相続税対策ブログ
パーマネントトラベラー(PT、終身旅行者)の相続税対策
先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
お客様はパーマネントトラベラー(Permanent Traveler)のライフスタイルをとられていました。
所得税の対策は、パーマネントトラベラー(PT、終身旅行者)でクリアできているが、相続税対策はPTでは対応できないとのことで税理士長嶋にご連絡をいただきました。
ブログのお話を進める前に、パーマネントトラベラー(PT、終身旅行者)について簡単にご説明いたします。
◎パーマネントトラベラー(PT、終身旅行者)とは?
「永遠の旅行者、終身の旅行者」を意味します。
税法は各国で異なるため、それぞれの国で非居住者となれば、理屈の上では税金を合法的に払わないことが可能となります。
そのため、各国で非居住者とされる期間だけその国に滞在し、合法的に税金を払わない、あるいは税金を最小限にするライフスタイルのことをいいます。
【なぜPTなのに相続税対策が必要なのか?】
お客様の状況が複雑そうに感じましたので、まずはお客様の状況を確認するため詳しいお話を伺いました。
すると、次のようなことがわかりました。
・お客様自身、自由なライフスタイルが好きであることから、PTを選択した
・奥様はPTというライフスタイルはあまり好きではなく、むしろ日本が好きであるため日本の生活のほうが長い
・子供さんたちは日本に住み続けたいという希望を持っているので、PTという選択はありえない
これらからわかることは、次のようなことです。
・PTの生活をされているのはお客様のみであること
・お客様以外のご家族は日本の居住者であること
・お客様自身の所得税については、PTという選択でメリットが出ている
・お客様自身の相続税については、PTの選択をしても意味がない
【相続税対策の前にお客様の資産管理が必要】
相続税対策の話に入る前に、お客様がPTとしてどのようなライフスタイルをされているのかを理解する必要がありましたので、税理士長嶋はいくつかお客様に質問をしてみました。
すると、次のことがわかりました。
・某国の永住権を取得されることを検討していた
・某国に資産の大半を置かれていた
お客様のお話を踏まえて、税理士長嶋は次のことをお客様にお伝えしました。
・某国の永住権を取得するのはお勧めしません
・某国に資産の大半を置いておくことはお勧めしません
某国の永住権を取得してしまうと、お客様にとって大きな大きなデメリットになることは明白でした。
税理士長嶋からこのようなお話をさせていただくと、お客様は次のようにおっしゃいました。
「安易に行動しなくてよかったです」
相続税対策の話に入る前に、お客様の資産管理をどのようにしていくのか?が課題として挙がってきました。
【日本の相続税法を知っているだけでは対応できない】
海外との接点をお持ちの方は、資産の管理の仕方やライフスタイルを整理していくことがとても重要となります。
・資産をどこの国に置くのか
・資産をどのように管理するのか
・どこの国で生活するのか
などの選択を間違えてしまいますと、相続税対策など様々な部分に影響してきます。
結果として、お客様がご希望されていることが実現できないこともあります。
海外との接点をお持ちの方の相続税対策は、単に日本の相続税法を知っているだけでは対応できないことを十分にご理解いただきたいと思います。
【相続税対策参考ブログ】
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