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2017/07/10
公益財団法人を活用した相続税対策にリスクはないのか?

先日、相続税対策のご相談があったお客様にお会いしてきました。

お客様は会社経営をされており、自社株対策に悩まれていました。
顧問税理士より自社株対策として公益財団法人の設立を勧められ、公益財団法人の設立を専門とするコンサル会社の紹介を受けたそうです。

公益財団法人を設立して公益財団法人に自社株を移せば相続税対策になるとのことでしたが、メリットばかりが強調されデメリットは何一つ語られなかったとのことでした。
お客様が公益財団法人を利用した相続税対策について調べられていたときに、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。




【公益財団法人を利用すると相続税対策になるのか?デメリットはないのか?】
お客様から詳しいお話を伺うと、次のようなことでした。
・顧問税理士より自社株対策として公益財団法人の設立を勧められ、公益財団法人の設立を専門とするコンサル会社を紹介された
・公益財団法人を利用した相続税対策のメリットばかりが強調され、デメリットは何一つ語られなかった
・公益財団法人を利用した相続税対策のデメリットを知りたい


公益財団法人は究極の相続税対策である、しばしばこのように言われます。
そもそも、公益財団法人を利用すると相続税対策になるのでしょうか?
もし相続税対策になる場合、リスクはないのでしょうか?


お客様が税理士長嶋にご相談されようと思われたのは、一般社団法人を利用した相続税対策についての税務リスクを指摘していたことです。
摩訶不思議なことに、一般社団法人を利用した相続税対策が世の中では流行していますが、税理士長嶋は2014年から税務リスクを指摘しており、次の2つの相続税対策ブログにてご紹介していました。

・一般社団法人を活用した相続税対策は効果があるのか?(2014/06/01)

・自社株の相続税対策に一般社団法人を活用する危険性(2016/01/17)




【そもそも相続税対策に公益財団法人を利用するとは?】
まずは、社団法人と財団法人の違いを整理しておく必要があるでしょう。
社団法人は人が集まることで成り立つものであるのに対して、財団法人は財産が集まることで成り立ちます。
ある目的のために財産が集められ、その財産に対して法人格が与えられたものが財団法人となります。

財団法人は、自分の財産から切り離されますので自分の所有物ではなくなり、その財産が法人格を持つことで、財団設立者の設立目的を実行するために活動していくことになります。
財団に移した財産は自分の所有物ではないので相続税がかからない、これが相続税対策になるという理屈です。

相続税対策に公益財団法人を利用するには、公益財団法人を設立しなければなりません。
公益財団法人を設立するには、まずは一般財団法人を設立することが必要になります。

一般財団法人を設立し運営するにあたっては、理事3名、評議員3名、監事1名の合計7名が最低限必要な組織となります。
相続税対策のために最低7名の人材を確保しようと思うと、上場会社オーナーなどそれなりの規模がないと人材の確保が難しく、また費用対効果を考えても難しいでしょう。
財団法人を相続税対策に利用するにはハードルが高い、これが一般社団法人が相続税対策に利用されている理由となります。

このような事情から、公益財団法人を利用した相続税対策は、一般的には上場会社オーナーなど一定規模のご家族が想定されます。


無事に一般財団法人の設立が完了すると、公益認定の申請を行います。
民間有識者からなる公益認定等委員会の意見に基づいて、内閣総理大臣もしくは都道府県知事から公益の認定を受けたものが「公益財団法人」と呼ばれます。




【そもそも公益財団法人を利用すると本当に相続税対策になるのか?】
公益財団法人を相続税対策に利用すると本当に相続税対策になるのでしょうか?

例えば、財産が50億円あった場合に、相続税の最高税率で相続税が課税されたとすると、ざっと25億円の相続税となります。
ここで20億円を公益財団法人に寄付をすると、寄付をした財産には相続税がかかりませんので、これが相続税対策になるという理屈です。
公益財団法人に財産を寄付した場合と寄付しない場合の相続税は次のようになります。

(公益財団法人に財産を寄付しない場合)
財産50億円に対する相続税、25億円。


(公益財団法人に財産を寄付した場合)
財産50億円-寄付財産20億円=30億円
財産30億円に対する相続税、15億円。


公益財団法人に財産を寄付した場合の相続税が15億円で、財産を寄付しない場合の相続税が25億円となり、公益財団法人に財産を寄付することで相続税を10億円節税できたことになります。
これは相続税の節税本には必ず紹介されており、相続税が節税できるというのは正しいようです。



次に、相続税を払った後の上場会社オーナー一族の手元に残る財産を比較してみます。

(公益財団法人に財産を寄付しない場合)
財産50億円-相続税25億円=25億円


(公益財団法人に財産を寄付した場合)
財産50億円-寄付財産20億円-相続税15億円=15億円


公益財団法人に財産を寄付した場合に手元に残る財産は15億円で、財産を寄付しない場合に手元に残る財産は25億円となり、財産を寄付しないほうが財産を10億円多く残すことができます。
損得だけを考えるのであれば、公益財団法人に財産を寄付しないほうが上場会社オーナー一族の手元に残る財産は多いことがわかります。
つまり、公益財団法人を利用して相続税対策をすると損をすることになります。


しかしながら、「公の器」である上場会社は利益を追求するだけではなく、社会貢献などの社会的責任も負っています。
これは、上場会社オーナー一族にも地域社会への貢献が期待されていることでもありますので、単なる損得勘定だけでは動けないことも事実です。
相続税対策に公益財団法人を利用するかどうかは、総合的に判断する必要があるでしょう。




【公益財団法人を利用した相続税対策にリスクはないのか?】
公益財団法人を利用して相続税対策を行う場合には、リスクは一切ないと世の中では信じられています。
本当にリスクはないのでしょうか?

これまで税理士長嶋も公益財団法人の設立を専門とするコンサル会社から何度か営業を受け、次のようなメリットをアピールされました。
・これまで公益認定に失敗したことがありません!
・一般的なコンサル会社ですと公益認定を受けるまでに3年かかりますが、弊社では6ヶ月で認定を受けられます!

メリットだけをことさら強調するばかりで、デメリットを語らないのはアンフェアであると税理士長嶋は常々考えておりますので、コンサル会社に必ず次の質問をしています。
「公益財団法人が国税から否認された事例がありますが、どのようにお考えですか?」

これまで税理士長嶋は公益財団法人の設立を専門とするコンサル会社から何度か営業を受けましたが、公益財団法人が国税から否認されている事例を誰一人として知りませんでした。
公益財団法人を設立するコンサルをしているのに、公益財団法人に関する税務否認の事例を知らない。
これは致命傷でしょう。

見方を変えれば、公益財団法人の設立が専門であるため、公益財団法人の設立後の運営管理は関係ないのかもしれませんが、これではあまりにも無責任でしょう。

もし公益財団法人を相続税対策に利用するのであれば、税務リスクを抱える危険性をどのように排除するのかを検討する必要があるでしょう。




【相続税対策に海外財団法人は効果があるのか?】
財団法人を日本国内ではなく、海外に設立することも考えられます。
海外の財団法人を利用すると日本の相続税対策に効果はあるのでしょうか?

過去のご相談事例では「節税コンサルタントと称する人物がスイスのプライベートバンクに口座開設を勧め、海外に財団法人を設立して日本の相続税対策をする」というストーリーでしたが、このご相談事例は相続税の節税ではなく脱税と言われても仕方がないような幼稚なものでした。
このご相談事例について、2017年6月1日の相続税対策参考ブログ「相続税対策に海外財団法人は本当に効果があるのか?」にてご紹介しております。




【参考】公益財団法人を相続税対策に活用することのメリット
参考までに、上場会社オーナーが公益財団法人を相続税対策に活用することのメリットは大きく次の3つがあります。
(1)公益財団法人を通じての社会貢献
(2)公益財団法人が上場会社の安定株主になる
(3)相続税・所得税の節税効果


(1)公益財団法人を通じての社会貢献
上場会社は、会社で従業員を雇用し、一般消費者に商品やサービスを提供し、株主から出資を受けているように、地域社会と幅広い接点を持っています。
また、上場会社の取引先を通じて、間接的にその取引先の従業員の雇用の確保にも貢献していることを考えると、地域社会に対してより大きな影響力を持っています。

このような「公の器」である上場会社は、その立場に見合う社会貢献を地域社会に対して行うことが望まれています。
これは、上場会社オーナー一族も同様と考えられます。

この場合の社会貢献とは、上場会社が事業を通じた雇用の確保といった活動にとどまらず、学術や科学技術の振興・文化芸術の振興・福祉の増進・教育など多岐にわたります。
このような活動について、公益財団法人を通じて支援を行うことが社会貢献につながります。


(2)公益財団法人が上場会社の安定株主になる
上場会社オーナーが公益財団法人の上場株を寄付すると、公益財団法人は公益目的以外の理由で上場株を使用し、処分することはできません。
その結果、公益財団法人は上場株を長期保有することになり、上場会社としては安定株主を確保することになります。

しかしながら、公益財団法人には持分や支配といった概念がそもそもありません。
理事会などで公益財団法人の意思決定がされますので、必ずしも公益財団法人が上場会社オーナー一族と意見を一致しているとは限りません。


(3)相続税・所得税の節税効果
相続税・所得税の節税効果は、次の3つがあります。
・譲渡所得の特例
・寄付金の特例
・相続税の特例


・譲渡所得の特例
公益財団法人に財産を贈与や寄付をした場合に、一定の要件を満たすときは、譲渡益部分の所得税が非課税となります。

・寄付金の特例
公益財団法人に財産を贈与や寄付をした場合には、所得税の寄付金の所得控除、あるいは寄付金の税額控除を受けることができます。

・相続税の特例
公益財団法人に財産を贈与や寄付をした場合に、一定の要件を満たすときは、贈与や寄付した財産に対して相続税が非課税になります。


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