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2014/11/25
相続税税務調査、海外財産の申告漏れが増加

このほど、国税庁より平成25事務年度(平成25年7月から平成26年6月までの間)に実施した相続税の税務調査の状況が公表されました。
→平成25事務年度における相続税の調査の状況について(国税庁)

相続税の税務調査と贈与税の税務調査について概要を紹介し、具体的にどのような税務調査が行われたのかをご紹介します。
(参考:平成26年11月24日、週刊税務通信)

 

 

【相続税の税務調査】
(1)概要
相続税の実地調査については、平成23年中及び平成24年中に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報を基に、申告額が過少であると想定されるものや、申告義務があるにもかかわらず無申告となっていることが想定されるものなどに対して実施しました。

 

(2)海外資産に関連する相続税の税務調査の概要
納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、相続税調査の実施に当たっては、租税条約等に基づく情報交換制度を効果的に活用するなど、海外資産の把握に努めています。
資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、海外資産関連事案については、平成26事務年度においても積極的に調査を実施します。

海外資産関連事案とは、次のいずれかに該当する事案をいいます。
①相続又は遺贈により取得した財産のうちに海外資産が存するもの
②相続人、受遺者又は被相続人が日本国外に居住する者であるもの
③海外資産等に関する資料情報があるもの
④外資系金融機関との取引のあるもの

 

(3)相続税の申告書を提出していない者への対応
無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。

国税庁においては、実地による税務調査を適切に実施する一方で、納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。
その一環として、税務署が保有する情報から相続税の無申告が想定される者に対し、無申告理由のお尋ね等による書面照会を行うなど、自発的な期限後申告書の提出を促す取組も実施しております。

 

 

【贈与税の税務調査】
(1)概要
国税庁では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、平成26事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。
また、納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。

 

(2)贈与税の申告書を提出していない者への対応
国税庁では、あらゆる機会を通じて把握した生前の資産保有・移動状況に関する情報を蓄積・活用するなどして、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めています。

 

 

【相続税・贈与税の税務調査の事例】
(1)相続財産である国外預金を申告から除外(大阪国税局管内)
自動的情報交換資料により、被相続人Aに対し生前より海外の金融機関から利子が支払われていることを把握したが、相続税の申告財産にその支払われた利子に見合う海外預金が含まれていなかったため、調査を行った。

税務調査の結果、Aの死後、相続人Bは自らA名義の預金の名義変更手続きを行っており、この海外預金の存在を知っていながら、相続税の申告から除外していたことが判明した。

また、Bは所得税の申告についても、この利子についての申告はしていなかった。

申告漏れ相続税の課税価格約600万円、追徴税額約240万円。
申告漏れ所得税の所得金額約100万円、追徴税額約30万円。

 

(2)租税条約に基づく情報交換により、相続財産の無申告を把握(東京国税局管内)
国外送金等調書により、被相続人Cが生前に海外の金融機関に対し多額の送金をしていた事実を把握したが、その送金に見合う海外資産の申告がなかったため、調査を行った。

当初相続人Dは海外資産については知らない旨回答していたが、海外の税務当局に対し租税条約等に基づく情報交換を要請し、Cが生前に海外の海外の金融機関に多額の預金及び有価証券を保有していたことを把握した。

またDは、Cの死後、C名義の預金口座を自分名義の口座に移管する手続きを行っていたこと、また移管手続き終了後に現地にて現金を引き出していたことを把握した。

税務調査の結果、Dは海外資産の存在を知りながら相続税の申告から除外していたことが判明した。

申告漏れ相続税の課税価格約1億5000万円、追徴税額約6600万円。

 

(3)相続税の申告の必要性を認識しながら、相続税を無申告(名古屋国税局管内)
被相続人Eは、資料情報から、生前より多額の不動産・預金等の資産を保有しており、相続税の申告が必要であると想定されたが無申告であったため、調査を行った。

税務調査の結果、相続人Fは相続税の課税価格が相続税の基礎控除を超えており、相続税の申告が必要であることを認識していたにもかかわらず、相続税を払いたくないため税務署に指摘されるまでは申告しないでおこうと考えたことから、相続税の無申告が判明した。

申告漏れ相続税の課税価格約1億8000万円、追徴税額約2000万円。

 

(4)生前に贈与された現金及び多額の生命保険金を申告から除外(東京国税局管内)
被相続人Gは、資料情報から多額の資産の保有が想定され、また多額の生命保険金の支払いがあったものの、相続税の申告財産に含まれていなかったため、調査を行った。

税務調査の結果、Gは亡くなる一年前から相続人Hに多額の現金を手渡していたが、Hはそれをほとんど使うことなく風呂敷に包んで自宅に保管し、相続税の申告から除外していた。

なお、Gは生前における所得税の申告において、売り上げを除外して所得税を免れており、それを原資に多額の生命保険を契約していた。

申告漏れ相続税の課税価格約3億5000万円、追徴税額約1億2000万円。
申告漏れ所得税の所得金額約8200万円、追徴税額約2300万円。

 

(5)金地金の贈与及び譲渡所得についての無申告(東京国税局管内)
受贈者Iについて、資料情報から所得税の申告漏れが想定されたため、調査を行った。

税務調査の結果、Iは多額の金地金を譲渡し、譲渡益を得ていながら譲渡所得の申告をしていなかったことが判明した。

また、この金地金を取得した経緯について、親族Jから無償で贈与されたものであることが判明した。
Iは贈与された金地金について贈与税の申告の必要性を認識していながら申告せず、所得税についても、贈与税の無申告を指摘されると思い申告しなかったことが判明した。

申告漏れ贈与税の課税価格約3000万円、追徴税額約1800万円。
申告漏れ所得税の所得金額約1700万円、追徴税額約720万円。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・相続税税務調査対策ガイド

・相続税税務調査、海外資産の調査件数過去最高に(2015/11/30)

・邱永漢氏遺族、海外財産申告漏れ20億円超(2015/05/01)

・吉本興業創業家、相続財産申告漏れ3億円超(2015/04/07)

・海外資産の税務調査は税務署を本気にさせる(2015/03/22)

・大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム設置(2014/07/14)

・相続税税務調査の状況が国税庁より公表:平成24事務年度(2013/12/03)

・相続税の税務調査の状況:平成23事務年度(国税庁)(2012/11/26)

・相続税の税務調査の状況について、平成22事務年度(2011/12/11)

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