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2012/11/19
医療法人・開業医、概算経費の改正で法人税・所得税は増税へ

政府税制調査会の会合で、医療法人や開業医に利用されてきた「概算経費」について、自由診療が多い場合には概算経費の利用を見直すことが合意されました。
2013年度の税制改正において改正が予定されています。

(2012年11月12日:日本経済新聞)
医療機関の「益税」是正へ 政府税調、自由診療多い機関対象

政府税制調査会は12日の会合で、医療機関の税負担が減る「益税」の原因とされる納税制度を見直すことで合意した。
社会保険の対象にならない自由診療で多額の収入がある医療機関は、実際よりも多く経費が計上できる可能性がある「概算経費」の適用から外す。
収入の大きな医療機関が税負担で優遇される事態を回避する。

医療機関が収入から差し引く経費を計算する際に、一定の「概算経費率」を適用する対象から自由診療の多い医療機関を外す。
厚生労働省の提案に沿って調整を進めることにした。
2013年度税制改正での実現を目指す。

現行の制度は社会保険の診療報酬による収入が5000万円以下の小規模な医療機関が対象。
事務負担を軽くするのが目的だが、実際の経費を概算の経費が上回れば、課税対象の所得が減って税負担が抑えられることになる。

医療機関には診療報酬が少なくても、自由診療で多額の収入のある場合がある。
厚労省の調査では制度を適用された医療機関のうち総収入が7000万円を超える層では4割以上が自由診療の収入だった。
規模の大きな医療機関は経費率が低い傾向にあり、概算経費を適用すれば「益税」となっている可能性がある。

制度の問題点は会計検査院も指摘していた。
ただ、概算経費率そのものが実際の経費率に比べて高すぎるのではないかという指摘に対しては、厚労省が実態に近いとする調査結果を提示した。
今後、詳細なデータを追加して議論を進める。




【概算経費が益税と指摘されている理由】
概算経費により経費を計算するときは、実際に経費を使っていなかったとしても、計算式で計算された数字が経費として認められます。

(例)
・実際にかかった経費、2000万円
・概算経費の算式により計算された金額、3000万円

概算経費の算式により計算された金額の3000万円を経費とすることができます。
実際にかかった経費との差額の1000万円について所得税や法人税を払わないため「益税」と指摘されています。

元々の概算経費の制度が創設された趣旨は、経費計算など到底出来ないような零細開業医で保険外診療はごくわずかであることが想定されます。
この制度が創設された当時は「国民皆保険」で医療をやっていた時代ですから、現在のような自由診療を中心とするクリニックというものが存在しなかったはずです。
このようなことからも、概算経費という考え方が時代に合わなくなってきているのも事実でしょう。

なお、この概算経費で経費を計算するかどうかは、納税者である開業医や医療法人が判断することができます。
現実問題として、このような方々には顧問の税理士がおられ、実際の経費を計算して概算経費とどちらが有利であるかを判断されています。
概算経費という制度が法的に残っている以上、有利な方を選択するのは納税者としては当然のことです。

(概算経費とは?)
医師が所得を計算する際、社会保険診療報酬の額が5000万円以下であるときには、実際にかかった経費ではなく、その社会保険診療報酬額に一定の率を乗じた金額を経費として計算できるという制度です。
医療法人も同様に計算することができます。

(原則的な計算方法)
収入-実際の経費=所得

(概算経費により所得を計算する方法)
(1)社会保険診療報酬-概算経費=社会保険診療の所得
(2)自由診療報酬-自由診療報酬の経費=自由診療報酬の所得
(3)(1)+(2)=所得税や法人税の対象となる所得

(概算経費の計算方法)
・社会保険診療報酬が2500万円以下→社会保険診療報酬×72%
・社会保険診療報酬が2500万円超3000万円以下→社会保険診療報酬×70%+50万円
・社会保険診療報酬が3000万円超4000万円以下→社会保険診療報酬×62%+290万円
・社会保険診療報酬が4000万円超5000万円以下→社会保険診療報酬×57%+490万円

 

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