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2018/01/09
借入金で賃貸マンション購入による相続税対策を国税当局が否認

銀行から借金をして賃貸マンションを購入すれば相続税対策になることは広く知られているところですが、賃貸マンション1棟を購入した相続税対策が国税当局から否認された事例をご紹介します。
この事例では賃貸マンション1棟を購入していますが、国税不服審判所が示した判断を整理すると、タワーマンションを購入していてもまったく同じことが当てはまります。
この事例で学ぶべきことは、タワーマンションによる相続税対策の危険性が高まっているということでしょう。




【概要】
相続人が相続により取得した賃貸マンションにつき、財産評価基本通達に定める方法により財産評価を行って相続税の申告をしたところ、国税当局は財産評価基本通達により財産評価を行うことは不適当であるとして、課税処分を行った。
相続人が国税当局の課税処分の取り消しを求めて、国税不服審判所に審査請求を行ったものである。




【結論】
銀行から借金をして購入した賃貸マンション1棟につき、財産評価基本通達に定める方法により財産評価を行うと、相続税評価額は賃貸マンションの取得価額の30%未満で評価される。
銀行の借金と賃貸マンションの評価額との差額は他の相続財産から債務控除されることとなり、大幅な相続税の節税効果が見込まれる。
このような行為は、相続税の目的に反して著しく不公平であることから、財産評価基本通達により財産評価を行うことは不適当であり、評価通達6《この通達の定めにより難い場合の評価》を適用し、国税庁長官の指示を受けて評価し、不動産鑑定評価により財産評価を行うことが妥当である。




【事の経緯】
(1)被相続人が銀行に相続税対策の相談を行った。

(2)銀行は、相続税の試算・相続税対策の提案を行い、借金をして賃貸不動産の購入を被相続人に勧めた。

(3)被相続人は銀行から借金をして、1棟の土地付き賃貸マンションを2棟購入した。

(4)相続人は財産評価基本通達に定める方法により財産評価を行い、相続税の申告を行った。

(5)国税当局は、財産評価基本通達に定める方法により財産評価を行うことは不適当として、不動産鑑定評価により財産評価を行い、課税処分を行った。

(6)これを不服とした相続人は、国税不服審判所に審査請求を行った。




【国税不服審判所の判断】
(1)被相続人は銀行との間で、不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、借金の目的が相続税対策を目的とした不動産の購入であることを認識していた。

(2)財産評価基本通達に定める方法により賃貸マンションの財産評価を行うと、その評価額は賃貸マンションの取得価額や不動産鑑定価額の30%にも満たないものであった。

(3)賃貸マンションの借金は、財産評価基本通達による賃貸マンションの評価額を大きく上回り、その差額は他の相続財産から債務控除されることから、相続税の課税対象となる財産が大幅に圧縮されている。

(4)結果として相続人は、多額の相続税の負担を免れることになった。

以上のことから、
(5)同様の相続税対策を採らなかったほかの納税者との間の租税負担の公平を著しく害する。

(6)被相続人が多額の財産を保有していないため、同様の相続税対策によって相続税負担の軽減という効果を享受する余地のないほかの納税者との間での実質的な租税負担の公平を著しく害する。

(7)相続税の目的である「富の再分配機能を通じた経済的平等を実現する」に反する著しく不公平なものである。

したがって、
(8)財産評価通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、相続税の目的に反し、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかである。

(9)財産評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められ、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当である。




【タワーマンションを利用した相続税対策にも影響か】
この事例で購入された不動産は賃貸マンション1棟ですが、類似する事例としてタワーマンションを利用した相続税対策が考えられるため、タワーマンションを利用した相続税対策にも今後影響する可能性があります。

タワーマンションを利用した相続税対策として「6億円の財産を無税で贈与できる」と銀行や税理士が勧誘しているとして、新聞紙上で紹介されたことはあまりにも有名なことですので、ご存知の方も多いことでしょう。
(1)父が6億円の現金を使って法人を設立する。

(2)父が銀行から4億円の借金をする。

(3)現金10億円を使って法人がタワーマンションを購入する。

(4)タワーマンションの相続税評価額は4億円程度となり、6億円程度相続税評価額を圧縮できる。

(5)タワーマンション購入から4年経過後、タワーマンション4億円=借金4億円であるため、法人の株の評価はほぼゼロになる。

(6)ほぼ無税で法人の株を子どもに贈与することができる。


タワーマンションを利用した相続税対策の論点は、上記のようにタワーマンションの実際の取引価額と財産評価基本通達における評価額との乖離を利用することにあり、今回ご紹介した事例で国税不服審判所が指摘したことと同じです。
この事例で注目すべきは、国税当局が「他の納税者との間での税負担の公平性に欠ける」として相続税の目的に反すると指摘したことです。

単純に形式上の要件を整えて、あまりにも露骨な節税策を実行し、財産評価基本通達により財産評価を行うことは、国税当局から租税回避行為と認定される可能性が高まることになるでしょう。
タワーマンションを利用して相続税対策を検討される方は、より深度ある検討が必要でしょう。



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株式会社ファミリーオフィスコンサルティング
代表取締役 税理士 長嶋佳明
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