先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
お客様が所有されていた賃貸マンションが東日本大震災で被災し、不動産の価値が大きく目減りしてしまったそうです。
このような経験から、資産を管理する・運用するということに関心を持たれ、リスク分散として海外不動産の購入を検討されていました。
海外不動産の投資セミナーに参加し、実際にマレーシアへ不動産の視察に行かれ、ある程度の資金を業者に預けたそうです。
本当にマレーシア不動産を購入して良いものかどうか悩んでいたときに、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。
【資産の管理・運用をどうすればよいか】
お客様のご相談は次の2点でした。
(1)相続税対策
(2)資産の管理・運用をどうすればよいか
(1)の相続税対策については、次のようなことを気にされていました。
・マレーシア不動産を購入した場合、相続税はどうなるのか
・日本で所有している不動産について、相続税対策をどうすればよいか
・海外不動産に関連して、国外財産調書制度への対応はどうすればよいか
お客様が最も関心を持たれていることが相続税対策ではないことを理解するのに、そう多くの時間は必要ありませんでした。
税理士長嶋から税金のお話をしたのは5分から10分程度の時間でした。
お客様が最も関心を持たれていたのは、(2)の資産の管理・運用でした。
【マレーシア不動産のデメリットを知らない】
お客様がマレーシア不動産の購入をしようと思われた理由をお伺いしたところ、次のようなことでした。
・東日本大震災の後、同じようなことがもう一度起これば日本が壊れてしまうと思った
・海外へ移住をするにしても拠点となる場所を確保する必要があった
・マレーシアだと移住をするのにハードルが高くない
・既に長期間定住できる手続きを済ませた
・マレーシアは日本人に人気があることもあり安心だと思った
お客様の本音としては、マレーシア不動産の購入について誰かに相談して「大丈夫ですよ」と背中を押してもらいたかったようです。
ここで、税理士長嶋からお客様へ次の質問をしてみました。
「マレーシア不動産について、どのようなデメリットがあるとお考えでしょうか?」
お客様はこの答えをお持ちではありませんでした。
不動産視察ツアーに行かれて即決できなかったのは、このためだと思われます。
それもそのはず、海外不動産の投資セミナーでデメリットを話せば誰も購入しないので、セミナー参加者がデメリットを知らないのは当然のことです。
【マレーシア不動産の問題点】
マレーシア不動産について、最も大きな問題点を簡単にお客様にお伝えしました。
すると、お客様は次のようにおっしゃいました。
「でも、私は実際に不動産を購入した方に現地でお会いして、みなさん楽しく生活されているのを目の当たりにしました。」
続けて、この問題点の核心を突くお話をしました。
すると、お客様のコメントは次のように変わりました。
「それはそれは、大きな大きな問題点ですね。」
お客様はマレーシア不動産の購入を白紙に戻されました。
マレーシア不動産の問題点を指摘できない人は、本当のマレーシアを知らない人でしょう。
マレーシア不動産の購入を検討されている方がいらっしゃるとすれば、まず業者にマレーシア不動産のデメリットを確認されることをお勧めします。
業者が本当のデメリットを知っているのか、あるいはデメリットを知っていたとしてもお客様に本当のことを伝えるのか、は大きな疑問ではありますが・・・
現地で楽しく生活されている方は、残念なことにこの問題点に気づいていない、あるいは知らされていないのだと思います。
気づいていない理由もよく理解できます。
現実として、今楽しく生活されていますので、むしろ知らないほうが幸せなのかもしれません。
【相続税対策参考ブログ】
・海外移住は本当に究極の相続税対策なのか?
・海外不動産による所得税節税、税制改正を検討か!?(2016/12/20)
・海外不動産で節税は時代遅れ(2013/09/21)
・相続税対策に設立したシンガポール法人がトラブルで裁判沙汰に(2013/05/22)
・資産海外移転、海外投資クラブにご注意(2012/10/11)

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