先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
相続税対策について相続税専門の税理士さんに相談されたそうですが、お客様が満足される提案がなかったとのことで、税理士長嶋がお話を伺うことになりました。
【相続税対策のために自宅を売却しましょう】
お客様が相続税専門の税理士さんから提案を受けたのは、次のことだったそうです。
「自宅を売却して、都会にマンションを購入してそこに住みましょう」
お客様はこの提案を聞いてガッカリされたそうです。
このまま相談しても無駄だと思ったそうです。
【相続税対策に自宅を売却する意図】
相続税専門の税理士さんの名誉のために、この提案の意図を解説してみます。
(1)ご自宅が広いので、小規模宅地の評価減を最大限に使ったとしても、相続税の節税効果は薄い
(2)小規模宅地の評価減は、240平方メートルまで使うことができる
(3)自宅を売却し、その資金で都会でマンションを購入して生活すれば、面積を240平方メートルまでに抑えることができる
(4)その結果、小規模宅地の評価減が最大限に使える
というものです。
確かに、相続税法をそのまま読めば、相続税対策になります。
相続税専門の税理士さんのお気持ちもわかりますが、机上の空論と言うほかありません。
【相続税対策になると真顔で信じている相続税専門の税理士さん】
相続税の改正により相続税が増税されるとのことで、週刊誌に特集記事が組まれることも珍しくありません。
・相続税が大変になる
・相続税が増税される
といった内容です。
このような自宅を売却し都会のマンションを購入することが、週刊誌にも堂々と掲載されています。
相続税専門の税理士さんが、なぜこのような方法が相続税対策であると真顔で語ることができるのか、税理士長嶋は不思議に思えて仕方ありません。
なぜなら、この相続税対策はお客様の気持ちを一切無視しているからです。
【お客様の価値観やご希望を尊重すべき】
この相続税対策の大きな欠点は、お客様のお気持ちを一切無視している点です。
・先祖代々守ってきた自宅を相続税対策のために売却することが、本当にお客様にとってよいことなのか
・自宅を売却することで、お客様の生活環境が都会へと大きく変わります。これが本当にお客様にとってよいことなのか
・住み慣れたご自宅の近くにはお客様のご友人がおられます。ご友人と離れて暮らすことが本当にお客様にとってよいことなのか
・お客様にとっての幸せは何なのか
など常識的に考えれば、この方法が本当にお客様のためになるのかどうか、答えが出てくるはずです。
なぜ、相続税専門の税理士さんはこのような方法を提案するのでしょうか。
その理由は2つあると、税理士長嶋は考えます。
(1)本当は相続税専門ではない
(2)本当は相続税対策を知らない
最も重要なことは、お客様の価値観を十分に理解しご希望を実現させることではないでしょうか。
相続税専門の税理士さんの自己満足は必要ありません。
【相続税対策参考ブログ】
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