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2014/10/27
出国税の導入へ、海外移住による税逃れ防止のため

富裕層の海外移住による税逃れを防止するため、日本でも出国税の導入が検討され、2015年度税制改正大綱に盛り込まれる見込みです。

(日本経済新聞:2014年10月22日)
海外移住 税逃れ防止 富裕層の株含み益に課税 政府・与党検討

政府・与党は21日、富裕層の税逃れ対策を強化する検討に入った。
1億円を超える金融資産を持つ富裕層が海外に移住する場合は株式などの含み益に所得税を課税する。
仏独などがすでに導入している仕組みで、日本では年間100人程度が対象になる見通しだ。
2015年度からの実施を目指す。(解説を経済面に)

21日の政府税制調査会で財務省が方針を説明した。
与党内からは「対策を急がないといけない」(自民党税調幹部)と…




【出国税の導入は突然出てきた話ではない】
節税目的の海外移住、アメリカやヨーロッパなどの先進主要国では当たり前のように行われています。
そのため、アメリカ・ドイツ・フランス・カナダ・イギリスなどでは海外移住による税逃れを防止するために「出国税」が導入されています。

日本で出国税が具体的に検討されはじめたと考えられるのは、税務大学校における平成22年6月29日の論文「非居住者課税における居住性判定の在り方-出国税(Exit Tax)等の導入も視野に入れて-」であると思われます。
この論文の中で、出国税の考え方・方向性が記されており、今回の新聞報道とほぼ同じ内容となっています。

 

【出国税とは?】
出国税とは、国籍・市民権・永住権・税務上の居住者などから離脱する人に対して、出国時における資産の含み益に対して課税するというものです。
私たち日本人にとっては、実現した利益ではない「含み益」に対して課税されるというのは大きな違和感を覚えるところではありますが、出国される国としては、自国で課税できるはずであった所得が海外へ流出することで課税することができなくなるため、キャピタルゲイン課税で対応しようとするものです。

この出国税を日本でも導入することが検討されはじめ、2015年度税制改正大綱に盛り込まれる方針となっており、その内容は次のようなものになる予定です。
・金融資産1億円超の富裕層が海外移住をする場合
・株式などの含み益に対して所得税を課税する
・日本で対象となるのは年間100人程度
・2015年からの実施を目指す

参考までに、アメリカでは1967年に出国税が導入されており、現行の出国税は2008年に制定され、その内容は次のようなものとなっています。
・対象者は2008年6月17日以降にアメリカ市民権を放棄した人及び、出国以前15年間のうち8年以上グリーンカードを保持していた人
・市民権放棄及び出国の前日に、全世界にある資産を売却したものとして、60万USドルを超える部分の金額に対して所得税が課税されます
・出国税が課税される所得の基準は、出国以前5年間の平均税額が15万5000USドル以上
・出国税が課税される資産の基準は、200万USドル以上
・出国以前5年間において、納税義務を果たしていない場合にも出国税が課税される

アメリカの出国税は、全世界にある資産が対象となっていますが、日本で検討され始めたのは株式などの金融資産のみが対象です。
日本の法律や税制は、アメリカで法律や税制が導入されてから10年遅れて導入されることがほとんどですので、将来的には不動産なども含めたすべての資産が出国税の対象になる可能性があります。

 

【出国税の本格的な導入はこれから始まるだろう】
2015年度税制改正に盛り込まれる予定の出国税は、あくまでも個人の所得税のみとなっています。
しかも、株などの金融資産に限定されたものであり、不動産などその他の資産は対象外となっています。

また、アメリカでは国籍離脱者から相続又は贈与により財産を取得した場合の相続税・贈与税に対する出国税も導入されています。
さらに、主要国の中には、法人に対する出国税を導入している国もあります。

2015年度税制改正に盛り込まれる予定の内容は、出国税の第一歩にすぎないでしょう。
今後、出国税の範囲は拡大していくものと予測されます。

 

【相続税対策参考ブログ】
・海外移住は本当に究極の相続税対策なのか?

・出国税導入により相続税と出国税の二重課税となる場合も(2015/02/11)

・スリーボンド元会長、海外移住に失敗し20億円超の申告漏れ(2015/02/08)

・出国税導入により相続税対策のための海外移住(2014/12/02)

・欧米の富裕層の相続税対策は日本人にも効果があるのか?(2014/08/16)

・監査法人から提案された相続税対策に海外移住は不安(2014/07/19)

・海外移住での節税失敗、上場企業会長が10億円申告漏れ(2014/05/26)

・究極の相続税対策は海外移住ではない(2013/10/22)

・相続税対策のための海外移住、夫の提案に妻は断固反対(2013/01/20)


・相続税対策を目的とした海外移住が失敗する理由(2012/10/17)


・相続税の節税対策に海外移住をする必要はない(2011/10/21)


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