【相続時精算課税制度の適用要件】
(1)贈与により財産を取得した者がその贈与をした者の推定相続人(その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年1月1日において20歳以上であるものに限る。)であり、かつ、その贈与をした者が同日において65歳以上の者である場合には、その贈与により財産を取得した者は、その贈与に係る財産について、相続時精算課税の規定の適用を受けることができる。
(2)上記(1)の規定の適用を受けようとする者は、贈与税の期限内申告書の提出期限までに(1)の贈与をした者からのその年中における贈与により取得した財産について相続時精算課税の規定の適用を受けようとする旨その他の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(3)その年1月1日において20歳以上の者が同日において65歳以上の者からの贈与により財産を取得した場合にその年の中途においてその者の養子となったことその他の事由によりその者の推定相続人となったとき(配偶者となったときを除く。)には、推定相続人となった時前にその者からの贈与により取得した財産については、(1)の規定の適用はないものとする。
(4)相続時精算課税適用者が、特定贈与者の推定相続人でなくった場合においても、その特定贈与者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税の規定の適用があるものとする。
(5)相続時精算課税適用者は、(2)の届出書を撤回することができません。
【贈与税の計算】
(1)贈与税の計算方法
相続時精算課税の規定に係る贈与をした者からの贈与により取得する財産については、その届出書に係る年分以後、相続時精算課税の規定により、贈与税額を計算する。
(2)相続時精算課税に係る贈与税の課税価格
相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した財産については、特定贈与者ごとにその年中において贈与により取得した財産の価額を合計し、それぞれの合計額をもつて、贈与税の課税価格とする。
(3)適用除外
相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した財産については、贈与税の配偶者控除の規定は、適用しない。
(4)相続時精算課税に係る贈与税の特別控除
相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格からそれぞれ次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除する。
①2500万円(既にこの条の規定の適用を受けて控除した金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額)
②特定贈与者ごとの贈与税の課税価格
(5)相続時精算課税に係る贈与税の税率
相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税の額は、特定贈与者ごとに、相続時精算課税に係る贈与税の課税価格(既にこの規定の適用がある場合には、この規定による控除後の金額)にそれぞれ100分20の税率を乗じて計算した金額とする。
【申告要件】
この規定は、贈与税の期限内申告書にこの規定により控除を受ける金額、既にこの規定の適用を受けて控除した金額がある場合の控除した金額そのの事項の記載がある場合に限り、適用します。
なお、税務署長は、相続時精算課税の適用を受ける財産についてその記載がない贈与税の期限内申告書の提出があった場合において、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その記載をした書類の提出があった場合に限り、この規定を適用することができる。
【相続税の計算】
(1)特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者については、その特定贈与者からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の規定の適用を受けるもの(その取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものに限る。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額をもって、相続税の課税価格とする。
(2)特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者については、その特定贈与者からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の規定の適用を受けるものをその特定贈与者から相続(その相続時精算課税適用者がその特定贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈)により取得したものとみなして相続税を課税します。
(3)上記(1)・(2)の場合において、相続時精算課税の規定の適用を受ける財産につき課せられた贈与税があるときは、相続税額からその贈与税の税額(贈与税の外国税額控除の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)に相当する金額を控除した金額をって、その納付すべき相続税額とする。
(4)上記(2)の規定により特定贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税価格に算入される財産の価額は、その贈与の時における価額による。
(5)税務署長は、相続時精算課税の規定の適用を受ける財産に係る贈与税の税額(贈与税の外国税額控除の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)に相当する金額がある場合において、その金額をその相続税額から控除してもなお控除しきれなかった金額があるときは、還付を受けるための相続税の申告書に記載されたその控除しきれなかった金額(贈与税の外国税額控除の規定の適用を受けた場合にあっては、その金額から贈与税の外国税額控除の規定により控除した金額を控除した残額)に相当する税額を還付する。
なお、この規定は、還付を受けるための相続税の申告書が提出された場合に限り、適用する。
