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2017/01/21
医療法人の相続税対策、出資持分譲渡に難色を示す理事長

先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。

お客様は医療法人を経営されており、医療法人の出資持分についてどのように相続税対策を進めていけばよいのかを悩まれていました。
医療法人には顧問税理士がおられますが、医療法人の相続について相談をしてみたものの、時間がかかるばかりで頼りにならないとのことでした。

医療法人の相続について詳しい税理士を探されていたときに、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。

 

 

【医療法人の相続税対策として出資持分の買い取りに難色を示した理事長】
お客様から詳しいお話を伺うと次のようなことでした。
・医療法人はお客様が20年ほど前に設立した
・医療法人の設立にあたり、お客様のお父様が出資をされた
・医療法人の出資持分の評価は、医療法人設立時に比べて10倍程度になっている
・お客様のお父様が高齢になってきたこともあり、お父様の相続税対策を考えはじめた
・お父様が出資されている医療法人の持分について相続税対策が必要と感じた
・医療法人の顧問税理士に医療法人の相続について相談したところ、お父様が出資された医療法人の持分をお客様が買い取ればいいとの助言を受けた

医療法人の出資持分について相続税対策を検討する場合、一般的には出資持分の評価を下げ、その後出資持分の贈与や譲渡、あるいは出資の払い戻しが行われます。
お客様は出資持分の評価を下げることには異論がないのですが、お客様はお父様から出資持分を買い取ることに難色を示されました。

なぜお客様はお父様から出資持分を買い取ることに難色を示されたのでしょうか?

 

 

【医療法人の出資持分の買い取りが最も税率が低いはずだが・・・】
医療法人を設立する際に、子供が理事長となり、親が出資することはよくあります。
親としては医療法人に出資した資金は戻ってこない(子供にあげたような感覚)と思っていることが多く、医療法人の出資持分の財産性を日常生活において気にすることはありません。

ところが、医療法人設立後10年や20年の月日が流れると、親の相続税対策であったり、医療法人を承継するといった場面に遭遇するようになります。
この時初めて医療法人の出資持分にも相続税が課税されることに気づき、医療法人の出資持分の評価が高くなっていることに驚かされることとなります。

そこで、医療法人の出資持分について相続税対策を検討する場合、一般的には出資持分の評価を引き下げ、その後出資持分の贈与・譲渡・出資の払い戻しが行われます。
どの方法を選択するかは、次のような税負担を考慮することになります。

(1)贈与
贈与税の最高税率55%で課税される。

(2)譲渡
医療法人の出資持分の譲渡益に対して所得税が20%課税される。

(3)出資の払い戻し
出資の払い戻しは配当とされ、所得税の総合課税となることから、所得税の最高税率55%で課税される。

これら3つを比較すると、税率が一番低いのは譲渡であることがわかります。
出資持分の譲渡、つまり医療法人の顧問税理士が助言した「出資持分を買い取る」ことは教科書的には決して間違っているわけではありません。
しかしながら、お客様は出資持分を買い取ることに難色を示されたのです・・・

 

 

【医療法人の相続税対策は単純なものではない】
お客様からお話を伺う中で、税理士長嶋はある結論に達しました。
お客様の場合、出資の払い戻しが一番相応しいのではないか・・・

お客様にこのことをお伝えすると、お客様は次のようにおっしゃいました。
「長嶋さん、実は私もそのように考えていたのです。」

お客様と税理士長嶋の考えが一致した瞬間でした。
出資の払い戻し、つまりお客様のお父様は所得税の最高税率55%で課税されてしまいますが、お客様はそれがベターであるとのお考えでした。

こちらのお客様の事例から学べることは、医療法人の相続税対策は教科書通りに検討すればうまくいくような単純なものではないということでしょう。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・医療法人の相続税対策に限界を感じていませんか?

・医療法人の相続税対策、退職金支給の税務リスク(2016/11/30)

・医療法人が出資持分の相続税対策に悩む理由(2016/06/22)

・診療報酬改定による医療法人の売却と創業家の相続税対策(2016/03/22)

・医療法人の相続税対策と海外銀行の資金管理運用(2015/02/25)

・医療法人の相続税対策に納税猶予制度は意味がない(2014/11/10)

・医療法人売却後の相続税対策(2014/09/08)

・医療法人の相続税対策、生命保険は意味がない(2012/06/26)

医療法人の相続税対策にこんな不満をお持ちではありませんか?