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2016/04/19
パナマ文書、日本企業は本当に税金逃れをしているのか?

世界的に注目されているパナマ文書において、多くの日本人は次のように理解しています。
「日本を代表する企業がタックスヘイブンを使って脱税や税金逃れをするとは、なんとけしからん事だ!」

これは大きな誤解であることを私たち日本人は理解しなければなりません。
なぜなら、日本を代表する企業がタックスヘイブンを使うことについて正当な理由があり、私たち日本人も日常生活においてタックスヘイブンを利用していることで、その恩恵を受けているためです。

これについては、2016年4月6日の相続税対策ブログ「パナマ文書、日本企業がタックスヘイブンを使う理由」にてご紹介をしました。
また、タックスヘイブンの本質的な問題はもっと別のところにあることを理解するべきだともご紹介しました。

このブログでは、タックスヘイブンを利用した日本企業や日本人が本当に脱税や税金逃れをしているのか?について税理士長嶋の私見をご紹介していきます。

 

 

【パナマ文書に登場するすべての人は脱税や税金逃れをしているのか?】
パナマ文書の情報を持っているのは国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)ですが、彼らはパナマ文書の特設ページの中で次の質問に対して次の見解を示しています。

(質問)
パナマ文書に登場するすべての人が、脱税や税逃れをしていると考えられるのでしょうか?

(見解)
いいえ。タックスヘイブンで法人を設立する理由が正当であれば何ら問題なく、多くの人は適正に納税をしています。

 

この見解は正しいです。
多くの日本企業や日本人は適正に日本で納税をしています。

例えば、タックスヘイブンを利用しているとされる日本企業の多くは上場しています。
上場企業であるが故に企業情報を有価証券報告書において開示しなければなりません。
当然のことながら、タックスヘイブンに子会社を有しているときは、有価証券報告書において開示されます。

企業自身がタックスヘイブンに子会社を有していることを開示しているのですから、日本の金融庁も日本の国税もタックスヘイブンに子会社があることを知っています。
常識的な感覚として、この状況で脱税や税金逃れをしようと考えるでしょうか?

もし脱税や税金逃れをすれば、今回のパナマ文書のように多くの日本国民から叩かれますので、企業イメージに良い影響を与えるはずがありません。
特に日本人には「脱税=悪」という強いイメージがありますので、企業イメージを損なう行動は控えるのではないでしょうか。
このようなことから、常識的な感覚では適正に納税するはずです。

 

 

【日本企業や日本人が適正に日本で納税をしている根拠】
日本企業や日本人がタックスヘイブンを利用した税金逃れを防止するため、日本では40年ほど前の1978年度税制改正において法整備を行っています。
タックスヘイブン税制と呼ばれるものです。

タックスへイブンで得た利益を配当しなければ、資金をそのまま投資や運用に回すことができます。
タックスヘイブンに貯まった資金が日本に戻ってこなければ、日本で税金が払われることはありません。
タックスヘイブンに設立した子会社が一定の条件を満たす場合は、タックスヘイブンに設立された子会社の所得を日本の親会社の所得に合算して、日本で課税されます。

現在のところタックスヘイブン税制の対象となるのは、法人所得税が存在しない国・地域、あるいは税率が20%以下の国または地域となっています。
ただし、タックスヘイブンに子会社があったとしても、その子会社が独立した企業としての実体があり、かつ、その国において事業を行うことに十分な合理性があると認められる場合は、タックスヘイブン税制は適用されません。

 

日本企業がタックスヘイブンに子会社を設立して子会社に不当な利益を貯め込んだとしても、タックスヘイブン税制により不当な利益に対して日本で日本の税金が課税される仕組みになっており、これは日本人の個人の場合も同様です。
これが多くの日本企業や日本人が適正に日本で納税をしている根拠となります。

 

 

【問題なのは適正に日本で納税していないこと】
タックスヘイブンが本当に問題となるのは次の2点です。
(1)正当な理由があってタックスヘイブンに会社を持っているのか
(2)適正に日本で納税しているのか

この2点はセットで考えるべきです。

 

正当な理由なくタックスヘイブンに会社を持っていたとしても、適正に日本で納税していれば何ら問題はありません。
正当な理由なく、わざわざタックスヘイブンに会社を持つということは、常識的に考えて適正に日本で納税しているでしょうか?

企業であれば事業の必要性からタックスヘイブンに子会社を持つこともあるため、ある程度の説明はできるでしょう。
しかしながら、日本人の一個人がタックスヘイブンに会社を持っていることについて、どのような説明ができるでしょうか。
しかも、タックスヘイブンの会社の所有者は本人あるいは親族です。

パナマ文書には400名程度の日本人個人の名前がリストアップされているようですが、彼らはどのように説明するのでしょうか。
正当な理由なく、わざわざタックスヘイブンに会社を持つということは、常識的に考えて税金逃れを疑われても致し方ありません。
パナマ文書の詳細は5月に公表されるようですが、この400名の日本人は相当厳しい立場に追い込まれるでしょう。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・パナマ文書により税務情報交換協定、何も変わらないだろう(2016/05/25)

・パナマ文書による課税逃れ対策強化はオバマ政権のパフォーマンス(2016/05/07)

・パナマ文書で思い出されるAIJ年金資産2000億円消失事件(2016/04/25)

・パナマ文書にアメリカの企業や政治家の名前がない理由(2016/04/20)

・パナマ文書日本人、セコム創業家が相続税逃れを画策か(2016.04.06)

・タックスヘイブンにペーパーカンパニー作り所得隠し11億円(2015/05/12)


・海外法人を利用した相続税対策、国税を甘く見ないほうがいい(2015/01/27)


・AIJ年金資産2000億円消失、真実は解明されないだろう(2012/02/27)

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