相続税対策ブログ
相続税対策における賃貸マンションと家賃保証のカラクリ
先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
お客様は賃貸マンションを所有されておりますが、銀行から勧められた家賃保証について、当初聞いていた話と違うということで不信感をお持ちでした。
所得税の確定申告をお願いしている税理士さんに相談されたそうですが、税金の相談ではないとのことで、答えてもらえなかったそうです。
相続税に詳しい税理士さんにも相談されたそうですが、ピンとくるアドバイスがなかったそうで、相談するのを諦めたそうです。
家賃保証について誰かに相談できないものか悩まれていたときに、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。
【家賃保証について銀行から聞いていた話と違う】
お客様が所有されている賃貸マンションは、10年ほど前に銀行から相続税対策になるとのことで、借金をして建築されたそうです。
家賃が保証されているほうが安心であると銀行員から助言があったこともあり、10年間の家賃保証を選択されました。
ところが、昨年に家賃の引き下げをするという通知が管理会社からあったそうです。
まだ10年たっていないのに、なぜ家賃が下がってしまうのか、話が違うと感じられたそうです。
賃貸マンションの状況をお客様から伺うと、次のようなことでした。
・賃貸マンションの周辺環境は再開発が行われ、3年ほど前にショッピングセンターが開業してから人口が急増している
・戸建て住宅が密集する地域であることから、マンションやアパートの数は増えていない
・建築当時から満室状態が続いており、空きが出てもすぐに埋まっている
つまり、家賃が上がることはあっても、家賃が下がる要素はないという状況でした。
【銀行にいいようにやられた】
結論から申し上げると、銀行と建築業者にいいようにやられたということが言えるでしょう。
家賃保証というのは、10年間家賃を支払うことを保証しているだけで、当初決めた家賃の金額を保証してくれるという意味ではありません。
家賃の変更についても、契約書の中に「経済状況に変化があれば改定できる」と記載されていることが一般的です。
お客様の場合、築8年目くらいになって減額の話が管理会社からありましたが、これはよくある話です。
建築業者にとっては、マンションを建築した時点で既に利益が出ています。
建築業者(管理会社)にとって「保証家賃を支払う=経費」になりますので、経費を削減したい(家賃を引き下げたい)と思うのは当然のことです。
お客様の場合、マンションを建築した当時からマンション周辺の環境が良い方向に変化しているため、家賃の増額があって然るべきですが、むしろ減額されてしまったという結果になりました。
お客様自身、マンション周辺の環境が整っているため、家賃保証を外しても問題ないのでは?とお考えでしたが、全くその通りだと思います。
【家賃保証はマンション建築させるためのエサ】
建築業者は、マンションやアパートを建築するのが仕事です。
言い方は非常に悪いですが、家賃保証はマンション建築させるためのエサであると考えて差し支えないでしょう。
銀行も融資をしたいため、建築業者と手を組んで営業をかけてきます。
このような理由から、不動産オーナーのもとにはマンション建築と借金がセットで勧誘・販売がされています。
銀行や建築業者に相続税専門と称する税理士も絡んでくるため、事をさらに面倒にさせます。
相続税専門と称する税理士は、銀行や建築業者から仕事を紹介して欲しいため、マンション建築がいかに相続税対策になるかを語り、お客様を誘導しようとします。
これは、相続税専門の税理士が銀行や建築業者の手先となって営業をかけているのと同じです。
お客様が相談された相続税専門の税理士も家賃保証のカラクリを知っているはずです。
しかし、彼らは銀行や建築業者のマイナスになるようなことは絶対に言いません。
彼らは銀行や建築業者から仕事が欲しいため、カラクリを知っていても本当のことは言いません。
相続税対策を検討する場合、誰がお客様側の立場で考えてくれるのか、十分に見極めることが必要だと思います。
【相続税対策参考ブログ】
・相続税対策に不動産の有効活用は本当に効果があったのか?
・相続税対策の相談をなぜ業者にしてしまうのか?(2015/04/28)
・銀行の手先になっている相続税専門税理士にご注意(2014/07/31)
・相続税対策と称して銀行にいいようにやられた(2014/02/28)
・相続税対策に「何もしない」という結論もある(2013/07/10)
・相続税対策で作った借金を返済できず自宅が競売に(2013/01/11)
・日本の相続税対策の根本的な問題点(2011/10/14)
・相続税対策に借金をしてはいけない(2011/08/01)