相続税は、現金で支払うことが原則となっています。
もし、相続税を現金で払えないことが相続税対策を行っているときにわかった場合、「物納」の条件を満たすために生前から準備をするように勧める相続税対策の専門家も多数おられます。
相続税を払うため、生前から「物納」の準備をすることが本当に正しいことなのでしょうか?
【相続税を現金で払えるようにするのが相続税対策の専門家の仕事】
相続税は、現金で支払うことが原則となっています。
もし、相続税を現金で払えない場合、相続財産が不動産に偏っており、明らかに相続財産の資産構成のバランスが悪いことを意味します。
相続税を現金で払えない場合、払えるようにするのが相続税対策の専門家の仕事ではないでしょうか。
まだ相続が発生していないうちに、物納をするための準備を行うことは、専門家が行う相続税対策と言えるのでしょうか。
【物納の準備をするくらいなら不動産を売却したほうが良い?】
生前に物納の準備をするくらいなら、不動産を売却してしまったほうが有利になる可能性があります。
物納に充てる不動産として、
・収益性が悪い不動産
・換金性が乏しい不動産
が選ばれることが多いと思います。
これらを言い換えるならば「不良資産」ということになります。
不良資産を所有していれば、
・相続税を増加
・固定資産税の支払いが毎年発生
させる効果があり、それは資産ではなく、むしろ負債と言うべきものだと思います。
【不動産を売却してしまったほうが有利なこと】
不動産を物納するのではなく売却することで、次のような効果があります。
(1)相続税を払うための現金を確保することができる
(2)固定資産税の支払いがなくなる
(3)不動産の売却に対する所得税は20%で済む(不動産を長期に所有している場合)
相続財産の状況によっては、不動産を物納するよりも有利になり、相続税対策にもなる可能性があります。
【不動産に抵当権が付いていても売却できるが物納はできない】
物納の申請があった不動産について、物納として受けるかどうかの判断は、税務署が行います。
そして、税務署は抵当権などが付いた不動産は、物納財産として受けません。
ところが、不動産市場では抵当権が付いていても売却できる可能性があります。
不良資産を物納する方が有利なのか、売却する方が有利なのか、検討する価値はありそうです。
【相続税対策参考ブログ】
・不動産の相続税対策に限界を感じていませんか?
・相続税対策に借金をしてはいけない(2011/8/1)
・相続税対策にアパート経営は危険(2011/7/25)
・相続税対策のリスクを、なぜ誰も語ろうとしないのか?(2011/7/22)
