を外貨で持っておき、海外で運用したいというものがありました。 その理由としては、将来の日本に対して悲観的なお気持ちがあり、子供たち全員を海外留学させておられるほどでした。 また、株の売却資金を日本で円預金していても利息が付きません。 さらに、アベノミクスで物価上昇率を2%目標にしているため、預金で持っていては価値が目減りしてしまいます。 このようなことから、資産運用をして資産を増やすという目的ではなく、預金の現在価値を守るために物価上昇率くらいに運用する必要があるとお考えでした。 運用をするのは日本ではなく、海外でとお気持ちも決まっていました。 それもそのはず、お客様は会社の事業を海外展開されていましたので、運用についても海外に目を向けるのは必然のことでした。 【会社経営者の相続税対策は2つの大きなテーマがある】 会社経営者の相続税対策は、次の2つが大きなテーマとなります。 (1)法人の管理 (2)創業家の資産管理 お客様の場合、法人の株を売却されたため、すべて創業家の資産に置き換えられました。 しかも、その大部分は株を売却した現金です。 日本の銀行に相続税対策を相談すると、不動産を購入するという話にしかなりません。 せっかく流動性のない会社の株式を現金化したのに、これを流動性の低い不動産に置き換えてしまっては何をしているのかわかりません。 また、資産管理のノウハウを持ち合わせていないため、投資信託を販売する程度のことしかできません。 このような日本の銀行の限界を感じている方は少数ではありません。 【相続税対策参考ブログ】 ・スイス銀行(プライベートバンク)口座開設 ・相続税対策を念頭に置いた会社創業家の海外での財産管理(2015/07/29) ・自社株売却による現金の相続税対策(2015/06/15) ・海外在住日本人の相続税対策と資産保全・資産防衛(2015/05/31) ・現金預金の相続税対策は不動産を買うしかないのか?(2015/05/22) ・自社株売却後の相続税対策と海外移住(2015/01/17) ・トステム創業家110億円申告漏れ、相続税60億円追徴課税(2014/12/24) ・遺産相続した財産の資産管理と海外移転(2014/06/23) ・自社株の相続税対策と創業家の財産管理(2014/05/17) ・自社株売却後の相続税対策(2013/10/09) ・相続税対策と資産管理に悩む上場企業経営者(2012/08/19)