所得税の最高税率を引き上げることが検討されるようです。
高額所得者のみなさまにとっての影響は小さくないと考えられます。
(日本経済新聞:2011/6/7)
高所得者に追加負担も 政府税調、最高税率上げ検討
政府は社会保障制度改革と財政再建を目指した消費税率の引き上げ論議を始めたが、高所得者に追加負担が生じる可能性が出てきた。
閣僚らで構成する政府税制調査会は消費税増税と同時に所得税の最高税率引き上げなどを検討する。
所得の再分配を強めることで公平感を醸し出す狙い。
社会保障財源としての消費税率上げは不可避とみられるが、それに乗じて増税メニューが膨らめば、経済の活力をそぎ、成長を阻害する恐れがある。
【節税をして寄付をすることも社会貢献の一つ】
消費税や所得税の増税、その必要性はよく理解できます。
しかしながら、必要だからという理由だけでは、国民は納得しないでしょう。
最も重要なことは、国民が「この国のためなら喜んで税金を払う」と想わせるような環境を国が作ることではないかと考えます。
もし、国がこのような方向性を示すことができないのであれば、所得税を節税して自身が支援する慈善団体などに寄付することも立派な社会貢献になるはずです。
【脱税と節税は何が違うのか?】
節税をすることは悪いことであり違法なことである、と考える日本人の方が多くおられます。
税理士長嶋は、この考え方は誤解であると思っています。
そもそも、脱税と節税は何が違うのでしょうか。
税理士長嶋は、次のように考えています。
(1)脱税
支払うべき税金から逃れるため、いろいろな手段を取ること。
(2)節税
国の法律が許している方法、あるいは禁止していない方法で、支払うべき税金をできるだけ節約すること。
つまり、
合法なのか非合法なのかという大きな違いがあります。
【アメリカにおける節税の考え方】
アメリカの最高裁判所の裁判官は、判例で次のようなことを述べたことがあります。
『To evade taxes is illegal but to avoid taxes is one of the basic human rights.』
アメリカの最高裁判所が、アメリカ合衆国の国民に対して言ったことは、次のような内容です。
『支払うべき税金から逃れることは違法である。しかしながら、あらゆる合法的な手段や知恵を使って税金を避けることは、人間としての基本的人権の一つである。』
人生において、人間が決して避けることはできないものが2つある。
しばしば、このように言われます。
それは、「死」と「税」であります。
厳密にいえば、もう一つあるのではないでしょうか。
それは、税からできる限り逃れようとする感情。
人間の本能と言っても良いかもしれません。
どの国で生活していようとも、せっかく頑張って働いて得たお金を税金として国に納めることは、楽しいことではないと思います。
特に、その税金が政治家や官僚により無駄使いされていたり有意義に使われていないときは、より楽しくはないと思います。
アメリカ人であろうと日本人であろうと、このような人間としての感情は共通しているのではないでしょうか。
【一般的に知られている所得税の節税方法では、根本的に解決しない】
一般的に知られている所得税の節税方法として、次の3つがあると思います。
(1)所得控除の見直しによる、所得税の節税。
(2)不動産投資をすることによる、所得税の節税。
(3)会社経営者であれば、少人数私募債を活用することによる、所得税の節税。
これらの一般的に知られている所得税の節税方法は、
高額所得者の皆様にとりましてはまったく意味がない、と税理士長嶋は考えています。
その理由として、次の2つがあります。
(1)所得税の節税額が、少額すぎる。
(2)投資額に対する節税額が少額なため、資金効率が悪い。
一般的に知られる所得税の節税方法を税理士長嶋が否定する理由を「
高額所得者のための所得税の節税」においてご紹介しています。
【相続税対策参考ブログ】
・高額所得者の所得税率引き上げ、45%へ(2011/12/23)
・高額所得者の増税、所得税率引き上げへ(2011/12/16)
・高額所得者への課税を強化へ、所得税の増税(2011/12/07)
・医師の所得税など優遇税制の見直しへ(2011/11/20)
・高額所得者の厚生年金保険料引き上げ、年金額は引き下げ(2011/10/23)
・相続税対策のついでに高額な社会保険料を削減する(2011/08/26)
・高額所得者の所得税対策と相続税対策(2011/07/03)
・相続税対策のご相談と所得税の節税対策(2011/6/28)
・銀行が提案する所得税の節税対策は意味がない(2011/6/15)