不動産を購入し、相続税対策を行う。
これは、日本において常識とされている相続税対策として、最も有名な方法の一つです。
税理士長嶋は、この常識を真っ向から否定します。
なぜなら、日本の不動産は海外からは「資産価値がない」と認識されているためです。
【日本の不動産に資産価値があると考えているのは日本人だけ】
日本の不動産に資産価値があると考えているのは、残念ながら日本人だけです。
・海外の銀行などの金融機関
・海外の個人投資家
から見た日本の不動産は、どのように認識されているのでしょうか。
【海外の銀行などの金融機関から見る日本の不動産】
スイスや香港、そしてシンガポールなどの諸外国における銀行などの金融機関においては、日本の不動産に対して非常に厳しい見方をしています。
東京都内の一等地にある不動産でも、その認識は同様です。
単刀直入に申し上げると、「資産価値はない」と考えています。
海外の銀行などの金融機関から見た日本の不動産市場は、いわば日本人のみが取引を行うローカルマーケットにすぎません。
資産価値のない日本の不動産を多く所有している日本人は、日本の相続税が多額に課税されます。
海外から見た日本の不動産の現実的な資産の価値と、日本の相続税を計算するときの資産価値にかなりの温度差があることがわかります。
【中国の個人投資家が日本の不動産を買う理由】
中国の個人投資家が日本の不動産を購入しているという報道が多数されていますが、彼らはなぜ日本の不動産を購入しているのでしょうか。
結論から申し上げると、日本の不動産の資産価値が魅力的であるとは思っておらず、他の魅力的な理由で彼らは日本の不動産を購入しています。
その理由として、大きく次の3つがあると思います。
(1)ステータスがある
(2)所有欲を満たすためだけ
(3)ビジネス上のツールとして利用するにすぎない
(1)ステータスがある
何よりも、日本の不動産を所有していることが自慢になるためです。
中国の方にとって、日本は観光地としてとても魅力的な国です。
その日本に別荘や滞在用のマンションなどを持ち、友人や親族を招くことが彼らのステータスとなります。
(2)所有欲を満たすためだけ
中国という国は、土地は国が所有するという考え方をしています。
つまり、個人が土地を所有することはできません。
建物を建築するには、土地を借りる契約をしなければなりません。
このような事情から、彼らは「自分の土地ではない」ことを強く認識しています。
ところが、日本ではお金を出しさえすれば、個人に所有権が与えられます。
土地を所有できない彼らにとって、「所有できること」そのものが魅力的であり、所有欲が満たされることが重要なのです。
(3)ビジネス上のツールとして利用するにすぎない
日本の不動産のうち、ホテルやビルなどを購入したいという海外からのニーズがあります。
これは、日本の不動産の資産価値が魅力的なのではなく、単にビジネス上のツールとして利用する結果として、不動産を購入しているだけにすぎません。
日本では、今後中国などからの観光客の増加が見込まれています。
その観光客に対するビジネスを行うためのホテル事業、あるいはそれに関連する事業を行うために、ホテルやビルなどの「箱」が必要なだけに過ぎません。
【資産価値のない日本の不動産で相続税対策を行うことは最低の相続税対策】
税理士長嶋が行う相続税対策は、相続税を節税することを目的としておりません。
相続税を払ったとしても、「当初の資産を維持する・守る」ことを目的としています。
資産を維持する・守ることを目的とする相続税対策からすれば、日本の不動産で相続税を節税することは、最低の相続税対策ということになります。
なぜなら、日本の不動産は海外からは「資産価値がない」と認識されているためです。
このように、「相続税対策」という同じ言葉を使ったとしても、その目的や価値観が異なれば、今まで常識であると考えられていたことが一転「非常識」になってしまいます。
相続税対策を、相続税を節税するという「たった一つの価値観」だけで行うことが、本当に良いことなのでしょうか。
【相続税対策参考ブログ】
・相続税対策に不動産の有効活用は本当に効果があったのか?
・相続税対策にアパートを建てると本当に節税になるのか?(2016/09/27)
・相続税対策に借金をしてはいけない(2011/8/1)
・相続税対策にアパート経営は危険(2011/7/25)
・相続税対策のリスクを、なぜ誰も語ろうとしないのか?(2011/7/22)
