相続税対策ブログ
欧米の富裕層の相続税対策は日本人にも効果があるのか?
先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
お客様のお父様が医療法人を経営されており、もしお父様に相続があったときには相続税が高額になりすぎて相続税を払えず、ご自宅を売却することになるかもしれないという不安を抱えておられました。
お客様自身はフランス在住で、フランスでお仕事をされているとのことでした。
ご両親は日本で生活されており、お客様はフランス在住であることから、日本の相続税の問題は大変なことになるとお客様は考えておられました。
そこで、日本の銀行から国際税務に詳しい税理士を紹介してもらうようにお願いしたものの、海外のことをまったく知らない税理士ばかりだったそうです。
これではいけないということで、日本の外資系の法律事務所に相談されたそうですが、企業を相手に仕事をしているようで、個人の相続税のことは知らないような印象を受けたため、相談するのを諦めたそうです。
どこにも相談することができず、どうしてよいか悩まれていたときに、税理士長嶋のホームページをご覧になったそうです。
お客様は年に数回日本に戻られるとのことでしたので、帰国されるタイミングに合わせてお会いすることになりました。
【欧米の富裕層が行っている相続税対策は日本人にも当てはまるのか?】
お客様はフランスでお仕事をされている関係から、相続税の問題についてフランスの会計士を紹介されることがあるそうです。
フランスの会計士から相続税対策についていろいろとアドバイスを受けたそうですが、ある疑問が生じたそうです。
「欧米の富裕層が行っている相続税対策を、日本人である私たちの家族に当てはまめることができるのか?」
当然のことながら、フランスの会計士がいう相続税対策とは、日本の相続税対策ではありません。
フランス現地、あるいはヨーロッパ諸国での相続税対策であることは言うまでもありません。
お客様のご友人の中にも、次のような対策をすることで、合法的に相続税を払っていない人もいらっしゃるとのことでした。
・フランス国籍を捨てて、聞いたこともないような国の国籍を持つ
・生活の拠点をスイスなどに移す
・オフショア財団などを設立する
これらは欧米の法律では合法であることは当然ですが、私たち日本人は日本の税法に縛られますので諸外国の相続税対策は参考になるものの、それが日本人であるお客様に当てはめられるかどうかは別のお話です。
【国際税務に詳しい税理士は海外のことを知らない】
お客様は日本の銀行から紹介された国際税務に詳しい税理士に「欧米の富裕層が行っている相続税対策は日本人でもできるのか?」を質問されたそうです。
当然のことながら答えられるはずがありません。
その理由は、日本の税理士は日本のことしか知らないためです。
日本の税理士が言う国際税務とは、日本と外国が関係する場合に、日本の税法の解釈をどのようにするか?ということがテーマになります。
つまり、国際税務に詳しいといっても、日本の税法の中の海外部分が詳しいというだけで、諸外国の法律を使って税金対策ができるという意味ではありません。
富裕層の歴史のある欧米諸国の法律・ノウハウを使って、日本の相続税対策を実際に実行できる日本の弁護士・会計士・税理士は、税理士長嶋を含めても全国で10人いるかいないかの世界でしょう。
このような理由から、外資系の監査法人に相続税対策を相談しても、日本の税法で定められている「海外移住」の提案しか出てきません。
【資産を守るためにプライベートバンクでの口座開設を検討】
お客様のご相談は相続税対策もさることながら、お父様の資産を守っていくことも大きな課題でした。
お父様の金融資産のすべては日本の銀行・証券会社に預けられており、フランスで生活されているお客様からすれば日本円で持っていることが「危険」としか思えなかったそうです。
そのため、海外の銀行で外貨で持っておくべきであるとお考えでした。
このようなお話になったときには、税理士長嶋はいつも次のようなお話をしています。
・医療法人の理事長としての報酬は、日本円でもらっている
・ご自宅は日本の不動産であることから、日本円の資産である
・将来的に年金を受け取った場合、日本円で受け取ることになる
・住んでいる場所も日本である
・つまり、すべてが日本であることからポートフォリオは100%日本である
・多少の外貨預金をしたところで、日本の銀行に預けていては100%日本であることには変わりない
・日本に何かあったときにはダメージが大きすぎる
お客様としては漠然と日本円が危険であるという程度しか考えていなかったようで、現在・将来の生活状況をポートフォリオで表現したことにとても新鮮さを感じていらっしゃいました。
そこで、お客様はプライベートバンクでの口座開設を検討されはじめました。
【相続税対策参考ブログ】
・スイス銀行(プライベートバンク)口座開設
・グリーンカード保持者の相続税対策は非常に困難を極める(2014/10/20)
・監査法人から提案された相続税対策に海外移住は不安(2014/07/19)
・相続税対策と慈善事業のためのオフショア(海外)財団法人(2014/07/04)
・遺産相続した財産の資産管理と海外移転(2014/06/23)
・海外移住での節税失敗、上場企業会長が10億円申告漏れ(2014/05/26)
・相続税対策と慈善事業への寄付を考えたい(2014/05/03)
・国際的な相続税対策をペーパードライバーに頼めるはずがない(2014/04/13)
・アメリカのファミリーオフィスでは日本の相続税対策はできない(2013/01/25)
![医療法人の相続税対策にこんな不満をお持ちではありませんか?](/img/bi.jpg)