先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
相続税対策と併せて、慈善事業への寄付について相談されたいとのことでした。
お客様は慈善事業のためにご自身の財産を寄付したいとお考えでしたが、次の2つの理由により海外に詳しい専門家の助言が必要だと感じたそうです。
(1)慈善事業に使うつもりの資金は、シンガポールの銀行にある
(2)慈善事業への寄付にあたり、ご自身の名前を出したくない
どのようにすればよいか悩まれていたときに、税理士長嶋のホームページをご覧になり連絡をいただきました。
【東日本大震災の復興支援としてシンガポールの資金を使いたい】
相続税対策が必要だと感じているお客様の中には、慈善事業に関心がある方もおられます。
過去の相談事例では、カンボジアやアフリカに学校や病院を建てたいというようなものもありました。
お客様のご希望は、東日本大震災の復興に役立てたいというものでした。
東日本大震災の復興として寄付するのであれば、日本赤十字社やユニセフのような団体に寄付すれば簡単なことです。
しかしながら、お客様はこれを望みませんでした。
日本赤十字社やユニセフのような団体では、お客様が希望する支援先に必ず使われる保証がありません。
お客様自身が支援したい地域・団体に支援金を送るには、直接寄付をしたほうが確実であるとお考えでした。
【慈善事業への寄付にあたっては自分の名前を出したくない】
東日本大震災直後、著名人による支援が次のように行われました。
・ソフトバンク 孫社長 100億円
・ユニクロ 柳井社長 10億円
・楽天 三木谷社長 10億円
このように、多額の寄付をすると実名が報道されてしまいます。
上記のような会社経営者であれば、個人や企業のイメージアップにつながるという意味合いも少なからず含まれているでしょうから、実名報道されたほうがありがたいのです。
ところが、お客様の場合は一個人としての寄付であるため、これを望んでいません。
上記の方々が寄付された金額を超える金額を寄付される計画をされており、実名報道されることで身の危険に及ぶことも考えられるため、これを回避することも目的の一つであると考えられます。
リスク管理という観点からすれば、お客様の判断は適切であると思います。
【海外法人ではお客様の名前が出てしまう】
お客様は税理士長嶋にご相談される前に、国際税務に詳しい税理士・会計士に相談されたそうです。
そこで、次のような提案があったそうです。
・海外法人を設立し、お客様個人の資金を海外法人に移す
・海外法人の名義で寄付すれば、お客様個人の名前は出ない
結論から申し上げると、海外法人ではお客様のお名前が出てしまいます。
取締役・株主を調べれば、お客様のお名前、あるいはお客様一族の名前が出てきてしまうのは明らかです。
非常に単純な話ですが、税理士・会計士から自信満々に提案されたため、お客様は愕然とされたそうです。
【相続税対策参考ブログ】
・欧米の富裕層の相続税対策は日本人にも効果があるのか?(2014/08/16)
・相続税対策と慈善事業のためのオフショア(海外)財団法人(2014/07/04)