先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。
お客様は市街地に農地を多数お持ちになっており、また賃貸不動産もいくつかお持ちでしたので、相続税について心配されておられました。
お客様の心配とは、相続税が払えないということでした。
お客様には顧問の税理士さんがおられるのですが、顧問の税理士さんからは「農地を売却すれば相続税を払うための現金を準備できるため問題ない」という助言があったそうです。
しかしながら、農地を売却するという選択が本当に最善な方法なのか、お客様は疑問に感じたそうです。
そんなとき、税理士長嶋のホームページをご覧になり連絡をいただきました。
【父が一代で築き上げた大切な財産】
お客様が所有されている市街地農地や賃貸不動産は、お客様のお父様が一代で築き上げた大切な財産です。
お父様が苦労された背中を見てきているので、相続税の支払いとはいえ手放すのは忍びないというお考えでした。
市街地にある農地を転用するときは、農業委員会に届けるだけでよく、事前に許可が不要なことから、一般的な農地に比べると換金しやすい条件ではあります。
そのため「相続税を支払うための現金を作るには農地を売却すればよい」という安易な発想が出てきてしまいます。
農地を手放さない方法としては、農地の納税猶予制度を利用すればよいのでしょうが、お客様自身が農業以外のお仕事をされているため、20年間農業を継続することは現実的ではありません。
このような事情もあり、相続税を支払うための現金が不足する状況にありました。
【市街地農地は宅地並みに相続税や固定資産税が課税される】
市街地にある農地は、農地とはいえ宅地並みに相続税や固定資産税が課税されてしまいます。
相続税もさることながら、固定資産税の負担が大きいため、給与や賃貸不動産など他の収入から補わないと農地の固定資産税を払えないというケースが散見されます。
このような市街地の農地について、相続税と固定資産税の節税対策として一般的に検討されるのは、賃貸マンションやアパートの建設です。
賃貸マンションやアパートを建設するだけで、相続税と固定資産税の節税になるため一石二鳥というわけです。
お客様は賃貸マンションやアパートの建設には否定的なお考えでしたので、不動産業者の勧誘はすべてお断りされてきたそうです。
【方法論ではなくお客様の希望や価値観が重要】
相続税対策というお話になりますと、必ずと言っていいほど方法論が主役となります。
・賃貸マンションやアパートを建設しましょう
・生命保険に加入しましょう
など。
これらの方法論をいくら検討したところで、お客様の希望を実現させることができなければ意味がありません。
また、お客様の価値観に合うものでなければ意味がありません。
賃貸マンションやアパートの建設に否定的なお客様に対して、この方法論をどれだけ検討しても意味がないのは明らかです。
お客様の価値観に合う相続税対策を検討していきたいと思います。
【相続税対策参考ブログ】
・相続税対策に不動産の有効活用は本当に効果があったのか?
・相続税対策にアパートを建てると本当に節税になるのか?(2016/09/27)
・相続税対策で作った借金を返済できず自宅が競売に(2013/01/11)
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