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2012/12/22
相続税の取得費加算の特例が改正、所得税の増税へ

このほど会計検査院より、相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費加算)について、財務省に対して制度を見直すように意見の表示を行いました。

相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費加算)は、相続税を払うために相続した土地などを売却される方にとっては重要な制度となっています。

会計検査院の意見表示は法的拘束力はありませんが、近年において税制改正となった項目の中には会計検査院の指摘項目が含まれています。
近い将来において税制改正される可能性が出てきたため、注目しておく必要があるでしょう。

 

【相続財産を譲渡した場合の取得費加算とは】
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費加算)は、相続により取得した土地・家屋・株式などを相続があった日の翌日から相続税の申告期限から3年以内に譲渡した場合に、支払った相続税の一部を譲渡所得を計算する際に取得費に加算することができる制度です。
この制度は、一般的に「取得費加算の特例」といわれています。

相続税を支払うために相続した財産を売却することが行われますが、相続したときに相続税が課税され、売却したときに所得税が課税されてしまっては、相続税を払うことができなくなる可能性があります。
このような事情を配慮して、売却した財産に対して課税された相続税を所得税において取得費(経費)と認めることで、所得税の負担を軽くしようとするものです。

例えば、土地を売却した場合に所得税において取得費と認められる相続税は、次の算式により計算します。

(算式)
(1)×(2)÷(3)

(1)相続財産を譲渡した人に課税された相続税額
(2)相続税の課税価格のうち、相続により取得したすべての土地の価額
(3)相続税の課税価格

売却した財産が建物・株式であるときは、(2)は「相続税の課税価格のうち、相続により取得し譲渡した財産の価額」に置き換わります。

 

【会計検査院が問題視しているのは実際に譲渡していない土地】
土地を売却したときは、譲渡した土地に対する相続税だけではなく、相続により取得したすべての土地に対する相続税を取得費(経費)とすることができます。
また、譲渡した財産が建物・株式のときは、譲渡した財産に対して課税された相続税のみが取得費(経費)とすることができます。

会計検査院が問題視しているのは土地を売却した場合で、実際に譲渡していない土地に対する相続税までも取得費(経費)として認められていることです。

この指摘の根拠となったのは、会計検査院が検査を行った全国の税務署のうち58箇所で、平成21年・平成22年に取得費加算の特例制度を利用し、土地の売却金額が3000万円以上であった1966人です。
1966人のうち427人(およそ5人に1人)は、この制度を利用したことで所得税の負担がありませんでした。

 

【制度創設当初は実際に譲渡した土地のみが取得費加算の対象】
この制度が創設された当初、譲渡した土地に対した課税された相続税のみを取得費とされていました。
平成5年にバブル期の土地高騰を考慮して、相続で取得した土地であれば譲渡していなくとも取得費に加算することができるようにと改正されました。

土地の価額がバブル期前に戻っている経済状況を考えると、譲渡していない土地に対して課税された相続税を取得費に加算する必要性がなくなったとして、制度本来の姿に戻すべきであると指摘されています。

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