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2015/11/30
相続税税務調査、海外資産の調査件数過去最高に

このほど、国税庁より平成26事務年度(平成26年7月から平成27年6月までの間)に実施した相続税の税務調査の状況が公表されました。
→平成26事務年度における相続税の調査の状況について(国税庁)

相続税の税務調査と贈与税の税務調査について概要を紹介し、具体的にどのような税務調査が行われたのかをご紹介します。
(参考:平成27年11月16日、週刊税務通信)

なお、今回の相続税の調査の状況において注目すべき点は、海外資産に関する税務調査が増加し、海外資産に関する税務調査の件数が平成13事務年度以降、最高の数を記録したことです。
海外資産に関する税務調査の件数が増加した理由は、租税条約等に基づく情報交換制度を活用したことで、海外資産の把握ができるようになったためです。

 

 

【相続税の税務調査】
(1)概要
相続税の実地調査については、平成24年に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報等から申告額が過少であると想定されるものや、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定されるものなどに対して実施しました。

実地調査の件数は12,406件(平成25事務年度11,909件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は10,151件(平成25事務年度9,809件)で、非違割合は81.8%(平成25事務年度82.4%)となっています。

 

(2)海外資産に関連する相続税の税務調査の概要
納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、相続税調査の実施に当たっては、租税条約等に基づく情報交換制度を効果的に活用するなど、海外資産の把握に努めています。
資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、海外資産関連事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施します。

海外資産関連事案とは、次のいずれかに該当する事案をいいます。
①相続又は遺贈により取得した財産のうちに海外資産が存するもの
②相続人、受遺者又は被相続人が日本国外に居住する者であるもの
③海外資産等に関する資料情報があるもの
④外資系金融機関との取引のあるもの

 

(3)相続税の申告書を提出していない者への対応
無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。

国税庁においては、実地による税務調査を適切に実施する一方で、納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。
その一環として、税務署が保有する情報から相続税の無申告が想定される者に対し、無申告理由のお尋ね等による書面照会を行うなど、自発的な期限後申告書の提出を促す取組も実施しております。

 

 

【贈与税の税務調査】
(1)概要
国税庁では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査時等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、本事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。
また、納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用し、適正申告の確保に努めています。

 

(2)贈与税の申告書を提出していない者への対応
国税庁では、あらゆる機会を通じて把握した生前の資産保有・移動状況に関する情報を蓄積・活用するなどして、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めています。

 

 

【相続税・贈与税の税務調査の事例】
(1)相続開始日前後に被相続人の口座から預金を引き出して相続税の基礎控除以下に偽装(東京国税局)
被相続人Aは所有する不動産、その他の資料等から相続税の申告が必要であると想定されていた。
ところが、相続人Bからは相続税の申告書の提出がなかったため、相続税の税務調査を行った。

税務調査の結果、相続人Bは被相続人Aが亡くなる前日及び当日に被相続人Bの銀行口座から多額の現金を引き出し、相続人Bの銀行口座に入金していた。
また相続人Cの配偶者の自宅の住宅ローンの返済に充てていたことが判明した。

相続人Bは、銀行員から多額の現金を引き出したとしても相続税がかかる説明を受けていたが、税務署にはバレないと考えていた。
参考までに、相続人Bは相続開始後に税務署で相続税の相談を行っていた。

相続税の申告漏れとなった財産 約2億9000万円、追徴税額約6400万円。

 

(2)相続開始前に被相続人の口座から約200回にわたり約1億円を引き出し(東京国税局)
被相続人Aについて、相続税の申告が必要であると想定されていた。
ところが、相続人Bは被相続人Aの相続税についての「相続についてのお尋ね」において、相続税の基礎控除以下であると回答し、相続税の申告書を提出しなかった。

税務調査の結果、相続人Bは被相続人Aが体調を崩してから相続開始までの間、被相続人Aのキャッシュカードを使用して一日50万円ずつ、約200回にわたり現金を引き出し、合計約1億円の現金を貸金庫に保管していた。
また、相続人B自身の銀行口座にも入金していたことが判明した。

相続税の申告漏れとなった財産 約1億5000万円、追徴税額約1800万円。

 

(3)家族名義の預金であることを利用して多額の預金を相続税の申告から除外(大阪国税局)
相続人Bは被相続人Aについて相続税の申告書を提出していたが、資料などから相続財産が過少であると認められた。

税務調査の結果、被相続人Aは生前に事業を営んでおり、その収入を継続的に複数の家族名義の預金に入金しており、相続開始日現在の家族名義の預金の残高は約5億円となっていた。
家族名義の預金への入金は被相続人A自身が行なっており、相続人Bは被相続人Aからそのことを聞かされていたが、相続人Bは家族名義の預金を相続税の申告から除外し、被相続人A名義の預金口座のみを相続財産としていた。

相続税の申告漏れとなった財産 約5億円、追徴税額約2億2000万円。

 

(4)海外不動産を相続税の申告から除外(関東甲信越国税局)
非居住者である相続人Bは、被相続人Aについて相続税の申告を行った。
ところが、国外送金等調書から過去に海外送金を行っている事実があり、その他の資料から海外資産の申告漏れが想定された。

税務調査の結果、国外送金等調書から被相続人Aと相続人Bと共同して海外不動産を購入するために海外送金していたことを把握し、その海外不動産は税務調査時点においても所有している事実を把握した。

相続税の申告漏れとなった財産 約2600万円、追徴税額約1200万円。

 

(5)住宅取得資金の贈与について贈与税の無申告(東京国税局)
住宅を取得したBは、住宅購入の原資を確認するための「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」について、住宅購入の原資は住宅を取得したB本人の現金と住宅ローンであると回答した。

税務調査の結果、住宅ローンの資金計画において両親からの資金贈与が予定されていたこと、また実際に両親の口座から住宅を取得したB本人の口座へ入金されており、入金手続きの際に住宅を取得したB本人が同行していた事実を把握した。

贈与税の申告漏れとなった財産 約1500万円、追徴税額約650万円。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・相続税税務調査対策ガイド

・海外資産の税務調査は税務署を本気にさせる(2015/03/22)

・相続税税務調査、海外財産の申告漏れが増加(2014/11/25)

・大金持ちの税逃れ、許さない 国税局が専門チーム設置(2014/07/14)

・相続税税務調査の状況が国税庁より公表:平成24事務年度(2013/12/03)

・相続税の税務調査の状況:平成23事務年度(国税庁)(2012/11/26)

・相続税の税務調査の状況について、平成22事務年度(2011/12/11)

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