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2016/04/06
パナマ文書日本人、セコム創業家が相続税逃れを画策か

世界中で大きく報道されているパナマ文書。
日本ではなぜか新聞などで小さく紹介されている程度となっています。

(パナマ文書とは?)
・世界規模の大スキャンダル
・パナマの法律事務所から流出した1100万件以上の内部文書
・世界の権力者や富裕層がパナマやタックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立
・資産隠し、麻薬、武器取引、脱税などに利用されていたのではないかとの疑い
・ドイツの新聞社と国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が情報入手
・100を超えるメディアが調査し、1年かけて解明した史上最大級のリーク報道

パナマ文書が大きく注目されている大きな理由は、各国の首脳がリストアップされていることです。
例えば、次のような方がリストアップされています。
・アイスランド、グンロイグソン首相本人と妻(首相は2016年4月5日に辞任表明)
・イギリス、キャメロン首相の亡父
・ロシア、プーチン大統領の友人
・中国、習近平国家主席の親族

 

また、日本人に関係するものとしては、日本国内を住所とする約400の人や企業の情報が含まれているようで、政治家や公職者は含まれていないようです。
日本人で注目すべきは、セコム創業家がセコム株700億円相当(1990年代当時)をタックスヘイブンに設立した法人に所有させ管理させていたことでしょう。

下記の東京新聞の記事にセコム創業家のスキームが詳しく掲載されていますが、税理士長嶋の個人的な感想は「セコム創業家は真のパナマをご存じではなかった」ということです。
もし、セコム創業家がパナマの特性を事前に知っていたとすれば、おそらくパナマを使うことはなかったはずです。

 

◆セコム創業者ら、株700億円管理(東京新聞:2016年4月4日)

ICIJなどが入手した内部文書の分析からは、警備大手セコムの創業者や親族につながる複数の法人が一九九〇年代に租税回避地につくられ、当時の取引価格で計七百億円を超す大量のセコム株が管理されていたことが分かった。

創業者は取締役最高顧問の飯田亮氏(83)と元取締役最高顧問の故戸田寿一(じゅいち)氏。
複数の専門家は「この仕組みで親族への相続税や贈与税がかなり圧縮できるはずだ」と指摘した。

セコムコーポレート広報部は取材に「税務当局に詳細な情報開示を行って、適正な税金を納めている。課税を免れるためのものではない」と書面で回答。
ただ、情報開示や納税の具体的内容に関しては説明を避けた。

文書はセコム株保有にかかわる各法人の役割を説明した書類や法人の定款、株主名簿など。
日本と英国の弁護士やパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」が協議していた。
創業者の死後に備えセコム株を親族らに取り分けておくことなどが目的と記されていた。

文書によると、法人が設立された租税回避地は英領バージン諸島、ガーンジーで、飯田氏や故戸田氏は法人を使い大量のセコム株を間接的に管理する仕組みを構築。
これに伴い両氏が直接保有するセコム株は大幅に減少した。
さらに株の一部は、両氏の親族につながる租税回避地の法人がそれぞれ管理する形とした。

法人間の取引は贈与にならない。

 

 

【タックスヘイブン=非合法ではない】
まず誤解をしてはいけないのは、タックスヘイブンを利用することが必ずしも非合法ではないということです。

例えば、パナマは古くから船舶で有名な国でした。
船にも人と同じように国籍(船籍)があり、先進国の海運会社は有利な条件で船籍を取得しようと、パナマに法人を設立して船の登録を行っています。
パナマ文書にリストアップされたとされる日本企業のうち船舶・海運業は事業上の必要性からタックスヘイブンを利用しているものと思われますので、合法的に利用している、つまり適正に納税していると考えられます。

パナマという場所が脚光を浴びるようになったのはこの船舶がキッカケですが、その後時代の流れにより個人資産家の税金対策の場所としてもパナマが利用されるようになりました。
その代表例は財団ですが、私どもの過去の相談事例において、パナマ財団を設立したことでトラブルに巻き込まれたために助けてほしいというものがあります。

 

 

【セコム創業家はパナマをご存じではなかったのだろう】
東京新聞の記事にセコム創業家のスキームが詳しく掲載されていますが、この記事を読んだ税理士長嶋の感想は「セコム創業家は真のパナマをご存じではなかった」ということです。
その理由は、パナマ文書にリストアップされた情報からも読み取れますが、これこそがパナマの特性なのです。

このパナマの特性は、本当に海外を知る人間であれば知っていて当然のことです。
もし、セコム創業家がパナマの特性を事前に知っていたとすれば、パナマを使うことはなかったことでしょう。

セコム創業家は、業者などから指南を受けたのでしょう。
私どもにパナマ財団のご相談があったお客様は、スイスの銀行から紹介されたスイスの弁護士にいいようにやられていました。
言葉は悪いですが、銀行と弁護士がグルになっていたのです。

日本人は海外のことを知らないため、例えばプライベートバンカーが言うことは無条件に信用してしまう傾向にあります。
それもそのはず、お客様はバンカーが言っていることが正しいのかどうかを判断する材料(情報)を持っていないため、バンカーを信じるしかないのです。
心のどこかに「バンカーが言うことだから悪いようにはしないだろう」という根拠のない思い込みがあるのでしょう。

 

 

【セコム創業家はパナマを使ったことが心証を悪くしている】
セコム広報部は「税務当局に詳細な情報開示を行って、適正な税金を納めている。課税を免れるためのものではない」と回答されたそうです。
ここで一つの疑問が生まれますが、適正に情報開示をして納税もしているのであれば、なぜわざわざパナマを使う必要があるのでしょうか?

税理士長嶋から言わせれば、パナマを使ったという事実が心証を悪くしています。
その理由は、パナマを使うことそのものに意味があるためです。
もし、セコム創業家がパナマの特性を事前に知っていたとすれば、パナマを使うことはなかったことでしょう。

この点においても、セコム創業家はパナマをご存じではなかったことが読み取れます。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・パナマ文書により税務情報交換協定、何も変わらないだろう(2016/05/25)

・パナマ文書による課税逃れ対策強化はオバマ政権のパフォーマンス(2016/05/07)

・パナマ文書で思い出されるAIJ年金資産2000億円消失事件(2016/04/25)

・パナマ文書にアメリカの企業や政治家の名前がない理由(2016/04/20)

・パナマ文書、日本企業は本当に税金逃れをしているのか?(2016/04/19)

・パナマ文書、日本企業がタックスヘイブンを使う理由(2016.04.11)

・タックスヘイブンにペーパーカンパニー作り所得隠し11億円(2015/05/12)


・海外法人を利用した相続税対策、国税を甘く見ないほうがいい(2015/01/27)

・AIJ年金資産2000億円消失、真実は解明されないだろう(2012/02/27)
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