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2016/07/04
国際的税逃れ、OECDブラックリストも意味がないだろう

富裕層や多国籍企業によるタックスヘイブンを利用した節税が明らかとなった「パナマ文書」ですが、パナマ文書の問題を議論するOECD(=経済協力開発機構)の租税委員会が京都市で行われ閉幕しました。
国際的な税金逃れを防ぐため、タックスヘイブンのブラックリストを作成する基準がまとめられ、国際的な税金逃れの防止が期待されます。

税理士長嶋の私見を申し上げると、OECDがタックスヘイブンのブラックリストを作成してもまったく意味はなく、期待外れに終わるでしょう。
つまり、現状と何も変わりません。
その理由は、歴史は繰り返されると考えているためです。

 

(日経新聞:2016年7月2日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS01H66_R00C16A7MM8000/
タックスヘイブン、悪質な国に基準 非協力なら制裁も OECD合意

富裕層や多国籍企業による国境をまたいだ過度な節税を防ぐための国際協調策が動き出す。
経済協力開発機構(OECD)の会合が京都市で1日閉幕し、悪質なタックスヘイブン(租税回避地)の基準で合意した。
該当する国・地域のリストをつくり、制裁を検討する。
企業の行きすぎた節税を防ぐ国際ルールには約50カ国が来年加わり、100カ国・地域体制になることも固まった。





【OECDにおけるタックスヘイブンのブラックリスト作成基準】

OECD租税委員会において、国際的な税の透明化に向けて、協力的でない国や地域をブラックリストに指定することを合意しました。
ブラックリストに掲載する基準は次の3つで判断されます。
(1)税の透明性を審査する国際組織の評価を満たしている
(2)個人の金融情報を定期的に交換する仕組みに参加している
(3)税務当局が協力する条約に多く署名している

上記3つの基準のうち、2つ以上を満たさなければ悪質と認定され、ブラックリストに指定されることになりました。
OECDの租税委員会では、今回まとめた基準を7月に中国で開かれるG20に報告し、ブラックリストの作成に取りかかる方針です。

 

 

【ブラックリストに指定されることを好まないタックスヘイブン諸国】
2016年5月25日の相続税対策ブログ「パナマ文書により税務情報交換協定、何も変わらないだろう」においてもご紹介していますが、これまでもOECDはタックスヘイブンのブラックリストを作成してきました。
当然のことながら、タックスヘイブンとされる国や地域はブラックリストに指定されることを好みません。
その理由は、国益を損なうためです。

彼らはブラックリストを回避するため、平成21年のG20ロンドンサミット以後、各国と積極的に租税条約を結び、次のような国や地域が日本と租税条約を結んでいます。
・バミューダ:平成22年
・ケイマン諸島:平成23年

バミューダやケイマン諸島が平成21年のG20以後すぐに日本と租税条約を結んだのはあまりにも露骨すぎる意思表示ですが、その結果、彼らはブラックリストから外れることに成功し国益を守りました。
しかしながら、パナマ文書の舞台となったのはOECDのブラックリストから外れた国や地域です。

今回、OECDにおいて作成されたブラックリストの3つの基準は、特に目新しいものではなく、これまでOECDが作成してきたブラックリストの基準とほぼ同じものです。
ブラックリストを作成したところで、その実効性は皆無に等しく、歴史は繰り返されると税理士長嶋は考えます。
ただ、3つの基準をクリアできる条件のハードルが上がっている可能性はありますので、詳細が公表されることを待つばかりです。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・タックスヘイブン子会社を利用した知財の節税を防止へ(2017/03/11)

・パナマ文書による課税逃れ対策強化はオバマ政権のパフォーマンス(2016/05/07)

・パナマ文書で思い出されるAIJ年金資産2000億円消失事件(2016/04/25)

・パナマ文書にアメリカの企業や政治家の名前がない理由(2016/04/20)

・パナマ文書、日本企業は本当に税金逃れをしているのか?(2016/04/19)

・パナマ文書、日本企業がタックスヘイブンを使う理由(2016/04/11)

・パナマ文書日本人、セコム創業家が相続税逃れを画策か(2016/04/06)