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2012/12/04
相続税の改正、外国籍の子供・孫は増税へ

相続税・贈与税の租税回避行為として、子供や孫に外国籍を取得させることが行われていることから、平成25年度税制改正において相続税・贈与税の納税義務の拡大が検討されることになりました。

(日本経済新聞:2012年11月30日)
外国籍の子・孫への相続税、外国資産も課税対象に 財務省検討

財務省は外国籍の子どもや孫に対する相続税と贈与税の課税対象拡大を検討する。
外国にある資産を加える方針。
現在は外国籍の子どもや孫の場合、国内にある資産だけが課税対象。
外国にある資産への課税を逃れる事例があるため、課税の網を広げることを目指す。

例えば日本人の父親が国内外に持っていた資産を、海外にいる子どもに相続させる場合が検討の対象になる。
子どもが日本国籍であれば、国内外の資産はすべてが相続税の対象。
しかし子どもが外国籍であれば、現在の仕組みでは相続税は日本の資産にしかかからない。

財務省によると、米国や英国、ドイツなどは自国の国籍を持たず国外に住む相続人でも、国内外の資産を対象に相続税を課している。

日本の相続税は国内に住む人を念頭に置いてきたが、2000年に日本国籍で海外に住む人に課税対象が広がった。
今後は経済のグローバル化に伴い、日本国籍を持たない人への相続が増えることも予想される。
財務省は海外の事例を参考にしながら、課税の拡大を検討していく方針だ。




【税制改正が検討されることとなった経緯】
相続税・贈与税の租税回避行為が問題視され税制改正にまで至ったのは、税務大学校における平成23年6月28日の論文であると推測されます。
具体的にはこちらの論文です。
相続税・贈与税の納税義務者制度に関する研究

こちらの論文で問題点が指摘されていますが、論文の指摘通りの改正報道となっているのは偶然ではないでしょう。
財務省が問題視している論点、そして今回の改正内容は報道の通りですが、注目すべきは論文の中で報道されていない部分に大きな方向性が示されていることです。

 

【非居住者を利用した相続税・贈与税の租税回避行為の防止策はさらに拡大へ】
平成25年度の税制改正で検討されるのは、子供や孫が外国籍を取得している場合です。

今後の方向性として、次の2つのことが述べられています。
(1)将来的には、国内居住要件を適用する過去の期間(現行5年)を延長することを検討すべきと考える。
(2)内国法人を、外国法人を通じて間接保有するようなかたちのスキームが形成され、かつ、納税者が非居住者になるという行為が行なわれた場合に、当該外国法人の株式を一定の範囲で国内財産とみなすと
いう改正を行なうこと」といった見直しを検討すべきと考えるところである。

(1)国内居住要件の期間(現行5年)を延長。
相続税・贈与税の節税対策として、海外に移住するというものがあります。
親子で5年間海外で生活すれば日本国外の財産には日本の相続税・贈与税が課税されないというものです。
5年間という期間を延長することを検討するべきと述べられています。

例えば、5年から10年に延長される、あるいは、アメリカの相続税(遺産税)のように出国税(日本の国籍から離脱した時点で保有している財産に課税する)なども現実味が帯びてきました。

(2)海外法人を設立し非居住者になったときは、外国法人の株式に課税する。
相続税・贈与税の節税対策として、海外に法人を設立するというものがあります。
このスキームは、相続税対策と併せて国外財産調書制度から逃れることを目的として一部の方も利用されているそうですが、これも封じ込められることになります。

 

【相続税対策に海外に移住する必要はまったくない】
・親子で5年間海外に移住する
・海外法人を利用した相続税対策
についても、いずれ税制改正が行われる可能性が高まりました。

この流れを受けて、
・税制が改正される前に海外に移住を勧める税理士や業者
・海外法人設立を煽る税理士や業者
などが急増することでしょう。

税理士長嶋がいつも不思議に思うことですが、海外に移住などせずとも相続税対策を行うことは十分に可能であるにも関わらず、なぜ海外移住にこだわるのでしょうか。
日本の一般的な税理士は「究極の相続税対策は海外移住である」と何ら疑いもなく真顔でおっしゃいますが、海外移住を究極であると信じていることが税理士長嶋は驚きです。

税制改正の流れからすれば、究極の相続税対策(海外移住)はいずれ使えなくなるでしょう。
税制が改正されることで効果がなくなる相続税対策は、究極ではなくその他大勢の方向けの一般的な対策に過ぎないでしょう。
今、こちらの相続税対策ブログをご覧のみなさまはいち早く、誰もが知るその他大勢の相続税対策から抜け出すべきです。

海外に移住などせずとも相続税対策を行うことについて、2011年10月21日付の相続税対策参考ブログ「相続税の節税対策に海外移住をする必要はない」にてご紹介しています。

 

【相続税対策参考ブログ】
・海外移住は本当に究極の相続税対策なのか?


・究極の相続税対策は海外移住ではない(2013/10/22)

・相続税対策を目的とした海外移住が失敗する理由(2012/10/17)

・相続税対策に海外法人の活用でトラブル多発(2012/01/04)

・日本を見捨てる富裕層、海外へ資産移転が始まった(2011/10/07)

 

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