先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。 お客様は医療法人を経営されており、相続税対策を検討されていました。 特に、医療法人の出資持分の評価が高額になっており、今後どのようにして対策を行っていけばよいのかわからないということで、税理士長嶋にご相談がありました。 そんなとき、生命保険の営業担当者から次のような提案があったそうです。 ・理事長が退職されるときに備えて、生命保険に加入しましょう ・退職金を支払えば医療法人に貯まっている現金が理事長個人の財布に移ります ・その結果、医療法人の出資持分の相続税評価は下がります 生命保険を使った相続税対策は本当に効果があるのか?よくわからないというご相談でした。 【退職金準備のために提案された逓増定期保険】 お客様から詳しいお話を伺うと、お客様は5年後に引退をされる予定だとのこと。 子供さんが一人前になったとのことで、医療法人の経営を任せてお客様自身はゆっくりされたいとのご希望でした。 5年後の退職に向けて退職金を支払うための現金を作るために生命保険に加入することは、一般的に行われていることです。 代表的なものとしては「逓増定期保険」が利用されることが多く、お客様の場合もこの逓増定期保険が提案されていました。 【逓増定期保険では相続税対策に意味がない】 税理士長嶋は、お客様に次のことをお話させていただきました。 ・退職金をもらうことで、確かに医療法人の出資持分の相続税評価は下がるかもしれない ・退職金として支給された現金は、医療法人から個人の財布に移っただけである ・個人の財産が増えるということは、相続税が増えることを意味する ・相続税対策という大きな枠組みから見れば、根本的な相続税の解決にはなっていない 生命保険を利用することで、退職金を支給するという意味では多少効果はあるかもしれませんが、相続税の対策になっているかどうかと聞かれれば、大きな効果は期待できません。 さらに、税理士長嶋は、お客様に次のことをお伝えしました。 「もっと大きな視野で検討することができれば、より大きな効果が期待できる方法があると思います」 ある一例をお客様にお話したところ、お客様は次のことをおっしゃいました。 「生命保険の保険料を払うくらいなら、もっと他のことにその現金を使ったほうがよっぽど効果がありますね」 【相続税対策参考ブログ】 ・医療法人の相続税対策に限界を感じていませんか? ・相続税対策に活用する生命保険 ・医療法人が出資持分の相続税対策に悩む理由(2016/06/22) ・医療法人の相続税対策に納税猶予制度は意味がない(2014/11/10) ・医療法人売却後の相続税対策(2014/09/08) ・相続税対策に生命保険を活用することは目的ではなく手段(2014/06/06) ・医療法人の相続税対策は節税本レベル知識では対応できない(2011/11/8) ・医療法人の相続税対策(2011/10/28) ・医療法人の節税対策は医療法に抵触する危険あり(2011/09/14)